旅館でのインターネット集客が必要な理由
2019年10月の消費税引き上げにともない、政府はキャッシュレス・ポイント還元事業を開始しました。モバイル決済の成長が加速したことで、スマートフォンの利用者は年代を問わず増加し、今や利用者は約7000万人超となっています。
この影響は、旅館・ホテル業界へも顕著に現れており、宿泊地の選定、宿泊の予約をインターネットのみで済ませるというお客様も増加しているようです。
お客様との出会いを減らさないためにも、インターネットを活用した集客を行っていく必要があります。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
旅館での代表的なインターネット集客方法
旅館の集客に活用されている代表的なインターネット集客方法を3つご紹介いたします。
ホームページ
現代では、ホームページが無い企業やお店は「営業をしているのか」と疑われてしまうほど、ホームページは重要な存在となりました。多くの旅館がホームページを設置している理由としては、電話応対の人員・時間の削減、周知したい情報の発信が容易ということが挙げられます。
また、ホームページは、お客様へのメリットも大きいです。ホームページでは、お客様の求める情報を掲載しておくことが大切ですので、設置する際は以下のような項目を盛り込むことをおすすめします。
- ・インターネット上での予約システム
- ・旅館へのアクセス
- ・客室や温泉など様子の写真
- ・よくある質問
- ・イベント情報
インターネットに接続していれば24時間いつでも見ることができるので、お客様は時間にとらわれることなく、宿泊の予約をしたり、気になる情報を探し出すことができます。
OTA(オンライン・トラベル・エージェント)
OTAとは、オンライン・トラベル・エージェント(=Online Travel Agent)の略で、インターネット上のみで取引を行う旅行会社を指します。いわゆる「予約サイト」と呼ばれるウェブサービスの総称です。
お客様視点でみたOTAのメリットは、たくさんの旅館を一度に比較することができるということです。
また、旅館側のメリットとして、自旅館のホームページに訪れることがなかったお客様が来訪するきっかけを創出することができるという点が挙げられます。しかし、多くの場合が有料サービスになるため、利用には注意が必要です。
SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)
SNSとは、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(=Social Networking Service)の略で、インターネットを介し、人間関係を構築できるウェブサービスの総称です。実名での登録が必要なSNSから、匿名で投稿をできるSNSまで、その種類は多岐に渡ります。
SNSは、更新が容易であるということが最大のメリットです。写真のみで投稿ができたり、少ない文字数を入力・送信ボタンを押すだけで全世界に情報を発信することができます。
お客様もいちユーザーとして日常的に利用することが多いため、お客様との距離を近づけたいという旅館が多く利用している印象です。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
旅館の集客力がアップした3つの事例
実際にインターネットを活用して、旅館の集客力が向上したという事例を3つご紹介します。
ホームページの改善で予約数が向上
北海道のとある旅館では、ホームページのリニューアルを行い、予約率が向上したそうです。具体的には、下記のような施策を行いました。
- ・客室の様子を360度カメラで撮影・掲載
- ・従業員を掲載
- ・予約プラン名の変更
また、SNSで情報を発信したことも効果が出た要因のひとつと考えられています。
写真投稿系のSNSで外国人観光客からも注目を集める
旅館・ホテルなどの宿泊業界の集客とも相性の良い写真投稿系のSNSを用い、集客アップに繋げている旅館もあります。
栃木県のとある旅館では、旅館の新しいイベントや季節ごとに移り変わる美しい風景などを投稿し続けることで、国内外問わずコメントが集まるようになりました。定期的に更新をしたことで、「いつか行ってみたいな」と思い描く層へのアプローチに成功した良い例です。
写真系SNSの集客のポイントをご紹介している、下記記事もぜひ参考にしてみてください。
動画投稿系のSNSをお客様の声の代わりとして活用
動画投稿系のSNSは、TVタレントが続々と進出していることでも話題となっていますね。
山形県のとある旅館では、5年以上前から動画に着目し、来訪したお客様の様子、館内バリアフリー設備についての紹介、積雪地域ならではのショベルカーでのかまくら作りの様子などを公開し、話題となっています。
地道な活動がSNSを通じ有名になり、TV番組にも出演する機会も生まれたようです。
旅館がインターネット集客をする際のポイントは?
