マスツーリズムとはどのような旅行?

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「旅行のスタイルがマスツーリズムからニューツーリズムに変化した」と言われて久しい昨今、若い世代はマスツーリズムのイメージがつきにくいのではないでしょうか。
ニューツーリズムとは「サステナブルツーリズム」や「ロケツーリズム」などに細かく分類される個人旅行です。有名観光地の物見遊山ではなく、ひとりひとりの趣味嗜好にマッチした体験が中心であることが特徴。
では、かつて一般的であったマスツーリズムは、どのような旅行なのでしょうか。また、マスツーリズムが下火になったことで、観光業界はどのように変化したのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
マスツーリズムの特徴4選

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マスツーリズムは、かつて富裕層のものであった旅行が大衆化したことによって広まり、日本においては1970年代に人気が高まりました。
万博の開催や交通網の発達、大型ホテルや旅館の相次ぐ開業に加え、テレビや雑誌でさかんに旅行情報が発信されたことなどが、ブームのもととして挙げられます。
マスツーリズムの特徴を見てみましょう。
集団・団体での旅行
マスツーリズムの「マス」は「集まり・集団」という意味です。その名のとおり、マスツーリズムは集団・団体での旅行。
社員旅行や町内会の旅行の他、旅行会社でも大人数で行くパッケージツアーが数多く販売されました。
行き先は「定番のスポット」
マスツーリズムは定番の観光スポットを見物することが中心の旅行です。テレビや雑誌で取り上げられた場所に足を運ぶことが、一種のトレンドだったと言えるでしょう。
特に人気があったのはハワイやバリ島、グアムといった南の島です。海外においてもその傾向は強く、北部に住む豊かな人々が南部のやや貧しい地域に足を運ぶというスタイルがポピュラーでした。
また、社員旅行では勤務地からアクセスが良い地域の温泉が人気を集めました。大きな宿泊施設・観光施設が次々にオープンするなど、温泉地が大変なにぎわいを見せたこともマスツーリズム時代の特徴として挙げられます。
「本物らしさ」の演出
マスツーリズムでは「本物を体験すること」よりも「本物らしさを見ること」が重視されたと言われています。
ハワイやバリ島などで暮らす人々が、よその地域の人がイメージする「南国の人」を演じたり、伝統の踊りを観光客向けにアレンジして披露したり。
地域の実態よりも、期待どおりのイメージを表現することが喜ばれたのですね。
批判の的になることも
大きなブームを起こしたマスツーリズムですが、批判の的になることも少なからずありました。
「集団で見物するだけの旅行は本当の旅と言えるのか」「観光地が商業主義に走りすぎて本来の魅力が損なわれている」「集団行動で気が大きくなるせいでマナーが悪くなる」といった意見が代表的な例です。
また、観光地の整備による自然破壊も問題視され、リゾート開発反対運動が起きたことも。
マスツーリズムブームの終了は観光業をどう変化させたのか

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マスツーリズムが下火になった背景には、バブルの崩壊や個人の意思を尊重する考え方の浸透、有給休暇の取得に関するリテラシーの高まりなどがあります。
また、80年代からはエコ活動が意識されはじめ、環境に負担を掛けるマスツーリズムが避けられるようになったことも挙げられます。こうした変化は、観光業にどのような影響を与えたのでしょうか。詳しく見てみましょう。
大型施設の閉鎖や倒産
マスツーリズムブームの流行が終わるにつれて、観光地や温泉地における大型施設の閉鎖・倒産が相次ぎました。
かつて大にぎわいだった温泉街が、ガラガラの状態になっている光景を目にしたことがある人もいるのではないでしょうか。建物を取り壊す資金もなく、廃墟だらけになっている温泉街も少なくありません。
小規模施設の増加
大規模施設が閉鎖・倒産した後は、小規模施設が続々と誕生しています。ひとり旅や少人数でのグループ旅行が主流の現代は、施設の大きさよりも商品・サービスの質が求められるのではないでしょうか。
また、小規模な宿泊施設も増加しています。マスツーリズムでは至れり尽くせりのサービスを提供するホテル・旅館が人気を集めていましたが、現代では安全な睡眠・休息のみを目的としたシンプルな宿に高い需要があります。
施設・サービスの多様化
ニューツーリズムへの対応によって、観光施設やサービスの内容が多様化しています。テーマのあるホテルの客室や、珍しい体験ができる施設、ひとつのメニューに特化した飲食店などが、代表的な例と言えるでしょう。
また、個々のリクエストに応えるきめ細やかな対応力も求められるようになりました。
マスツーリズムを見直して変化する旅のスタイルに備えよう!
旅行のスタイルは時代と共に変わり続けるものです。今後の変化に備えるためには、過去の事例を学ぶことも必要ではないでしょうか。今回の記事を参考に、マスツーリズムに対する理解を深めてくださいね!
なお、ホテル・旅館の仕事を探す際には、おもてなしHRが力になります。