【地域おこし協力隊の募集要項】制度の目的
地域おこし協力隊は、都市部から過疎地域等の条件不利地域に移住し、さまざまな地域協力活動を行いながら、その地域への定住・定着を図る取り組みです。
総務省が2009年度に開始した制度で、2023年度の隊員数は7200人、取り組み自治体数は1164にまで拡大しており、2026年度までに隊員数を10000人にするという目標が掲げられています。
隊員は過疎や高齢化の進行が激しい地域などの委嘱を受け、任期はおおむね1年から3年です。
募集内容は自治体によって異なりますが、活動内容には以下のようなものがあります。
- 地域ブランドや地場産品の開発・販売・PR
- 観光振興
- 住民支援
- ITやデザイン等専門知識を活用した地域活性化
地域おこし協力隊は地方移住を実現させるための大きな助けになる制度です。
隊員は給料をもらいながら地域活動に参加できるため、移住直後の生活に困らない、地域の人間関係に溶け込みやすいといったことも魅力でしょう。
地域おこしや地域活性に興味があれば誰でも応募可能な制度ですが、実際に地域おこし協力隊として地方移住を検討している場合は、自身が持つ知識やスキルと自治体のニーズがマッチしているか、募集要項をしっかりと確認することが重要です。
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【地域おこし協力隊の募集要項】一般的な応募条件
地域おこし協力隊の募集要項は地域や任務によってさまざまですが、応募条件に共通のものもあります。
必ずしもこの限りではありませんが、次の項目は一般的な地域おこし協力隊の応募条件として挙げられるものです。
- 募集開始日時点で政令指定都市又は三大都市圏をはじめとする都市地域(過疎地域、山村振興地域、離島地域、半島地域等に該当しない市町村)に在住し、活動地区内に住民票を異動して居住できる
- 地域おこし協力隊の活動期間終了後も定住し、就業しようとする意欲を持っている
- 心身ともに健康で、地域おこし協力隊の活動以外においても地域協力活動に誠実・熱心に取り組むことができる
- 普通自動車運転免許証を有している
- パソコンの一般的な操作ができる
- 地方公務員法第16条に規定する欠格事項に該当しない
このような条件のほかに、業務内容や雇用形態にあわせた自治体独自の条件が記載されていることがほとんどです。
なお、地域おこし協力隊に関する記事は以下のページでまとめて紹介しています。参考にしてください。
参考:地域おこし協力隊について/総務省ホームページ
地方公務員法/GOV法令検索
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
【地域おこし協力隊の募集要項】業務内容・求める人材像
募集要項には、自治体が委託したい業務内容と求めている人材像が明記されています。現在募集されている地域おこし協力隊の募集要項から、どのような業務内容があるのか、また、必要なスキルや求められている人材像を見ていきましょう。(2024年5月時点)
地域の魅力向上と発信に関する業務
特産品の郷土芸能など、地域の魅力を発信することで地域のファンを増やすことを目的に、地域おこし協力隊員の募集をしている自治体があります。
主な業務は以下のようなものです。
- 魅力の掘り起こし
- コンテンツの創造
外からの目線で地域の価値を再発見し、情報発信をしたり地域人材と連携したりして、地域の再興をすることが役割とされています。
求める人材像は、具体的に以下のとおりです。
- 画像や動画の編集ができる
- SNSを使用した情報発信を得意としている
- デザイン制作の経験がある
- 地域イベントを企画したい
- 郷土芸能を盛り上げたい
発信に必要なコンテンツの不足やデジタルツールの活用に課題があることから、地域おこし協力隊員には上記のようなスキルが期待されているようです。
地域の農業振興に関する業務
地産地消の促進を目指している自治体では、地域の農業振興を目的として、地域の直売所を盛り上げてくれる地域おこし協力隊員を募集しています。
業務には以下のようなものが想定されています。
