ハウスキーピングの仕事は、接客対応が少なく、黙々と作業に集中できる点から「自分のペースで働けそう」と思われがちです。一方で、実際に働いてみると「想像以上にきつい」「体力的にも精神的にも負担が大きい」と感じる人も少なくありません。
細かく多い作業や、時間に追われるプレッシャー、重い荷物の運搬など、負担の要因はさまざまです。それでも続けている人がいるのは、やりがいや働きやすさを感じられる面もあるからです。
この記事では、ハウスキーピングがきついと言われる理由を整理しつつ、きついと感じたときの対処法や、この仕事ならではのやりがい、働きやすさなどを紹介します。
ハウスキーピングがきついと言われる5つの理由
ハウスキーピングの仕事は、表に出る接客対応が少ない一方で、裏方ならではの負担も多く、「きつい」と感じる声が少なくありません。ここでは、ハウスキーピングが大変だとされる主な理由を紹介します。
こなす作業が細かく多い
ハウスキーピングの仕事は、1室の客室に対して行う作業が非常に多く、しかも一つひとつの工程が細かく設定されています。
たとえばバスルームの清掃や排水溝のチェック、ベッドのシーツ交換、備品の補充、アメニティの並べ方など、確認・実施すべき作業が多いです。
それらを複数の部屋で繰り返していくうちに、肉体的にも精神的にも疲労がたまりやすく、「こんなに多いのか」と驚く人も少なくありません。黙々と作業できるからこそ、負担の蓄積には注意が必要です。
覚えるルールや手順が多い
ハウスキーピングの仕事では、単に掃除をすればよいというわけではありません。部屋ごとの清掃順序、備品の配置ルール、使う道具の種類や使い方など、覚えるべきルールや手順が多岐にわたります。
特に未経験から始めたばかりの頃は、「次は何をすればいいのか」「これは正しいやり方なのか」と迷う場面が多く、頭がいっぱいになりがちです。
さらに、現場では一定のスピードも求められるため、覚えながら素早く動くという難しさがプレッシャーになることもあります。
時間の余裕がない
ハウスキーピングの仕事は、時間との戦いでもあります。チェックアウトから次のお客様のチェックインまでの限られた時間内に、すべての清掃と準備を終える必要があります。
そのため、1人あたりの担当部屋数に対するノルマも決まっており、丁寧に、そしてとにかく早くという両立が求められます。
常に時計を気にしながら作業を進めるため、焦りやプレッシャーがつきまとうのも大きな負担です。時間に追われる日々が「きつい」と感じる一因になることも多いでしょう。
持ち運ぶものが意外と重い
ハウスキーピングの現場では、清掃道具だけでなく大量のタオルやシーツ、補充用のアメニティや洗剤などをワゴンに積んで移動する場面が多くあります。このワゴンが意外に重く、特にリネン類が湿っているとさらに負担が増します。
また、移動には狭い通路や段差、階段を通ることもあり、腕や腰に大きな負担がかかることもしばしば。
力に自信がない人にとっては、かなりつらいと感じる作業になるでしょう。見た目以上に体力勝負の一面があるのが、ハウスキーピングの実情です。
仕上がりに妥協できない
ハウスキーピングの仕事では、ほんのわずかな見落としがクレームにつながることもあります。
たとえば、髪の毛1本の残りやアメニティの補充漏れで、「掃除が行き届いていない」と感じさせてしまうおそれがあるのです。
そのため、どんなに時間が押していても丁寧さは欠かせません。スピードと同時に清掃のクオリティも求められるため、常に高い集中力を保ち続ける必要があります。
急いでいても手が抜けないというプレッシャーは、想像以上に精神的な負担となることも。
このように、ハウスキーピングの仕事には、体力的な厳しさや精神的なプレッシャーが伴うことも少なくありません。
もし、このまま続けられるか不安と感じる場合は、働く環境を見直しましょう。
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ハウスキーピングをきついと感じたときの対処法4つ
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ハウスキーピングの仕事をきついと感じる理由は人それぞれですが、負担を軽減するためにできる工夫や選択肢は複数あります。ここでは、きついと感じたときの対処法を紹介します。
仕事の進め方を工夫する
ハウスキーピングの負担は、作業のやり方によって大きく変わることがあります。
清掃の順番や使用する道具の持ち方、物の配置などを見直すことで、効率よく進められるようになります。
また、業務に慣れているスタッフの動きを参考にすることで、無駄な動作を減らし、体力的な消耗を抑えることができます。
