インバウンドの地方誘致を成功させるポイント

東京や京都、大阪といった大都市を中心に増加してきたインバウンド客ですが、ここ最近はさらに範囲を広げつつあります。これは、外国人観光客の興味関心が買い物やテーマパークといった「モノ消費」から、日本の文化やその土地の生活に触れる「コト消費」へと移ってきているためです。今後ますます増加すると見込まれるインバウンド客の受け皿を整え、地方誘致を進めるために何を・どう対策したら良いのか。そのポイントについて解説します。

インバウンドの地方誘致は着々と進んでいる

観光バス

AdobeStock/am

これまでのインバウンド傾向としては、「ゴールデンルート」と呼ばれる、東京・箱根や富士山・名古屋・京都・大阪など有名な観光スポットを巡る観光ルートに人気が集中していました。

こうした王道の観光ルートには、効率よく観光地を巡ることができる、ツアーが充実しているので最低限の費用で済むといったメリットがある反面、タイトなスケジュールで急ぎ足で回るためゆっくり観光できないというデメリットも存在します。

最近ではインバウンド客のニーズが変わってきており、現に「ドラゴンルート」と呼ばれる、中部地方の愛知県・岐阜県・富山県・石川県を南から北へと縦断するような新しい観光ルートも生まれています。

JTB総合研究所が2019年7月に発行した「データで見る訪日インバウンド市場トレンド」の地域別市場動向を見てみると、ゴールデンルートから外れていても観光客数が大幅に伸びている地域は多数あり、地方が秘めるポテンシャルの高さがうかがえます。

出典:JTB総合研究所「データで見る訪日インバウンド市場トレンド」

その一方で、都市部と比べてまだまだインバウンド対策が十分でないとも指摘されています。今後さらに見込まれるインバウンド客の増加にあわせ、さらなる地方誘致を進めるためにできることはなんでしょうか。

インバウンドの地方誘致対策:ハード面

多言語イメージ

AdobeStock/BBuilder

インバウンドの地方誘致を進めるため、ハード面での対策を挙げてみました。これについてはここ数年でかなり対策が進んだとはいえ、まだまだ十分でない地域も見られるようです。

多言語対応、ピクトグラムの設置

インバウンド客は当然ながら、日本語を母国語としていません。中にはまったく日本語が話せない、理解できない人も訪日するため、ホテルや空港、鉄道駅など、インバウンド客が多く集まる場所では特に多言語対応が重要視されます。

ホテルであれば、ネイティブスピーカーを雇用する以外にも、フロントや客室に多言語に対応したタブレット端末を設置するなどの対策が考えられます。また、情報を絵やイラストで示すピクトグラムの設置も有効です。

アクセス面での利便性の向上

地方の主要な交通手段と言えば自動車ですが、インバウンド客は基本的に車を持ち込まないので、国内での移動は公共交通機関が中心となります。そのため地方へのインバウンド誘致に関しては、アクセス面での利便性の向上が欠かせません。

具体的には、駅掲示板やバスの時刻表、アナウンスの多言語化、荷物置き場の設置、駅構内のWi-Fiの整備、クレジットカードで支払いを可能にできる設備などがあります。

キャッシュレス化

国内でも徐々にキャッシュレス化が進んでいますが、海外に比べるとまだまだ遅れていると言われています。地方の店舗によってはいまだ支払いは「現金のみ」としているところも少なくなく、外国人観光客にとっては利用しにくいのが実情です。

インバウンドの地方誘致を進めるうえで、キャッシュレス化の推進は不可欠だと言えるでしょう。

インスタ映えするフォトスポットの設置

インスタグラムの公式ページによると、2019年11月時点での月間アクティブユーザー数は10億人以上。全世界にインスタグラムを利用している人が、これだけいるということです。

インスタグラムの大きな特徴は、メインコンテンツが写真や画像だという点。つまり言葉が通じない外国人であっても、視覚によって情報を伝えることが可能なのです。さらにインスタグラムには「ハッシュタグ」という機能があり、これによって情報をより広く拡散したり、興味のある人に情報が届きやすくなったりします。

「インスタ映え」するフォトスポットを適宜設置することで、そこを訪れたインバウンド客が写真を撮り、インスタグラムに投稿する。それを見た人が興味を持ち、新たなインバウンド客になる――という、好循環が生まれるきっかけになるでしょう。

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インバウンドの地方誘致対策:ソフト面

農作業体験をする外国人男性

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一方、ソフト面でできる対策には何があるでしょうか。

地域全体で「受け入れ態勢」を整える

多くの外国人が訪れる都市部と違い、地方に住む人は外国人に不慣れである傾向が強いです。外国人をよく知らないがために偏見があったり、「英語が話せないから」と強い苦手意識を持っていたりするので、せっかくインバウンド客が訪れても気持ちよく過ごせないことがあります。

偏見は簡単にはなくせませんが、少しずつでも外国人を歓迎の気持ちで受け入れる意識を地域全体で共有することが大切です。

自分のまちのアピールポイントを知る

一時期「爆買い」なんて言葉が話題になりましたが、最近のインバウンド傾向は「モノ消費」から「コト消費」へと切り替わってきていると言われます。モノ消費が商品やサービスを購入し消費することに対して、コト消費は時間や体験に価値を感じて消費することです。

コト消費を促進させるためには、その地域ならではの魅力やアピールポイントを熟知し、それを適切なサービスとして提供する必要があります。

ハード面とソフト面の両輪でインバウンド対策を

ウェルカム日本のボードを掲げる男性

AdobeStock/metamorworks

日本政府は2020年までに訪日外国観光客数4000万人を目指すとしているように、今後もインバウンド客の増加が見込まれています。観光客のニーズが「モノ消費」から「コト消費」へと変化してきている中で、インバウンドの地方誘致は今まで以上に加速していくでしょう。

地方のインバウンド対応は、都市部と比較するとどうしても後手に回っているのは事実。しかしだからこそ大きなポテンシャルを秘めていると言い換えることもできるため、ハード面・ソフト面の両輪でできることから進めていくことが大切です。

インバウンド対策が進み観光客の満足度が向上すればリピーターを生み、そのリピーターがさらなるリピーターを呼ぶ好循環が生まれ、ますます地方誘致が進むでしょう。

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