- 直売所が出店するイベントの手伝い
- 顧客創出につながるPR活動
- 販路拡大につながる活動
- 魅力創出につながる活動
人口減少や直売所を運営する人員の高齢化などにより、客足が減少していることがこの自治体の課題です。
求める人材像は以下のとおりです。
- SNSやPRが得意
- 積極的にコミュニケーションが取れる
- 営業やコンサルタントが得意
経営アイデアや魅力創出、新しい活動の企画などで、直売所を盛り上げたり状況改善のきっかけ作りをしたりすることが役割とされています。
こちらで紹介した業務内容や人材像はほんの一部。2024年5月時点で、地域おこし協力隊の募集は200件以上あります。経験やスキルだけでなく、多角的な視点を持っていることも地域おこし協力隊に期待される要素です。
どの自治体も、得意なことをいかして貢献したいという意欲がある人材を歓迎しています。
【地域おこし協力隊の募集要項】雇用形態
自治体から委託を受けて地域協力活動を行う地域おこし協力隊ですが、雇用形態は「雇用型」と「委託型」の2つがあります。それぞれの違いについて解説します。
雇用型
雇用型の場合は一般職の会計年度任用職員として任用されるため、地方公務員となります。
自治体と雇用関係にあることから、雇用保険や厚生年金などの社会保険料は自治体と折半です。
雇用される立場ですので、勤務スケジュールなどの労働におけるルールは、他の自治体職員と同様であることが一般的です。
委託型
委託型は個人事業主として働く方法で、雇用契約ではなく業務委託契約が結ばれます。
勤務形態が柔軟であることや、裁量を持って自由に活動できるのが委託型のメリットでしょう。
しかし、社会保険料は全額自己負担であるため、雇用型に比べると費用面で負担が大きくなることがあります。
【地域おこし協力隊の募集要項】給料・福利厚生
地域おこし協力隊は、地域で生活しながらさまざまな地域協力活動を行います。地域で生活することを考えると、給料や福利厚生も重要な要素です。しっかりと確認しておきましょう。
給料
地域おこし協力隊の活動にかかる年間の費用は総務省によって定められており、2024年5月時点では、地域おこし協力隊員1人あたり520万円が上限とされています。
そのうち、給料などの報酬費は上限が320万円で、報酬費以外の経費は上限が200万円となっています。年間の報酬費の上限が320万円であるということは、地域おこし協力隊の年収は320万円が上限であるということです。
各自治体の募集要項に記載されている給料を見てみると、月給20万円〜25万円程度であることが多いようです。賞与の有無は自治体によって異なります。
月給が20万円以下の自治体もありますが、その場合は各種手当や賞与があったりすることがほとんどです。
福利厚生
地域おこし協力隊には、給料のほかにさまざまな福利厚生があります。
雇用型の場合は自治体職員であるため、「健康保険、厚生年金、雇用保険」に加入しますが、ほかにも自治体ごとの福利厚生が整備されています。
具体的には以下のようなものです。
- 住宅を無償で貸与
- 活動に必要な車やパソコンなどを支給
- 移住費用として20万円を上限に引越し費用を負担
報酬費以外にかかる費用の上限は200万円ですので、その範囲内で自治体ごとにさまざまな補助が用意されています。
月給に加えてこのような補助を受けられることを考えると、生活費に余裕を持つことができそうです。
また、活動にかかる費用については、委託型であっても補助されることが一般的です。
このような福利厚生のほか、自治体の特産品が地域住民からおすそ分けしてもらえるなど、地方での暮らしならではの良さもあるようです。
任期満了後の生活も考えて地域おこし協力隊に応募しよう!
地域おこし協力隊は、経験やスキルをいかして地域活性化に貢献する仕事です。応募を検討している場合は、どのような活動をしたいのかを明確にするようにしましょう。
また、地域おこし協力隊の募集要項には「任期満了後に定住の意思があること」という記載があります。入隊を考える際には、移住後にどのような仕事をして暮らしていくのかも考えてください。
地域に根差した仕事がしたい!という人にはホテル・旅館への就業もおすすめです。