旅館がインターネットで集客をするために、必要なポイントをご紹介します。
ターゲットを明確にする
ホームページや、OTA、SNSといったサービスを利用する場合、最も大切なのは「どんなお客様に来ていただきたいか(=ターゲット)」を明確にすることです。
ターゲットを明確に定めなければ、提示する情報にブレが生じ、情報の質が悪くなってしまいます。質の悪い情報は、いくら熱心に発信を続けたとしても、お客様の印象には残りづらくなってしまうのです。
集客をするにあたり、どのようなコンセプトで、どのようなお客様を獲得していきたいのかを明確にしましょう。
他社と差別化する
先述した「ターゲットを明確にする」と同様に進めていただきたいのが、競合他社との比較です。
自旅館があるエリアには、他にどんな旅館・ホテルがあるのか、どんな年代のお客様が多く訪れるのか、何を目的に観光に来られているのか、などを分析しましょう。
分析した結果をもとに、競合他社と比較して自旅館が優れているポイントを発信することで、お客様の心に響く情報が発信できるようになるでしょう。
定期的な更新
情報は鮮度が命です。その時に満足のいく情報が発信できたとしても、月日が流れれば古い情報となってしまいます。更新が止まってしまっているインターネット上の情報は、お客様の不信感を募らせ、悪印象を与えかねません。
イベント情報やリニューアル情報はもちろん、今話題のコロナウイルスへの対策や対応方法などの情報を素早く提供することで、リピーター増に繋がる可能性もあります。
情報の更新が疎かということだけで、お客様を失望させないよう、定期的な更新を心がけましょう。
その他の旅館の集客方法
インターネットに得意な従業員がいないため、本格的な運用が難しいという旅館、情報の更新がネックになっている旅館、うまく集客に結び付けられないという旅館など、旅館の数だけ悩みがあるはずです。
そんな時は、一度別の切り口での集客方法を考えてみましょう。アナログでの集客方法を集中的に実施することが、全体の集客アップの近道になるという場合もあります。
設備・接客などのインフラを整備する
まずは、旅館としての質を高めましょう。お客様が旅館に最低限求めることは、快適な空間、不自由のない接客です。自旅館が提供できているのか、今一度考えてみましょう。
また、旅館はホテルよりもIT化に遅れを取っている印象があります。特に外国人観光客からすると、インターネットが無料で利用できるWi-Fi環境があるということは大きな利点です。国内旅行客を呼び込むためにも、Wi-Fi環境を整えることをおすすめします。
新しいプランの作成
他社との差別化のために女性向けにアメニティをセットとしたプラン、男性客向けに地ビールをセットとしたプランなどを用意している旅館もあります。インターネットを活用し浮いた人件費などで予算を割くことができるのであれば、新しいプランを用意してみるのも良いでしょう。
過去に来訪したお客様へメールマガジンやDMを送付
旅館・ホテルなどの宿泊業界では、同じエリアや施設への旅行を避ける傾向が強いお客様が多いため、リピーターを作るのが難しい業界といわれています。ただし、初来訪時に気に入っていただき、再来訪いただくことができれば低コストでの集客が可能です。
メールマガジンやDMを用い、閑散期の集客に繋がるような新プラン・イベント情報などを定期的に発信し続け、再来訪を検討していただける環境をつくりましょう。
旅館の集客を増やすためにできることから始めてみよう
インターネットを上手く活用することにより、集客の幅を広げられるということがおわかりいただけたかと思います。しかし、慣れないインターネット集客に注力をしすぎ、本来のおもてなしができなくなるということがあっては元も子もありません。
これまでの集客も、インターネットでの集客も、「お客様を思うこと」「思いを形にすること」という根底は変わりがありませんので、できることから少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。