ショコラティエの仕事内容とは?パティシエとの違い・資格・給料まで徹底解説

ショコラティエ

憧れのショコラティエという職業は、華やかな反面、「実際はきつい」「給料が低い」といった厳しい現実もささやかれます。

ショコラティエとは、チョコレートの製造技術を極め、創作・販売・企画までを一貫して担う、専門性の高い洋菓子職人 です。未経験からでも挑戦可能ですが、パティシエ同様、体力と繊細な技術力が不可欠となります。

この記事では、ショコラティエの一日の仕事の流れから、年収、テンパリングなど学ぶべき技術まで、ショコラティエの具体的な仕事内容を分かりやすく解説します。

目次

ショコラティエは「チョコレートの創作・販売・企画を担う専門職」

ショコラティエは、カカオというひとつの素材を深く探究し、その無限の可能性を芸術性として表現する洋菓子のプロフェッショナルです。

チョコレートの製造技術を極め、創作・販売・企画までを一貫して担う専門性の高い洋菓子職人ですが、単に製造するだけでなく、お客さまに最高の体験を提供する役割も担います。

パティシエと比べて給与水準は大きく変わりませんが、ショコラティエはその専門性を活かした独立やブランドチーフへの道が開けており、将来的に年収アップを目指しやすい職種ともいえます。

資格は必須ではありませんが、体力勝負の側面や繊細な技術力が求められるため、経験を積むための強い熱意と計画性が不可欠となります。

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ショコラティエの主な仕事内容4選|製造から販売・企画まで

商品を作るショコラティエdark_blade / stock.adobe.com

ショコラティエの仕事は、単にチョコレートを作るだけではありません。

理想の味と形を追求する「職人」としての側面と、お客さまに魅力を伝える「接客・販売員」としての側面、さらにゼロから商品を生み出す「企画者」としての役割があります。

パティシエが洋菓子全般を扱うのに対し、ショコラティエはチョコレート製品に特化する製菓職人であり、より専門性が求められます。ここでは、そんなショコラティエの業務全体像を4つの役割に分けて解説します。

  1. カカオ豆から完成品まで一貫して担う「チョコレート製造」
  2. 売上に直結する「接客・販売」と店舗管理
  3. ブランドの未来を決める「商品開発・企画」
  4. 信頼の基本となる「衛生管理・清掃」

1.カカオ豆から完成品まで一貫して担う「チョコレート製造」

ショコラティエのメイン業務であり、カカオ豆の選定から、ブレンド、最終的なコーティングまでを担当します。この製造プロセスこそ、ショコラティエの技術力が光る部分です。

なかでも、チョコレートの光沢や口溶けを左右するテンパリング(調温)は、もっとも重要な技術です。

カカオバターの結晶を安定させるため、通常は45℃→27℃→31℃のように細かく温度を調整します。1℃の誤差でも失敗する可能性があることから、このテンパリング技術は、プロの命ともいえるでしょう。

また、ガナッシュやプラリネなどのフィリング(中身)を作り、チョコレートでコーティングする作業も行います。特に生菓子は、このような鮮度と繊細な技術が求められます。

2.売上に直結する「接客・販売」と店舗管理

ショコラティエは、自分が製造した商品の知識を直接お客さまに伝え、好みに合った洋菓子を提案する、販売のプロでもあります。

たとえば、チョコレートの風味や、どんな素材を使っているかを説明したり、お客さまの特別な日や目的に合わせた洋菓子を提案したりします。

また、商品のディスプレイを調整し、チョコレートをもっとも美しく、魅力的に見せる店舗管理における工夫も重要でしょう。在庫管理や発注業務も忘れてはいけない仕事のひとつです。

