宿泊業の現場で外国人を採用する際、在留資格の種類や活動内容を正しく把握することは欠かせません。
「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人に個別に指定する在留資格で、ワーキングホリデーやインターンシップ、EPA看護師・介護福祉士候補者など幅広い活動があります。
この記事では、2025年5月時点の最新告示に基づき、宿泊業で採用可能な特定活動の告示番号一覧や就労可否、在留期間、企業が押さえるべき手続き・対応ポイントをわかりやすく解説します。
特定活動とは、法務大臣が外国人に個別に指定する在留資格
特定活動(告示特定活動)は、法務大臣が個々の外国人について「この活動をしてよい」と個別に指定する在留資格です。
活動内容は告示番号ごとに、以下のように細かく定められています。
該当する活動例
- 外交官等の家事使用人
- ワーキングホリデー
- 経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師・介護福祉士候補者など
在留期間は、5年・3年・1年・6カ月・3カ月、または法務大臣が個別に指定する期間(最長5年まで)です。
告示番号によって就労可否や活動範囲が異なるため、採用する企業側は「どの告示番号に該当する外国人なのか」を必ず確認する必要があります。

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2025年最新!外国人の特定活動告示一覧
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宿泊業などで外国人を採用する際は、在留資格「特定活動」に基づく活動内容や在留期間、就労の可否、雇用条件を正しく把握することが重要です。
以下は、法務大臣が個別に指定する特定活動の告示番号ごとの活動内容をまとめた表です。
| 告示番号 | 活動内容 | 告示番号 | 活動内容 |
|---|---|---|---|
| 1号・2号・2号の2~4 | 外交官等の家事使用人 | 34号 | 高度専門職外国人又はその配偶者の親 |
| 3号 | 台湾日本関係協会職員及びその家族 | 35号 | 削除 |
| 4号 | 駐日パレスチナ総代表部職員及びその家族 | 36号 | 特定研究等活動 |
| 5号・5号の2 | ワーキングホリデー | 37号 | 特定情報処理活動 |
| 6号・7号 | アマチュアスポーツ選手及びその配偶者・子 | 38号 | 特定研究等活動者又は特定情報処理活動者の配偶者・子 |
| 8号 | 国際仲裁代理 | 39号 | 36号又は37号外国人又はその配偶者の親 |
| 9号 | インターンシップ | 40号・41号 | 観光・保養を目的とする長期滞在者とその同行する配偶者 |
| 10号 | 英国人ボランティア | 42号 | 製造業外国従業員受入事業における特定外国従業員 |
| 11号 | 削除 | 43号 | 日系4世 |
| 12号 | サマージョブ | 44号・45号 | 外国人起業家及びその配偶者・子 |
| 13号・14号 | 令和7年大阪・関西万博関係者及びその配偶者・子 | 46号・47号 | 本邦大学卒業者及びその配偶者・子 |
| 15号 | 国際文化交流 | 48号・49号 | 削除 |
| 16号~24号、27号~31号 | 二国間経済連携協定(EPA)看護師・介護福祉士関係(インドネシア、フィリピン、ベトナム) | 50号 | スキーインストラクター |
| 25号・26号 | 医療滞在とその同伴者 | 51号・52号 | 未来創造人材及びその配偶者・子 |
| 32号 | 削除 | 53号・54号 | デジタルノマド及びその配偶者・子 |
| 33号 | 高度専門職外国人の就労する配偶者 | 55号 | 特定自動車運送業準備 |
| 33号の2 | 特別高度人材外国人の就労する配偶者 | 56号・57号 | 令和9年国際園芸博覧会関係者及びその配偶者・子 |
※上記一覧は2025年5月時点の法務省告示に基づく情報です。
採用前には、出入国在留管理庁での在留資格申請・管理手続き、在留期間の確認、雇用契約の締結などを必ず行ってください。
なお、11号、32号、35号、48号、49号は削除されており、現行では適用されません。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
外国人の特定活動と特定技能の違い
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外国人を雇用する際、「特定活動」と「特定技能」は混同されやすい在留資格です。
しかし、この2つは対象者・活動内容・在留期間・企業側に求められる手続きが大きく異なります。
特に宿泊業では、どちらの在留資格で採用できるかによって従事できる業務や必要書類が変わるため、違いを正しく理解しておくことが重要です。