今の職場が合っているか考える
同じ仕事内容でも、職場によって業務の進め方やサポート体制、雰囲気は異なります。
教育体制が整っていない職場や、過度な人手不足の環境では、仕事が必要以上にきつく感じられることもあるからです。
自分の希望や働き方に合った環境を見直すことで、業務負担が軽減される可能性があります。
清掃以外の職種にも目を向けてみる
業務そのものの適性に不安を感じる場合は、職種変更も視野に入れることができます。
ホテル業界には、フロント、事務、レストランなど、体力負担が比較的少ない業務も存在します。
清掃業務にこだわらず、自分の性格や体調、希望条件に合った職種を選ぶことで、より長く安定して働くことが可能になるでしょう。
休む・辞めるという選択肢もある
疲労が蓄積し、心身に不調が出ている場合は、無理をせず一度距離を取ることも重要です。
働き続けることにこだわりすぎず、休息や転職といった選択肢を検討することで、状況を立て直しやすくなります。
継続するか見極める余裕を持つためにも、ほかの職場情報を収集することは有効な手段です。
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きついと感じても続ける人もいる|ハウスキーピングのやりがい
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ハウスキーピングの仕事は、たしかに体力や集中力を求められる大変な面もありますが、それでも続けている人が多いのは、日々の業務の中で確かなやりがいを感じられるからです。ここでは、ハウスキーピングならではのやりがいを紹介します。
仕上がった部屋を見て達成感を得られる
ハウスキーピングは、作業の結果が目に見えてわかる仕事です。
整えたベッドやピカピカになったバスルーム、丁寧に配置されたアメニティを見渡したとき、自分の手で「快適な空間」をつくり上げた実感が得られます。
目の前の成果がはっきり残るからこそ、「今日もやりきった」という達成感が得やすく、モチベーションにつながる人も多いです。
お客様やスタッフから感謝されることがある
清掃後に直接会話を交わすことは少なくても、「部屋がきれいで嬉しかった」といった感謝の声や、現場の仲間からのねぎらいの言葉が届くこともあります。
自分の仕事が誰かの快適な時間を支えていると感じられる瞬間は、やりがいにつながる大切な要素です。
作業効率が上がっていく達成感がある
最初は戸惑った作業も、慣れてくるにつれて「次はこれ」と身体が自然に動くようになります。
作業の順序を工夫したり、自分なりの時短テクニックを見つけたりして、少しずつ効率が上がっていく過程に成長を実感できます。
自分の工夫が時間短縮や負担軽減につながるのも、継続する中で感じられるやりがいの一つです。
清掃の質にこだわるプロ意識を持てる
ただ掃除をこなすだけではなく、次に入るお客様が気持ちよく過ごせるかを意識して清掃の質を高めていくと、自然とプロ意識が芽生えてきます。
細かい気配りや美しさへのこだわりが評価される環境だからこそ、「もっと上手くなりたい」と思えるようになる人もいます。技術を磨く過程そのものが、自信とやりがいにつながっていくのです。
きつさのなかに見える、ハウスキーピングの働きやすさ
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ハウスキーピングの仕事には負担の大きい面もありますが、一方で働きやすいと感じて続けている人も多くいます。ここでは、ハウスキーピングならではの働きやすさについて見ていきましょう。
自分のペースで黙々と働ける
ハウスキーピングの仕事は、一人で黙々と作業を進めるスタイルが基本です。
人と話すことが少なく、周囲との会話に気を使う必要があまりないため、「自分のペースで集中したい」「静かな環境で働きたい」という方に向いています。
接客よりも作業に集中したい方にとっては、働きやすい職場環境といえるでしょう。
生活リズムを整えやすい
多くのハウスキーピングの仕事は、日中の時間帯に働くことが多く、深夜勤務や変則的なシフトが少ない点も特徴です。
そのため、生活リズムが安定しやすく、家庭との両立や規則正しい暮らしを希望する方にも向いています。
決まった時間に働けるという点で、長く続けやすい働き方といえるでしょう。
接客対応がほとんどない
宿泊業界の仕事というと接客をイメージしがちですが、ハウスキーピングは裏方の仕事であり、お客様と直接会話する機会はほとんどありません。
「人と話すのが苦手」「接客は少し不安」と感じている方でも取り組みやすく、ストレスを感じにくいのが大きなメリットです。