3.ブランドの未来を決める「商品開発・企画」

ブランドの未来を担う、創造的で芸術性の高い仕事のひとつが新作商品開発です。

季節のフルーツやトレンド、イベント(バレンタイン、クリスマスなど)に合わせた新作の試作を繰り返します。

また、どのような層に、どんな感動を与えたいかを考え、マーケット調査やコンセプト設計も行います。

4.信頼の基本となる「衛生管理・清掃」

食品を扱うプロとして、衛生管理はもっとも重要です。製造機器や工房の清掃を毎日徹底して行い、雑菌の繁殖を防ぎます。

チョコレートは温度や湿度に繊細なため、製品を保管する場所の環境管理も欠かせません。

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ショコラティエの一日が分かる!具体的なスケジュール例

時計とWHENという英字78art / stock.adobe.com

一般的なデスクワークとは異なり、ショコラティエの仕事は早朝から始まり、一日の大半を立ちっぱなしで過ごす体力仕事です。具体的な勤務時間と流れを表で確認し、現場のリアルなスケジュールをイメージしましょう。

時間帯 主な業務内容 業務詳細とポイント
7:00〜8:00 出勤・仕込み作業
(早番)
・衛生管理を徹底しながら、その日の製造計画を確認
・ガナッシュ作りや、前日に仕上げられなかったベースの仕込みを開始
8:00〜10:00 製造・成形
(製造業務のピーク)
・チョコレート製品の最終仕上げ
・特に温度管理が重要なテンパリング、トリュフやボンボンの成形作業に集中
・技術力と繊細さが求められる時間帯
10:00〜11:00 開店準備・ディスプレイ ・出来上がったチョコレートや生菓子をショーケースに並べる
・商品の欠品チェックや、美しく魅力的な店舗ディスプレイを意識する
11:00〜15:00 開店・販売・休憩 ・お客さまへの接客、販売業務が中心(休憩を順次取得)
・この間に、在庫状況を見ながら追加の製造や、翌日の仕込みも並行して行う
15:00〜17:00 商品開発・事務作業 ・季節限定商品や新作の商品開発のための試作時間にあてることも多い
・または、発注業務などの事務作業
17:00〜19:00 接客・閉店準備 ・退勤するスタッフが出るため、接客と並行して閉店に向けた準備を進める
・清掃、衛生管理のための製造器具の洗浄
19:00〜20:00 閉店・翌日の準備
(遅番)
・閉店作業
・翌日のスケジュールとタスクを明確にし、製造に必要な材料の準備や補充を行い、退勤

なお、このスケジュールは一例であり、大規模なホテルや工房では、製造と販売が完全に分業されている場合もあります。

ショコラティエへの転職を考えている場合は、自分の希望の勤務時間や働き方に合った職場を探すことが大切です。

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ショコラティエの仕事は大変?やりがいと厳しい現実

反対の方向を指す二つの矢印Ratana21 / stock.adobe.com

憧れの仕事であるショコラティエですが、現実には体力的な負担や精神的なプレッシャーもあります。「華やかな側面」と「きついと感じる側面」の両方を知っておくことが、入社後のミスマッチを防ぐカギです。

肉体的・精神的に「大変」だと感じる3つの側面

ショコラティエへの転職を考える方にとって、特に「体力」と「勤務時間」は大きな不安要素かもしれません。

体力

重いカカオ豆や材料の運搬、長時間立ちっぱなしの作業が中心で、特に繁忙期(クリスマス、バレンタイン)は勤務時間が伸び、休みも取りづらい傾向があります。なかには、1日10時間以上立ち続ける日があることも珍しくありません。

繊細な技術

チョコレートは温度や湿度の影響を極めて受けやすいため、テンパリングなどの些細なミスが品質に直結するプレッシャーがあります。

そのため、常に完璧な技術を維持する忍耐強さも求められるでしょう。

きつい給与水準

見習い期間の給料は低く、「手取りが少ない」と感じる可能性もあります。

給料の詳細は後述しますが、一人前になるまで我慢が必要な点も、厳しい現実のひとつでしょう。

ショコラティエだけがもつ「やりがい」と「感動」

厳しい側面がある一方で、ショコラティエだからこそ得られるやりがいは、何物にも代えがたいものです。

たとえば、自分の創作したチョコレートがお客さまを笑顔にする瞬間に立ち会える感動や、テンパリング・デコレーションなどの技術力が上がったことを実感でき、明確な成長曲線を感じられる達成感もあるでしょう。

