温泉旅館に就職するためには?
まずは、温泉旅館には就職するための基礎知識を押さえておきましょう。
どんな職種・仕事がある?
温泉旅館には、大きく分けて「接客係」「清掃係」「調理係」「バックヤード」の4つの仕事があります。中でも求人を見かけることが多いのは、下記の職種です。
- ・仲居
- ・フロント
- ・客室清掃
- ・調理師/板前/洗い場
- ・事務
また、求人数自体は多くないものの、旅館の運営に携わる「支配人・女将候補」や「送迎車両の運転手」「施設管理」などの求人が出されることも。目指す方は、定期的に求人をチェックするのがおすすめですよ。
温泉旅館の就職に向いているのは、お客様同様にスタッフ間でも円滑なコミュニケーションを取ることができる人です。部門間で連携することが多い温泉旅館では、どんな職種でもコミュニケーションスキルは必須。その他の求められるスキルは、下記記事でご紹介しています。
求人の探し方・特徴は?
求人は、ハローワークのほか、求人情報サイトや旅館のホームページから探すことができます。就職・転職エージェントに登録し、条件に合致する求人を紹介してもらうのも良いでしょう。
温泉旅館の求人ならではの特徴として挙げられるのは、単身寮やまかないが多いことです。これは朝に出勤し、日中休憩を取り、夜にまた再び働くといった温泉旅館ならではの働き方によるものでしょう。
特に郊外の温泉旅館への就職を検討している方は、寮の有無や車に関する手当をあらかじめ確認しておくのが良いかもしれませんね。
以下の記事もご参照ください。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
温泉旅館の就職豆知識:温泉とは?
前項まで、温泉旅館の就職情報についてご紹介しましたが、ここからは温泉旅館の就職に役立つであろう豆知識をご紹介します。まずは、「温泉施設」に関する豆知識からみていきましょう。
温泉と銭湯の違い
温泉と銭湯の最大の違いは、天然か人工かという点です。一般的に温泉は天然、銭湯は人工的にお湯を張った公衆浴場とされています。
また、温泉は環境省が管轄する「温泉法」によって規定の成分量などが定められていますが、銭湯は成分の取り決めがないといったことも、温泉・銭湯の違いと言えるでしょう。
入浴時に発生する入湯税とは?
温泉旅館に就職するなら必ず覚えておきたいのが、「入湯税」に関する知識です。
入湯税とは、温泉に入ることで課される地方税。税率は市町村ごとに異なりますが、1日1人あたり150円程度が標準的な税額のようです。
集められた入湯税は、温泉の保護管理施設の整備費用や、観光施設の保護費用に充てられます。「なぜ入湯税がかかるの?」と宿泊客に質問を受けた際に正しく答えられるよう、知識を蓄えておいてくださいね。
以下の記事では入湯税について詳しく解説しています。併せてご参照ください。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
温泉旅館の就職豆知識:代表的な温泉の種類・泉質
続いてご紹介する豆知識は、温泉の泉質の種類です。代表的な9つの泉質と、泉質の効能を簡単にご紹介します。
泉質名 | 通称 | 泉質 | 効能 |
単純温泉 | 「美白の湯」 | やわらかくクセがない | 肌の新陳代謝UP、心の病の改善 |
塩化物泉 | 「温まりの湯」 | 磯の香りを感じることも | 冷え性の改善、女性ホルモンの活発化 |
炭酸水素塩泉 | 「美肌の湯」 | とろりとした湯ざわり | 肌の新陳代謝UP、皮膚病の改善 |
硫酸塩泉 | 「脳卒中の湯」 | 時間経過で緑褐色に | 血圧低下、動脈硬化の予防 |
二酸化炭素泉 | 「心臓の湯」 | 泡があり温度はぬるめ | 血圧低下、血行促進 |
含鉄泉 | 「夫人の湯」 | 鉄さびのような匂い | 冷え性の改善、月経トラブルの改善 |
硫黄泉 | 「生活習慣病の湯」 | 卵のような匂い | 血圧低下、皮膚病の改善 |
酸性泉 | 「皮膚病の湯」 | 独特な刺激臭で高温 | ニキビなどの肌トラブル改善 |
放射能泉 | 「万病の湯」 | 無色透明・無味無臭 | 生活習慣病の予防 |
より詳しい特徴が知りたい方は、下記記事をチェックしてみてくださいね。
温泉旅館の就職豆知識:客室の疑問
