ホテルでの検温は義務化している?
新型コロナウイルス感染症の対策として、宿泊施設に限らず「検温」をする飲食店やショッピングモールなどがほとんどですよね。
厳密にいうと、検温は義務ではありませんが、厚生労働省からの協力依頼という名目で検温を行っています。
ホテルではチェックインの入館時に検温を行い、37.5℃以上で発熱・咳・咽頭通などの症状があれば、各ホテルが定める基準に従うこととされているようです。お客様がそのような症状がある場合、入館・宿泊をお断りするホテルも少なくありません。
お客様だけでなく、従業員も毎日の出勤時に検温を実施しています。従業員にも37.5℃以上の発熱が確認されたときには、どの宿泊施設でも勤務しないように徹底しています。
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最近のホテルではどんな検温スタイルが多い?
感染症の流行が見られてからは、非接触タイプの検温計を使用しているホテルがほとんどです。非接触の検温計にもタイプが分かれているので、それぞれチェックしていきましょう。
赤外線測定
赤外線測定の検温計はピストル型のものが多く、軽量で持ちやすいことが利点です。赤外線測定の場合スタッフが検温計を持ち、入館するお客様の額に検温計から赤外線を当てると、液晶画面にお客様の体温数値が表示されます。
発熱があればアラートで警告してくれるので、手軽な赤外線測定を使用するホテルは多いようです。
AI検温モニター
AI検温モニターを使っているホテルは、入館口に設置しています。モニターに額を見せるだけで検温してくれる自動検知、もしくは顔認識の検温計です。
測定精度が非常に高く、お客様にモニターの前に立ってもらうだけなので、スタッフの負担も軽くなります。
また、IDカードやICカード、指紋認証など、さまざまな周辺機器を拡張すれば、従業員の検温と同時に入退室や勤怠管理ができるものもあるので、業務効率化を考慮してAI検温モニターを取り入れるホテルも増えてきています。
サーモグラフィー
サーモグラフィーはAI検温モニターと同様に、通常は入館口に設置されています。
体表面の発熱状態を2次元の面分布で可視化し、赤外線測定などの額だけをみる測定方式に比べると、広範囲の温度計測を行うことができます。そのため、より確かな体表面の発熱状態を検査することができるのです。
体表面の体温分布の画像はお客様も確認できるので、発熱者の入館を自主的に留まらせる効果もあり、安全意識を高めるメリットもあります。
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ホテルが検温を実施することで新たな課題も
「Go To トラベル」は感染防止策の徹底を条件に、政府の旅行需要喚起柵として始まりました。感染防止策のなかには、もちろん検温も条件に入っており、引き続き37.5℃以上の熱があったら宿泊をお断りするケースも十分考えらえます。
しかし、旅館業法では発熱などの健康上の理由で宿泊を拒むことを禁じており、ホテル・旅館業界では「もし検温に引っかかるお客様がいたら、お帰りいただけるのか」などのように、悩みの種となっているようです。
そのため検温などの感染防止策をとっていても、発熱したお客様への対応が難しいといった声も挙がっています。
実際にホテルが発熱者の対応策として挙げているのが、以下のパターンがほとんどです。
・来館前に咳や風邪の症状、体温37.5℃以上の発熱があるときはお客様に遠慮してもらう
・一部施設の利用を制限する
・宿泊プラン内容を変更してもらう
・発熱・咳・咽頭痛などの症状があるお客様には、他のお客様と接触しない個室で待機してもらい、外出を控えてもらうように依頼する
お客様のなかには、もともと平熱が高い方もいらっしゃる可能性があります。検温計で発熱症状が見られたとしても、お客様とコミュニケーションを取りながら丁寧に接することが求められるかもしれませんね。
感染症対策の検温は「発熱者対応」も具体的に考えよう
感染症対策の一環で検温計を揃えたとしても、発熱者対応が曖昧になってしまうと、お客様に不快感を与えかねません。
事前に自社ホームページなどで具体的な発熱者対応を明記したうえで、予約時などに改めて電話やメールで一言添えることが必要です。あるホテルでは、検温のほか、お客様に「健康チェックシート」への記入もお願いしている施設もあるそうです。
万が一、お客様から発熱などの症状を相談された場合は、ただちに保健所や医療機関へ連絡し指示を仰ぎましょう。
また、発熱などの症状や、新型コロナウイルス感染症の疑いがあるお客様から宿泊予約のキャンセルをされた場合はキャンセル料が発生します。
ただ、発熱などの症状でキャンセルされた場合、頂いたキャンセル料を”未来の宿泊代の前払い”としてお預かりするシステムを取っているホテルもあります。改めてキャンセルポリシーを見直すことも欠かせませんね。
今後、なんの問題もなくお客様にサービスを提供していくためにも、検温以外の対応も具体的に明示しておくことが、お客様とスタッフの安全を守ることにつながっていくでしょう。