以下の表では、両者の違いをわかりやすく比較しました。
| 比較項目 | 特定活動 | 特定技能 |
|---|---|---|
| 対象者 | 法務大臣が個々の外国人に対して指定する活動を行う外国人 | 法務大臣が指定する特定産業分野で技能を要する業務に従事する外国人(1号・2号) |
| 活動内容・業務範囲 | 告示番号ごとに活動内容が異なる。就労可否は告示ごとに異なる(例:EPA看護師・介護福祉士は就労可、ワーキングホリデーは一部制限あり) | 指定分野での業務に従事することが前提。1号は基礎的技能、2号は熟練技能 |
| 在留期間 | 告示ごとに個別指定(最短1か月〜最長5年、5年を超えない範囲) | 1号:1〜5年(更新条件あり)、2号:1〜3年更新(無期限更新可能な場合あり) |
| 更新・変更 | 法務大臣の指定に基づき更新・変更可能 | 1号・2号ともに指定条件に基づき更新可能。2号は熟練技能により無期限更新の可能性あり |
| 企業対応・手続き | 雇用契約締結、必要に応じて在留資格変更手続き | 登録支援機関を利用する場合あり、届出義務がある場合あり |
| 企業側に必要な書類・基準 | 告示番号ごとに必要書類が異なる。雇用契約書・労働条件通知書・活動内容の証明資料(実習計画書など)・事業所概要資料・適法事業を示す書類など | 支援計画書・支援体制の証明・雇用契約書(日本人と同等以上の待遇証明)・事業所安定性資料(決算書等)・分野別基準適合資料など |
| 代表的な例 | ワーキングホリデー、EPA看護師・介護福祉士、インターンシップ、デジタルノマド、大学卒業後就職準備、スキーインストラクターなど | 介護、建設、製造、宿泊、農業、漁業、造船・舶用工業など14分野 |
特定活動は、告示番号ごとに活動内容や就労可否、在留期間が大きく異なる在留資格です。
そのため、外国人を雇用する企業側は、採用予定の人材がどの告示番号に該当するのかを必ず確認し、適切な在留資格申請と雇用契約の準備を行う必要があります。
特に宿泊業では、就労が認められる特定活動と、雇用できない活動が混在しているため、事前の確認が採用リスクの回避につながります。
\特定技能・宿泊の求職者も紹介できます/
宿泊業専門のおもてなしHRに話を聞く宿泊業で外国人雇用ができる特定活動
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宿泊業で外国人を採用する際は、「どの告示番号の特定活動ならホテルの業務に従事できるのか」「在留期間はどれくらいか」を把握することが重要です。
ここでは、宿泊業で実際に採用されるケースが多い告示番号を中心に、就労可否や可能な業務例、在留期間の目安をまとめます。
9号|インターンシップ(在留期間:1年以内、通算で大学修業年限の半分まで)
外国の大学に在籍する学生は、学業の一環として、ホテルや旅館で短期的に実務経験を積むことができます。
宿泊業においても、学びや技術習得に資する業務に従事することが求められます。インターンシップは学びや経験を重視した活動であり、単なる労働力確保の目的では認められません。
宿泊業で就業可能な業務例
- フロント業務の補助(チェックイン・チェックアウト、予約対応など)
- 客室清掃やベッドメイキングの補助
- レストラン・カフェでの簡単な接客やサービス補助
- 宴会・イベントの準備や運営のサポート
- 施設内での案内やお客様対応、施設利用説明など
12号|サマージョブ(在留期間:夏季休暇などの期間、原則3カ月以内)
外国の大学に在籍する学生は、学業の遂行や将来の就業に資する目的で、夏季休暇などの期間を利用して日本のホテルや宿泊施設で短期的に業務に従事することができます。
サマージョブは期間限定の就業体験であるため、長期の雇用ではなく、学びや経験を重視した活動であることが求められます。
なお、宿泊業で就業可能な業務例は、インターンシップの場合と同様です。
46~47号|本邦大学卒業者及びその配偶者・子(在留期間:契約に基づく勤務期間)
本邦の大学や大学院を卒業した者、またはその配偶者や子は、日本の企業や施設と契約を結び、常勤職員として業務に従事することができます。
宿泊業においては、フロント業務や客室清掃、レストランでの接客など、インターンシップやサマージョブと同様の業務に従事することが可能です。
報酬は日本人従事者と同等額以上であることが求められ、大学や専修学校で修得した知識・技能を活かせる業務であることが重要です。
50号|スキーインストラクター(在留期間:6カ月または3カ月)
スキーインストラクターとしての技能を有する外国人が、日本のスキー場やリゾートで指導業務に従事することができます。
この仕事をするには、公益社団法人日本プロスキー教師協会(SIA)が認定する資格のいずれか、または同等以上と認められる資格を証明できる書類を用意してもらわなければなりません。
採用される典型例としては、ホテルとスキー場が提携するリゾート施設において、宿泊客向けのスキー教室でスキー指導に従事する場合などです。