未経験でも始めやすい
ハウスキーピングの仕事は、特別な資格や経験がなくても始められるケースが多く、採用のハードルが比較的低めです。
マニュアルが整っていたり、先輩スタッフのサポート体制があったりする現場も多く、未経験者でも安心してスタートできます。
「新しい仕事にチャレンジしたい」「体を動かす仕事に興味がある」という方にもおすすめです。
働きやすさ重視の求人を紹介してもらう自分に合うハウスキーピング求人を見つけるには
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ハウスキーピングの仕事がきついと感じるかどうかは、働く環境や条件との相性にも大きく左右されます。
ここでは、求人を探す際に注目すべきポイントや、給料・働き方の傾向、サポートを受けながら自分に合った職場を見つける方法を紹介します。
求人でミスマッチを防ぐために見るべきポイント
ハウスキーピングの仕事は、施設や雇用形態によって働き方に大きな差があります。
応募前に以下のような点を確認しておくことで、働き始めてからのミスマッチを防ぐことができます。
- 勤務時間の形式(シフト制か時間帯固定か)
- 1日の担当部屋数やノルマの有無
- 休憩時間や残業の実態
- 研修制度やマニュアルの整備状況
- スタッフの人数体制(1人作業かチーム作業か)
特に未経験から始める場合や、体力的な負担に不安がある人にとっては、こうした事前情報が自分に合った職場を選ぶうえで重要な判断材料になります。
給料・働き方・職場環境に注目
厚生労働省の職業情報提供サイト job tagによると、ホテルや旅館で働くハウスキーピング(客室清掃)の平均月給は20.8万円でした。
ただし、これはあくまで全国平均であり、実際の給与額は地域や施設の規模、雇用形態、経験年数などによって差があります。
働き方の条件にも注意が必要です。たとえば、平日のみ働ける求人なのか、土日祝勤務が必須なのかといった違いは、家庭との両立やライフスタイルに直結します。
また、Wワークが可能かどうかや、扶養内での勤務に対応しているかも、求職者によっては重要なポイントになるでしょう。
さらに、働きやすい職場かどうかを判断するには、スタッフの定着率や、現場の人間関係、サポート体制などにも目を向ける必要があります。
給与額だけでなく、職場の空気感や制度面を含めて総合的に判断することが、自分に合った職場を見つける近道です。
無理なく働ける職場を見つけたいなら
きついと感じながら働き続けるのは、心身にとって大きな負担です。
ですが、求人を比較検討してみると、負担の少ない職場や働きやすさを重視した清掃の仕事も多く見つかります。
一人で探すのが不安な方は、希望条件に合った求人を紹介してくれるサービスを活用するのも一つの手です。
清掃経験の有無や体力面への不安など、細かい相談にも応じてくれる求人紹介サービスを利用して、自分に合う職場を見つけていきましょう
条件に合う求人を紹介してもらうハウスキーピングの仕事に関するよくある質問
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ハウスキーピングの仕事に興味はあっても、実際に働く前には「どんな業務内容なの?」「資格は必要?」といった不安や疑問があるものです。ここでは、求職者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
ホテルでハウスキーパーになるには資格は必要ですか?
資格なしでも働ける求人を紹介してもらうハウスキーピングでやることは何ですか?
ホテル清掃は1人で何部屋くらい担当しますか?
清掃中にお客様が部屋にいることはありますか?
連泊時の清掃はどの程度行うのですか?
ハウスキーピングの仕事がきついと感じたら、無理なく働ける道を探そう
ハウスキーピングの仕事には、作業量や時間的プレッシャー、体力面での負担など、「きつい」と感じる要素があるのも事実です。
とはいえ、そのなかでやりがいや働きやすさを見つけ、前向きに続けている人もいます。
大切なのは、自分にとって無理なく働ける職場を選ぶこと。仕事内容や環境、待遇は職場によって大きく異なるため、自分に合った働き方を実現することで、負担感をグッと軽減できるかもしれません。
おもてなしHRでは、未経験から始めやすい仕事や、働きやすさを重視した職場など、あなたの希望に合ったホテル清掃の求人を紹介しています。
「今の働き方が合っていないかも」と思ったら、一度立ち止まって、理想の働き方を見つめ直してみてくださいね。
無理なく働ける職場を探してもらう