チョコレートという素材を通じて、世界的に通用する芸術性を追求し続けることができる点も、やりがいのひとつとして挙げられます。

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未経験からショコラティエになるための必須スキル・資格・ステップ

3つのポイントを指す電球Sergey Nivens / stock.adobe.com

現在の職業からキャリアチェンジを目指す方にとって、もっとも気になるのが「何から学ぶべきか」でしょう。ショコラティエに必須の資格はありませんが、就職を有利に進めるために準備すべきスキルとステップを解説します。

ショコラティエに必須のスキルは「技術力」と「情熱」

ショコラティエは、熱意があれば未経験からでも働くことは可能な職業ですが、「製菓に関する基礎知識」と「チョコレートを極めたいという情熱」は必須です。

求められる技術力としては、完璧なテンパリング、高度な衛生管理、ラッピング、レシピ考案などが挙げられます。

手先の器用さや忍耐強さ、体力、そして新しい創作に挑戦し続ける探究心ももっていれば、ショコラティエに向いているでしょう。

たとえば、趣味でお菓子作りを継続しているような方であれば、すでに繊細さや熱意といった資質をもっているといえます。

もっていると就職に有利な「資格」

ショコラティエの仕事に必須の資格はありませんが、知識の証明となり就職に有利に働く資格はあります。

「菓子製造技能士」や「製菓衛生師」は製菓に関する知識と技術の証明となり、特にホテルや大手ブランドの採用では高く評価される傾向があります。

また、「食品衛生責任者」は、衛生管理の重要性から、店舗では取得が必須となる場合があります。

ショコラティエになるための3ステップ

未経験からショコラティエを目指すための具体的な道のりは、主に以下の3ステップが考えられます。

STEP1.専門学校で製菓の基礎を学ぶ

知識や経験を網羅的に学ぶことができますが、時間と費用がかかります。そのため、20代未経験者のなかには、転職後の現場で学ぶことを選ぶ方も増えているようです。

STEP2.現場に飛び込み、見習いとして経験を積む

すぐに現場で働き始められるため、即戦力として活躍できますが、基本技術は独学やOJTで学ぶ姿勢が大切です。

STEP3.留学や海外研修で経験を積む

グローバルな知識や技術を得ることができますが、ハードルは高いです。この場合でも、数年の国内経験を積んでから挑戦するのが一般的でしょう。

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ショコラティエとパティシエの決定的な違いは役割とキャリアパス

チョコレートショップnight / stock.adobe.com

洋菓子の世界でキャリアを選ぶ際、多くの方がパティシエと比較します。両者の仕事内容やキャリアの違いを明確に理解することで、自分にとって最適な道を見つけましょう。

ショコラティエとパティシエの仕事内容と役割の違い

両者の違いを以下の表で比較し、自分が本当に目指すべき仕事を明確にしましょう。

職業 ショコラティエ パティシエ
主な専門分野 チョコレート製品に特化 洋菓子全般(生ケーキ、焼き菓子、デコレーションなど)
扱う商品例 ボンボンショコラ、トリュフ、板チョコレート、マカロン、一部の生菓子 ショートケーキ、タルト、シュークリーム、マカロン、焼き菓子全般
必須技術 テンパリング(温度管理)の技術、カカオの知識、繊細なデコレーション 生地作り、クリーム作り、オーブンや型の扱い、多様な洋菓子への対応力
業務の特性 通年で製造・販売する商品が多い。専門性が極めて高い 季節やイベントによって創作するものが大きく変わる。幅広い知識が求められる
主な活躍の場 チョコレート専門店、工房、高級ホテルのショコラ部門 街の洋菓子店、ホテルの製菓部門、レストラン、ブライダル
求められる資質 探究心、芸術性、技術力、忍耐強さ 臨機応変さ、幅広い経験、スピード、体力

給料・年収相場の違いは「専門性」への評価

見習い期間の給料はパティシエとほぼ同等の傾向がありますが、ショコラティエは専門性が高いため、独立後やチーフ昇進後の年収に差が出る可能性があります。

チョコレートというニッチな分野を極めることで、市場価値を高めることが期待できるでしょう。

なお、給料・年収については、次章でより詳しく解説します。

▼ホテルにおけるパティシエの働き方についてさらに詳しく知りたい方はこちら
ホテルのパティシエ!洋菓子店とは異なる働き方や必要な要素を見てみよう

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ショコラティエの給料・年収相場は?働く場所別のキャリアパス

