ホテル従業員の退職理由は本音ではない?
この記事を読んでいる方は、「もうこれ以上は退職者を増やしたくない…」と頭を抱えるホテル経営者や、ホテルの人事担当者なのではないでしょうか。
蔓延的な人手不足は、ホテル業界が抱える大きな課題ですが、全てのホテルで退職者が後を絶たないというわけではないですよね。退職者が減らないというホテルは、どこかに原因があるはずです。
そこで目を向けていただきたいのが、従業員の「退職理由」です。退職理由はクレームと同様、経営のヒントが隠れていることが多くあります。
ホテルの従業員はいつでもお客様を思い、仕事を行うものですから、勤務先であるホテルにも気を遣い、本音ではなく建前の退職理由を伝えているという可能性も大いに考えられます。では、本音の退職理由はどのようなものになるのでしょうか。
ホテル従業員の本当の退職理由や、退職理由を採用活動や経営に活かす方法をご紹介します。
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ホテル従業員の本当の退職理由
今までホテルの従業員から聞いてきた退職理由には、どのようなものがあったでしょうか。
親の介護や体調不良など、従業員によって様々であったとは思いますが、従業員は本当に本音で退職理由を伝えてくれていたか、というと自信がないというホテルの経営者・人事担当者も少なからずいるはずです。
では、ホテル従業員はどんな悩みを抱え、退職を決意したのでしょう。ホテル従業員の退職者の生の声を集めました。
給料が安い
ホテル業界を含むサービス業全般に言えることですが、薄給ということが理由で他業界へと転職を決意する方は多くいます。厚生労働省が発表している雇用動向調査を産業別で見ても、サービス業は平均値よりも給料が低いという現状があるのです。
光熱費や人件費などの一定の経費は削減が困難であり、加えてホテルの部屋数(=売上)の上限がある程度決まっているということから、大幅に給料を上げることは難しい業界であるということは、従業員であれば理解はしているはずです。
しかし、年を重ねるごとに志半ば「思いだけではやっていけない」と退職を決断する方もいるようです。
長時間労働やサービス残業が多い
ホテル業界は、全産業の中でも見ても労働時間が長く設定されている業界ということはご存じの通りです。
宿泊するお客様の安全を守るためには必要がないこととは言え、お客様中心で動くことが多く、中にはサービス残業が恒常化しているというホテルもあります。
長時間労働による体調不良、サービス残業の恒常化による待遇の不合理さによる不満が相まって、退職を決意したという方も多くいます。
休みが取りにくい・休みが合わない
仕事とプライベートをきっちりと分けたいという考えの方にとって大切なのが休暇です。いくら仕事が忙しくとも、休日にリフレッシュすることで働くモチベーションを維持できれば問題がないという方もいます。
しかし、その願いを叶えることが難しいのがホテル業界でしょう。
特に近年では、若年層を中心にワークライフバランスを大切にする流れが広がっています。休みが取りづらいうえ、友人と休みが合わない、子供と休みの日に遊んであげることができないという理由から、ホテルの退職を検討する方もいます。
人間関係に問題がある
どの業界でも、退職理由としてよく挙げられるのは人間関係ですが、ホテルでもその傾向は顕著です。ホテルでは良くも悪くも、ホテル内で人間関係が完結してしまいがちだからです。
従業員同士が同じだけの長時間労働を行う中で、一度人間関係をこじらせてしまっては、退職の大きな原因となることも頷けますよね。
仕事が面白くない
憧れを強く持ってホテル業界の扉を叩いたという方であれば、ルーティーンが続くことや、キャリアアップまでの道のりが長いということが原因で、仕事の面白さを見いだせなくなり、退職を決めたという方もいます。
また、配置換えにより自身のやりたい仕事とは離れてしまい、これが数年続くぐらいなら転職をしようとホテルを辞めるという方もいるようです。
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ホテルの採用活動に退職理由を活かすには?
冒頭では、従業員の退職理由は建前の可能性があるということを述べましたが、もちろん退職理由を正直に伝えてくれる従業員もいます。
ホテル従業員の退職理由に真摯に向き合うことができれば、離職率を下げると同時に、採用者数を挙げることにも繋がりますので、建前ではなく、本当の退職理由を話してもらう方がホテルとしてメリットがあるということを覚えておきましょう。
本音の退職理由を多く聞くことができるホテルの特徴は、職場の雰囲気が良いことや、日常的に意見を交換しあう風土があるということが挙げられます。
よって、人材の定着に悩むホテル経営者や人事担当者は、日常的に本音を言い合える職場環境を整えることが最も重要だと言うことができます。
顧客満足度(CS)と従業員満足度(ES)には相関性があり、長い目で見れば先に着手すべきはESという教えもありますので、ESを高めるためにも定期的に個人面談を行ったり、従業員満足度調査を行うなどして、常に現状を把握しておくようにしてくださいね。
退職理由別のホテル改善案
従業員の本当の退職理由を聞けた場合に、ホテルはどのような取り組みを行えばよいのでしょうか。参考となるホテルの改善案をご紹介します。
給与体系の見直し
「低賃金」が理由でホテルを退職することになった従業員が多ければ、給与体系を見直すのがよいでしょう。
単純に給与ベースを上げることに期待を寄せる従業員はいるはずですが、従業員全員と影響度が高く、着手が現実的というホテルも多いでしょう。そんな時に取り組みを始めやすいのは、成果を数値化し、インセンティブを与えることです。
少ない額ながらもインセンティブが発生すれば、従業員のモチベーション向上に期待が持てます。
有給休暇の消化率向上の取り組み
「休みがない・取りづらい」という退職理由が多い場合はまず、有給休暇の消化率を向上させる取り組みを行ってみてはいかがでしょうか。
有給休暇の消化率の向上に最も大切なのは、「有給を使っても良い」という環境づくりです。そのためには、役職者やリーダーが積極的に有給を使う必要があります。
年功序列の文化が根強く残っているホテルでは特に、上の方が意識して雰囲気づくりを行うように心がけてくださいね。
業務効率化の取り組み
ITや、補助金を活用して業務効率化をすることができれば、幾分かの時間・費用を捻出することができ、給与向上や残業の削減に繋げることができるかも知れません。
中小企業であれば、IT導入補助金を利用することができますので、導入を進めていないという企業は申請をし、業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。
業務効率化に関する記事は、下記よりご覧ください。
退職理由に向き合えば人材確保ができるホテルへ変わる!
ホテル従業員の退職理由に向き合うことは、労働環境を改善することにも直結します。労働環境がより良くなるということは、退職者を減らすだけではなく、採用活動時にもホテルのアピールポイントが増えるため新たな人材確保にも繋がることでしょう。
そのため、ホテルの経営者や人事担当者は、従業員の退職理由を「単なる戯言」という捉え方ではなく、「ヒント」として退職理由を受け止め、しっかりと向き合うようにしてくださいね。
また、採用に関する悩みであれば、当サイト「おもてなしHR」のアドバイザーに相談してみるのも一つの手です。
貴ホテルの課題や現状を把握し、適切なアドバイスをいたします。人材紹介に関してのご相談、登録は費用負担の必要はありませんので、気になるホテル経営者・人事担当者がいれば、ぜひお気軽にご相談ください。