指導に付随して、受付や予約管理、レッスン準備・片付けなど、教室運営の補助業務を行う場合もあります。
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おもてなしHRに求人紹介を依頼する企業が特定活動の外国人労働者を採用する際のポイント
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企業が特定活動の外国人労働者を採用する際には、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。ここでは、採用時に注意すべきポイントを順に解説します。
1.受け入れ体制(教育・生活支援)を整える
外国人労働者が安心して働ける環境を整えることは、採用前に最も重要なポイントのひとつです。
具体的には、日本語教育や生活面でのサポート、相談窓口の設置などを事前に準備します。
また、社内での担当者配置や研修体制、必要に応じて通訳の用意も検討しておくと、受け入れ後のトラブルを防ぐことができます。
2.在留資格の内容と就労可否を確認する
特定活動の外国人は、告示番号ごとに就労可能な範囲が異なります。
採用前に必ず該当資格を確認し、必要に応じて「資格外活動許可」の有無もチェックしましょう。
資格の範囲外の業務に従事させると、違反として処罰の対象になるおそれがあるので、注意が必要です。
3.採用前に必要書類・在留カードを確認する
外国人労働者を採用する際には、在留カードに記載されている資格・在留期限・就労制限を必ず確認することが重要です。
これにより、契約する業務内容が資格上認められているか、在留期間中に雇用可能かを事前に把握できます。
また、入管に提出が必要な書類や申請書類が揃っているかも確認しておくことで、採用後の手続きがスムーズに進み、審査の遅延や不備によるトラブルを防ぐことができます。
場合によっては、必要書類の翻訳や証明書類の有効期限もチェックしておくと安心です。
4.雇用契約・労働条件は日本人と同等に設定する
給与や勤務時間、休日・休暇、社会保険や福利厚生などの労働条件は、日本人従業員と同等に設定することが求められます。
外国人労働者に不利な条件での雇用は、労働基準法や入管法違反となるおそれがあるため注意が必要です。
また、契約書や労働条件通知書を作成し、言語の違いによる誤解を避けるため、内容を十分に説明することも重要です。
雇用後に条件変更がある場合は、変更内容を文書で明確に伝え、合意を得るプロセスも必ず確保しましょう。
5.在留期間・更新手続きを把握しておく
外国人労働者を雇用する際には、在留期間や更新手続きをあらかじめ把握しておくことが不可欠です。
雇用前には、入管への届出が必要な手続き(例:就労資格証明書の取得など)を確認しておき、退職時の届出義務(原則14日以内)も把握しておくことが重要です。
また、在留カードに記載された「指定書」や活動範囲を確認することで、資格外活動違反を防ぐことができます。
活動内容に合わない業務に従事させた場合、在留資格取消や罰則の対象になることもあるため、事前に社内で管理体制を整え、更新時期や必要書類を共有しておくことが重要です。
\採用の準備が整ったら/
おもてなしHRの外国人求職者をチェック外国人の在留資格「特定活動」に関するよくある質問
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特定活動の在留資格を持つ外国人を採用する際には、雇用の可否や手続き、届出など注意すべきポイントがあります。ここでは、企業が迷いがちな質問をまとめました。
特定活動の外国人を採用する際に注意すべきことはありますか?
特定活動の外国人をアルバイトとして雇用できますか?
特定活動の外国人を採用する際に、どのような書類や手続きを準備すべきですか?
採用後に必要な届出はありますか?
特定活動の外国人が退職した場合、企業側に必要な対応はありますか?
出典:在留資格「特定活動」/出入国在留管理庁出典:特定活動告示/法務省出典:在留資格「特定活動」(インターンシップ・サマージョブ・国際文化交流)/出入国在留管理庁出典:在留資格「特定活動」(本邦大学等卒業者及びその配偶者)/出入国在留管理庁出典:在留資格「特定活動」(スキーインストラクター)/出入国在留管理庁
宿泊業での特定活動の外国人を雇用するなら「おもてなしHR」で
宿泊業で特定活動の外国人を採用する際は、在留資格の確認や就労範囲の把握、雇用契約・労働条件の整備など、さまざまな手続きが必要です。
特にインターンシップやサマージョブ、スキーインストラクターなど業務内容ごとに注意点が異なるため、事前に確認しておくようにしましょう。
なお、宿泊業で特定技能や特定活動外国人の採用をお考えの場合は、宿泊業専門のエージェント「おもてなしHR」にご相談ください。
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