地方創生に企業が携わる目的と企業による地方創生の事業とは?

「地方創生」は日本が取り組む政策のひとつですが、行政のみならず企業でも積極的な取り組みがされています。企業が地方創生に乗り出す理由や、実際に行われている事業の内容、そして今後の課題について解説します。

地方創生に多くの企業が取り組んでいる

オフィスビル

iStock.com/scanrail

地方創生は、2014年に発足した政策です。目的は東京一極集中を是正し、少子高齢化に歯止めを掛けて日本全体を活性化させることです。SDGsの目標達成にも、地方創生の成功が必要とされています。

これに向けて行政では、住み良い街づくりや移住サポート、地方の社会福祉を手厚くするなどさまざまな事業を推進しています。

そして、地方創生は行政だけでなく、企業でも行われています。特に積極的な取り組みをしているのは、大企業やベンチャー企業です。ベンチャー企業においては、地方創生を志す企業が参加する連合があり、定期的な勉強会を開催して事例や戦略を共有しながら活動しています。

なお、SDGsの詳細については以下のページをご覧ください。

SDGsのゴール・ターゲットとは

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なぜ地方創生に企業は乗り出すのか

人差し指

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企業が地方創生に乗り出すのには、理由があります。地方創生の目的は東京一極集中を是正し、少子高齢化に歯止めを掛けて日本全体を活性化させることであると、前の項目で解説しましたね。これらの目標を達成するのは、企業の存続にとっても非常に重要なことなのです。

もし東京一極集中の状態で、東京に大災害が起こったら、もし少子高齢化が進み続けて働き手も消費者も居なくなったら、もし景気がいつまでも冷え込む一方だったら…。企業はとても存続できない状況に追い込まれるでしょう。

地方創生は、地方を良くするためのものだと思われがちですが「自分」や「自社」のためにやるべきことでもあります。社会貢献することで企業のイメージアップを図るとともに、10年後も20年後も経営を続けるために、多くの企業が地方創生に取り組んでいるのですね。

また、地方創生事業を企業が行うメリットとして、公的機関よりも利益を出すことにシビアで、効率的に進めることができるという点があげられます。事業内容の自由度が高く、フットワーク軽く動けることも企業の強みでしょう。

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企業が取り組む地方創生の事例

直売所

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多種多様な企業が、それぞれの得意分野を活かした地方創生に取り組んでいます。具体的にどのような取り組みがあるのか、観光業界と関わりの深い事業の例を見てみましょう。

道の駅や直売所をプロデュースするコンサル企業

地方の魅力をアピールする施設と言えば道の駅や農産物などの直売所です。特産品やお土産、ご当地グルメと出会える楽しい施設ですが、全国各地で乱立して飽和状態になりつつあります。

また、建物は立派でも、中に入るとありきたりで期待外れというパターンも多いですよね。地方創生のための資源とするには差別化が必要ですが、それを助けるコンサルタント会社があります。

道の駅などの施設は、地域に密着するあまり「この町をアピールする」というような抽象的な経営方針になりがちではないでしょうか。効率的な経営のためにはプロの意見を取り入れることが有効です。

奈良県にあるコンサル会社では、オープンまでのスケジュールプランの作成から始まり、オープン一年後まで店舗運営のサポートを提供しています。また、すでに営業している施設の売り上げアップ支援も行っています。

売り上げデータや販売状況といった、具体的な数字に基づいた経営の方向性の提案や、加工品のレベルを高めるための講演などがされています。

地域移住サポート

地方への移住をサポートしている企業もあります。移住のサポートというと行政による支援をイメージする人が多いのではないかと思いますが、柔軟な発想で人と地域を結び付けている企業があるのです。

神奈川県の企業では、登録すると地方での仕事や移住のスカウトが貰えるWEBサービスを提供しています。また、全国の地域で行われる地域おこしプロジェクトなどの情報も随時更新されるので、登録者が興味のある地域の情報を探すことも可能です。希望にマッチした人材・地域を双方が見つけられるシステムは画期的ですね。

大手旅行会社による観光商品づくりの講座

宿泊施設の予約サイトなどを展開している大手旅行会社では、地方創生への取り組みへの一環として、観光商品づくりの講座を開いています。

大手企業だからこそできる、旅行者への意識調査をもとに、真のニーズに応えられる観光商品を生み出すことを目的とした講座です。できあがった観光商品は、ネーミングやキャッチコピー、写真撮影もサポートしています。

さらに、この企業が発行している旅行情報誌やメールマガジンで紹介されるので、集客に繋がることでしょう。地方創生のためには、大企業が持つ力をシェアすることも必要なのですね。

地方創生に取り組む企業が抱える課題とは

破綻

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さまざまな民間企業が尽力している地方創生ですが、課題点もあります。企業の取り組みであるが故の、地方創生における課題点について解説します。

地元の人との温度感に差が生まれやすい

企業による地方創生は、その企業にとって縁もゆかりもない地域の事業を担当することも少なくありません。地域に密着した公的機関と異なり、地元の人の性質が分かりにくいというウィークポイントがありあります。

たとえば、地方創生のためにサテライトオフィスやコリビングサービスを提供しても、利用者が地元の人によそ者扱いされて居づらくなる、地元の人からすれば知らない人が長期間滞在していて落ち着かない、といったことが起こる懸念があります。

多数のサテライトオフィスがある徳島県は「よそ者が受けれられやすい風土」で成功していますが、どこの地方でもそうとは限りませんよね。企業が地方創生に着手するには、その土地の県民性や、地元の人が何を望んでいるのかをしっかりとリサーチすることが必要です。

第三セクターは無茶な計画を立てがち

第三セクターによる地方創生では、予算を多く得るために無茶な計画が立てられる傾向があります。行政からの予算を多く得るために、常識的に考えて達成し得ない目標を掲げたり、地域にマッチしないコンセプトの観光資源を作って失敗に終わるケースが多々あります。

また、経営のノウハウがまるでない、いわゆる「天下り」で来た人物に指揮をとらせたり、予算を使い切るために、何も実績を出さないうちから大がかりなプロジェクトに着手して失敗に終わることも少なくありません。

官と民、両方の性質を併せ持つ第三セクターは、正しく機能すれば地方創生にとってとても有意義な存在になるはずです。根拠に基づいた事業計画を立てて取り組んで欲しいですね。

2014年から大きな成果が見られない

地方創生が発足された2014年から、行政でも民間でも良い取り組みが多数行われてきましが、2020年現在でも、これといった大きな成果は得られていません。

地方創生の認知度が上がり、地方を大切にしようという意識が国民に芽生えたことは確かです。移住者や観光客が増え、経済が潤ったという地域もあります。しかしながら、地方の過疎化と少子高齢化は相変わらず進行し、東京一極化は是正されていません。

一部の地域だけでなく、日本全体を創生するにはまだまだこれから試行錯誤が必要となるでしょう。

地方創生は企業の柔軟性と計画性が大切

ビジネスマン

iStock.com/Yagi-Studio

企業による地方創生の利点はやはり、行政よりも柔軟で、計画性のある事業展開ができることしょう。小さな企業でもアイディア次第で、地方創生に大きく貢献できる可能性があります。日本全体、そして自社の存続のためにも根気よく地方創生に取り組みましょう。

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