レジで使う接客用語を見直そう!
レジは、店舗や施設に訪れたお客様が必ず立ち寄る場所です。
先に注文・会計を済ませる飲食店などではいちばん最初に、小売店や後払いのホテルではいちばん最後にスタッフと接するため、レジでの対応がサービス全体の印象を左右すると言っても過言ではないでしょう。
レジスタッフは、気を引き締めて仕事にあたらなければなりませんが、特に注意したいのは言葉遣い。レジで使う接客用語の中には、誤用されているものが少なからずあるのです。
この記事では、日本語として正しくないフレーズや、使い方に気を付けたい接客用語について解説します。ご自身の言葉遣いを振り返りながら、読み進めてくださいね。
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レジで使う接客用語のNG例
何の気なしにレジで使っている接客用語の中にも、日本語として正しくないものがあります。以下は、明らかにおかしなフレーズ。もし、使っている人がいたら今日から改めましょう!
「ちょうどお預かりします」
お客様が会計金額ちょうどのお金を出してきた際、受け取りながら「ちょうどお預かりします」と言っていないでしょうか。
お金を受け取るときに「お預かりします」と言うことは間違いではありません。しかし、ちょうどの金額を受け取って、お返しするものがないときに「お預かり」を使うのはおかしいのです。
「ちょうど、頂戴します」と伝えるのが正解です。
「レシートのお返しです」
会計金額ちょうどのお金を受け取ったときや、釣札・釣銭の後にレシートを差し出すときのフレーズにも注意が必要です。
つい、流れで「レシートのお返しです」と言いたくなるかもしれませんが、もともとお客様の物ではないレシートを「返します」と言うのは誤りなのです。
正しいフレーズは「レシートでございます」や「レシートのお渡しです」など。お釣りと同時に渡す際には「○○円のお返しと、レシートのお渡しです」と、使い分けましょう。
「○○円からお預かりします」
このフレーズでおかしいのは「から」です。言葉の通りに読むと「○○円」から何かを預かる、という意味不明な文章になってしまいます。
これは「お客様から、○○円お預かりします」という言葉の「お客様」の部分が抜け落ちたとされている言葉。
「から」をつけると何となく丁寧に聞こえるような気がしますが、「○○円お預かりします」と伝えましょう。
「大きい方、小さい方」
お札を「大きい方」、小銭を「小さい方」と表現することも、誤りです。
「大きい・小さい」は本来、体積や数の大きさを表す言葉。額面の「大きい、小さい」という意味で使いたくなりますが、お札や小銭そのものを指す言葉としては不適切ではないでしょうか。
「先にお札をお返しします」「先にお札をお預かりします」といった表現にしましょう。
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「ちょうど頂戴いたします」は正しい接客敬語?
「ちょうど頂戴いたします」も、レジで使用頻度が高いフレーズですが、この言葉には注意が必要です。
「頂戴」は「もらう」の謙譲語、「いたす」は「する」の謙譲語で、二重敬語であるためです。二重敬語を使って良いのは、相手が皇族の方々である場合のみとされています。
しかし、2007年に発表された文化庁の「敬語の指針」によって「いたす」が従来通りの「謙譲語」のほかに「丁重語」として使えるようになりました。
「ちょうど頂戴いたします」は、「ちょうど頂戴します」をさらに丁寧に言った言葉であり、正しい接客用語なのです。
ただし「いたす」を丁重語として使えるようになったことを、知らないお客様もいます。また、「いたす」は従来通り、謙譲語としても使われるため、捉え方によってはやはり二重敬語と言えるでしょう。
「ちょうど頂戴いたします」と伝えることで、お客様から「教養がないんだな」と誤解されるリスクがあります。単純に言葉として長く、少々くどい感じがするためシンプルに「ちょうど頂戴します」と伝えたほうが無難かもしれません。
また、「頂戴します/頂戴いたします」という言葉は、受け取る「物」があるときにだけ使えるということも、覚えておきましょう。以下のような使い方は間違いなので、注意してくださいね。
- 「お名前を頂戴いたします」
- 「クーポン番号を頂戴します」
- 「次回のご予約を頂戴します」
接客用語も言葉の変化に注意して使おう!
時代の流れとともに言葉遣いの正誤は変化するものです。言葉の意味を考えると同時に、変化にもアンテナを張って、正しい接客用語を使いましょう!
なお、レベルの高い接客用語を身につけたい場合は、ホテル・旅館の仕事がおすすめです。宿泊業界の仕事を探す際には、おもてなしHRにご相談ください。