事業場外みなし労働時間制とは
事業場外みなし労働時間制とは、実際に労働した時間に関わらず、所定労働時間働いたとみなす制度のことです。
つまり、仮に所定労働時間を8時間とした場合、たとえ6時間で仕事を切り上げたとしても、給料は満額支払われます。
反対に、実際には10時間働いたとしても、8時間労働だとみなされ、2時間分の残業代は発生しません。
みなし勤務は、営業職など外回りが多く、正確な労働時間が算出しにくい職種で採用される場合が多いようです。
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みなし労働時間制が認められる条件
みなし労働時間制は、いついかなるケースでも適用されるとは限りません。みなし勤務が認められるのは、
・使用者の具体的な指揮監督が及ばないこと
・労働時間を算定することが困難な業務であること
という条件を満たしている場合に限ります。
特に、通信機器が発達した現代において「労働時間を算定することが困難」とするのは、かなり難しいのではないでしょうか。
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みなし労働時間制でも残業代が支払われるケースはある?
冒頭で「実際には10時間働いたとしても、8時間労働だとみなされ、2時間分の残業代は発生しません」とご紹介しましたが、みなし労働時間制でも残業代が支払われる場合があります。
例えば、所定労働時間を8時間と仮定した場合、使用者はその時間に見合った業務を割り振らなければなりません。
この時、おおよそ8時間の範囲で遂行できると見込まれた仕事が、何らかの事情で10時間かかってしまった場合には、残業代は出ません。
しかし、明らかに所定労働時間以上の作業時間を要す業務を課せられた場合は、労働基準法38条2、
という定めにより、残業代の支払いが認められます。
もし、所定労働時間内では到底終わらない量の業務を割り振られ、「みなし労働時間制だから」という理由で残業代も支払われない場合は、企業が労働基準法に違反している可能性が非常に高いと考えられます。
その場合は、弁護士などに相談し、企業へ残業代の請求をすることを検討してみてはいかがでしょうか。
違法なみなし残業を行っている企業に注意
「みなし労働時間制=何時間でも残業させられる」という印象を抱いている方も少なくないようですが、その認識には誤りがあります。
あくまでみなし勤務は、従業員が主に業務を行うのが事業場外だということ、使用者の具体的な指揮監督が及ばないこと、そして労働時間を算定することが困難な業務という条件が揃うことで、適用されるものです。
長時間労働の慢性化や残業代の未払いなど、あまりにも目に余る場合は労働基準監督署への相談も視野に入れましょう。