温泉旅館の客室の名称についても、理解を深めておきましょう。間取りの名称や、窓際のあのスペースの名称、客室に置いてあるお菓子についての豆知識をご紹介します。
間取りの名称
温泉旅館の客室は、和室であることが一般的ですよね。しかし、最近は海外からのお客様や西洋文化の浸透から、和洋室という客室も増えてきました。和洋室は、畳のある和室にベッドが置かれた客室をいうことを覚えておきましょう。
和室の間取りでよく耳にするのは、下記4つの名称です。ぜひ押さえておきましょう。
間取りの名称 | 特徴・役割 |
踏込(ふみこみ) | 客室の入口。靴を脱いで置くことができる場所。 |
主室(しゅしつ) | 客室のメインとなる場所。「客室」自体が主室を指していることも。 |
床の間(とこのま) | 掛け軸や、床に花・壷などが置かれる場所。上座の語源としても知られる。 |
縁側(えんがわ) | 建物と外部を繋ぐ、板敷状の通路や空間。バルコニーに近い性質を持つ。 |
旅館の間取り・客室の名称については以下の記事もご参照ください。
窓際の「あのスペース」の名称
客室の窓際にある小さなテーブルと椅子が設置してある空間は、「広縁(ひろえん)」という名称がつけられています。温泉に入るまでの時間を楽しんだり、食事後に一息をついたりできるとしてお客様からも人気のようです。
元は、他の部屋との往来をしやすくするための外廊下の役割を担っていた広縁。照明設備が発達していない時代では、夜に外光が利用できるというメリットもあったようですよ。
広縁の魅力については以下の記事でも詳しく解説しています。
お菓子がある理由
主室に置かれるテーブルの上には、お茶やお茶菓子が置かれていることが一般的でしょう。このお茶菓子は「お付きのお茶菓子」と呼ばれ、旅館から提供されるおもてなしのひとつとしても有名です。
このお付きのお茶菓子が、入浴に関係しているということはご存じでしょうか。
お付きのお茶とお茶菓子が用意された本来の理由は、空腹状態での貧血や水分不足を防ぐため。旅館到着後に、お客様がほっと息をつくためだけに用意されている訳ではなく、身体の配慮まで行っているというのですから驚きです。
温泉旅館の就職豆知識:旅館のマナー
最後にご紹介するのは、温泉旅館のマナーです。温泉旅館に就職しても、マナーを正しく理解していなければお客様から「ここの旅館はレベルが低い」と思われてしまうこともあるかもしれません。ぜひ覚えておきましょう。
部屋食を食べる順番
温泉旅館では、お部屋で食事を楽しんでいただく部屋食を提供する旅館も多いでしょう。この部屋食を食べる順番は、食事の提供方法によって異なります。
一度に全ての料理を出す場合は、基本的にはお客様の好きな順に召し上がっていただくよう案内して問題ありません。順々に料理を運び込むのであれば、運んだ順に召し上がっていただくのが一般的です。
特に順々に料理を運び込む場合、お客様が急かされていると感じてしまうこともあるので注意が必要です。仲居を目指す方は、料理をお持ちするタイミングまで気遣う必要があるかもしれませんね。
若者・外国人観光客に向けたマナー
温泉旅館には、さまざまなお客様が訪れます。小さなお子様連れのお客様をお断りしている旅館もありますが、一般的にはどんなお客様も受け入れている旅館が多いでしょう。
受け入れるお客様層が広ければ広いだけ、お客様の利用マナーに目を配る必要があります。特に若者や外国人観光客は、そもそもマナーを知らないということもあるので注意しましょう。浴場へのカメラの持ち込みがNG、浴槽にタオルを入れるのはNGなどがその例です。
全てのお客様が楽しめるよう従業員側もしっかりマナーを覚え、マナー違反のお客様には適切にお声がけをすることが重要です。
旅館でのマナーについては以下の記事もご参照ください。
温泉旅館の就職ならおもてなしHR!
宿泊業界は、お客様との距離が近い業界としても知られています。温泉旅館では、お客様との距離の近さを一層感じられることでしょう。
「いいお湯でした!」「また来年来ます!」などの言葉をお客様かけてもらえるのは、温泉旅館ならではの醍醐味。覚えることは決して少なくありませんが、興味がある方はぜひ温泉旅館への就職を目指してみてくださいね!
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