瓶の中に入ったコインと植物sam / stock.adobe.com

仕事の厳しさを知ったうえで、現実的に得られる給料や将来の年収はどうかを、キャリアパスとセットで考えることで目標設定が可能になります。ここでは、ショコラティエの給料や年収相場を紹介します。

ショコラティエの平均年収と初任給相場

ショコラティエは専門職であるため、公的な統計資料では「パティシエ」または「菓子職人」として分類されます。

製菓業界全体で見ると、初任給・見習い期間の給料は、月収で180,000円〜220,000円が相場といわれています。

厚生労働省の資料によると、洋菓子製造やパティシエの年収は、全国平均で約366.2万円と提示されています。

このように、300万円〜450万円が平均年収のボリュームゾーンである傾向にありますが、これはパティシエ・菓子職人全体のデータであり、経験や勤務地によっても大きく変動するようです。

チーフやスーシェフへの昇進、商品開発への貢献など、専門性と経験が評価されることで、給料が上がる可能性があるでしょう。

【キャリアパス】年収アップを目指せる働く場所3選

給料・年収アップを目指すためのキャリアの選択肢は、主に以下の3つが考えられます。それぞれのメリットとおさえておきたいポイントをしっかり確認しておきましょう。

  1. ホテル:優良なホテルの製菓部門やショコラ専門部門では、安定した給料、福利厚生、ブランド力を得られる傾向がある
  2. 海外ブランド:高い技術力が求められる場所である一方で、世界レベルの経験と技術を学ぶことができ、帰国後の年収アップにつながる可能性がある
  3. 独立:リスクは大きいものの、成功すればもっとも年収が高いキャリア。独自の創作とブランド力がカギとなる

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ショコラティエの仕事内容に関するよくある質問

FAQAlessandro Capuzzo / stock.adobe.com

ショコラティエへの転職を目指す際に、多くの方が抱える細かな疑問をQ&A形式でまとめました。

ショコラティエになるために今から始めるべきことは何ですか?

たとえば趣味でチョコレート作りを継続されている方であれば、テンパリングなどの基礎技術を独学で深めることに挑戦してみてはいかがでしょう。また、人気店の接客を経験するなど、販売やおもてなしの姿勢を学ぶことも大切です。

働く環境(工房、店舗)はどのような雰囲気ですか?

個人工房はきつい側面もありますが、オーナーから直接、専門技術と経営のノウハウを学ぶことができる雰囲気です。一方、大手ホテルやブランドは分業制が進んでおり、教育体制が整っている傾向があります。

30代・未経験でも、ショコラティエへの転職は可能ですか?

はい、可能です。経験よりも熱意とポテンシャルが評価される業界ですが、専門学校や独学で学ぶ姿勢、そして体力と忍耐強さが大切になります。若いうちに挑戦し、経験を積む計画を立てることをおすすめします。

\未経験歓迎!/

入社後も安心の定着サポートまで一貫支援 出典:洋菓子製造、パティシエ/職業情報提供サイト(job tag) 出典:製菓衛生師/厚生労働省 出典:菓子製造技能士/厚生労働省 出典:食品衛生責任者について(現行の取扱い)/厚生労働省

ショコラティエに必要な「繊細な技術」と「熱意」を活かすなら「おもてなしHR」へ

ショコラティエは一見華やかな職業のようにみえますが、その創作の裏には、体力が必要な製造業務や、繊細なテンパリング技術、そして厳しい給料水準といった現実があります。

しかし、チョコレートを極めたいという強い熱意と、あなたが培ってきた繊細な技術は、「唯一無二のやりがい」を生み出す力となります。

あなたのキャリアの決断をサポートするため、「おもてなしHR」では宿泊・ホテル業界に特化したプロの転職支援を提供しています。

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憧れの仕事への第一歩を、ぜひ私たちいっしょに踏み出しましょう。

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