行政から宿泊施設への補助はある?
新型コロナウイルス感染症が流行するなか、宿泊業界の経営は深刻な状況が長期化しているのが現状です。
そうした感染症の拡大による危機的状況を改善するために、行政は宿泊施設へ向けた補助制度を交付しています。
国だけではなく各都道府県でも交付されており、主に「感染症対策に必要な投資」に対して補助が用意されているようです。
ただし、感染症対策への補助を申請する際には以下のような注意点があります。
・申請期間には期限が設けられている場合が多い
・補助が適用される範囲は自治体によって異なる
観光庁には各自治体の情報がまとめられているので、一度チェックしてみてください。宿泊施設がある自治体のホームページも併せて確認してみましょう。
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各都道府県の宿泊施設への補助支援例
感染症対策への補助内容は国や自治体によって異なりますが、各地方の実施内容を紹介いたします。
令和3年9月9日時点で長野県・沖縄県は準備中だそうです。宿泊施設への補助事業の募集が終了している自治体もあるので、注意してくださいね。
北海道・東北地方:宮城県
宮城県では、令和3年11月30日まで募集を受け付けています。客室50室の場合、補助金交付額は最大666万6千円で、補助下限額は設けないそうです(1000円未満は切捨)。
施設の客室数 | 補助対象上限経費 | 経費区分 | 補助上限率 | 補助上限額 |
10室未満 | 100万円 | 設備等 | 2/3 | 66万6千円 |
衛生資材等 | 1/2 | 50万円 | ||
10室以上30室未満 | 200万円 | 設備等 | 2/3 | 133万3千円 |
衛生資材等 | 1/2 | 100万円 | ||
30室以上50室未満 | 600万円 | 設備等 | 2/3 | 400万円 |
衛生資材等 | 1/2 | 300万円 | ||
50室以上 | 1000万円 | 設備等 | 2/3 | 666万6千円 |
衛生資材等 | 1/2 | 500万円 |
補助対象上限経費の範囲内であれば、「設備等」「衛生資材等」を組み合わせて申請することができます。また、県内に複数の宿泊施設を持つ場合は、各施設ごとに申請する必要があるので注意しましょう。
関東地方:群馬県
群馬県は、令和3年10月19日まで募集を受け付けています。
令和2年5月14日以降に発注し、実績報告期限(令和4年1月11日)までに支払いが完了しているもので、「(1)感染拡⼤防⽌対策に要する経費」「(2)新たな需要に対応するための取組みに要する経費」ならば、補助金の申請が可能です。
(1)と(2)の補助率はそれぞれ 1/2以内となり、施設規模によって補助上限金額は異なります。
施設の客室数 | 補助上限額 |
1~9室 | 50万円 |
10~29室 | 100万円 |
30~49室 | 300万円 |
50室以上 | 500万円 |
国の補助金をすでに申請している場合は対象外なので、気を付けましょう。内容によっては申請時に追加の資料を提出する必要があるようです。
北陸地方:新潟県
新潟県は、令和3年12月28日まで募集を受け付けています。令和2年5月14日までさかのぼって申請ができるので、新潟県内に宿泊施設を持つ方は早めの申請をおすすめします。
補助率は3/4(消耗品は1/2)で、補助金の上限額は各施設の客室数によって異なります。
施設の客室数 | 補助上限額/施設 |
1~9室 | 75万円 |
10~29室 | 150万円 |
30~49室 | 450万円 |
50室以上 | 750万円 |
申請方法は郵送か電子メールで行い、申請手続きの流れは新潟県のホームページをご確認ください。その他にも注意点がありますので、細かくチェックしましょう。
参考:
東海地方:愛知県
愛知県では、令和3年10月29日まで募集を受け付けています。補助事業の実施に要する設備機器購入費、設置工事費、備品購入費、リース費、消耗品などが補助対象に含まれます。
たとえば、サーモグラフィーによる検温設備の導入、ワーケーション整備に関する経費、非接触型チェックインシステムの導入などが補助対象です。補助額は以下をご確認ください。
補助上限率 | 補助上限額 |
3/4以内 | 1施設あたり500万円 |
消耗品は、購入費用が30万円以上の場合に補助対象になるようです。補助金の交付の決定には審査があることは念頭に置いておきましょう。
参考:「愛知県宿泊事業者感染拡大防止対策事業費補助金」の申請について
関西地方:奈良県
奈良県では、令和3年11月30日まで募集を受け付けています。国や、県内の他の補助金とは併用できないことは理解しておきましょう。補助上限額は宿泊施設の客室数によって決まります。
施設の客室数 | 補助上限額 (1施設あたり ※うち1/2補助の上限額) |
1~5室 | 75万円 ※50万円 |
6~29室 | 150万円 ※100万円 |
30~49室 | 450万円 ※300万円 |
50室 | 750万円 ※500万円 |
補助率は「感染症対策の設備導入や強化のため」なのか、そして「これから新たな需要に対応するために取り組むため」なのかによって大きく異なります。詳しくは奈良県のホームページを確認しましょう。
中国地方:広島県
広島県は、令和3年12月28日まで募集を受け付けています。補助対象の経費は、備品購入費、消耗品費、工事請負費、委託料、レンタル料などです。
補助上限率 | 補助上限額 |
申請日の前日までに支出した経費: 1/2以内 |
1000万円 (下限:10万円) |
申請日以降に支出する経費: 3/4以内 |
※補助率3/4の場合:上限は750円、下限7.5万円
申請する補助率によって提出書類が異なるので注意しましょう。また、WEB申請も受け付けており、比較的簡単に申請できるようになっているようです。
四国地方:高知県
高知県では、令和4年1月31日まで募集を受け付けています。感染症対策に必要な消耗品の購入や換気設備のリニューアルなど「感染症対策に資する物品の購入」が補助対象です。
そのほか、宿泊施設へのワーケーションスペースの設置・機器の整備や自動チェックインシステムの導入など「新たな需要に対応する取組」も含まれています。
補助上限率 | 補助上限額 |
補助対象経費の3/4以内 | 750万円 (ただし、役務費及び消耗品費については 合計で50万円が上限) |
※補助下限額:10万円
この補助額には、単に老朽化した設備の改修などは対象外です。予算額に達した場合は申請の受け付けを終了するそうなので、早めに申請の手続きを行いましょう。
参考:高知県宿泊施設感染拡大防止対策等支援事業費補助金の募集
沖縄・九州地方:大分県
大分県では、令和3年12月28日まで募集を受け付けています。「(1)感染拡大防止策」「(2)新たな需要に対応するための取組」に当てはまるものは、補助対象になります。
補助上限率 | 補助上限額(1施設あたり) |
令和3年4月1日~令和3年12月31日の分: 3/4以内(1/4上乗せ) |
750万円 |
令和2年5月14日~令和3年3月31日の分: 1/2以内 |
(1)と(2)は併用可能で、ともに令和2年5月14日~令和3年12月31日の分が対象です。しかし、補助対象経費の1/2が500万円を超えることはできないので気を付けてくださいね。
参考:令和3年度大分県宿泊施設受入環境整備緊急支援事業費補助金
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
補助金を賢く利用して、宿泊の受け入れ体制を整えよう
新型コロナウイルス感染症の拡大は、いつ収束するのかは誰にも分かりません。それに伴い、感染症対策は新たな常識となることも考えられます。
感染症のよる大きな影響を受け、経営に疲弊している宿泊施設はかなり多いでしょう。しかし感染症対策への取組みには、さらなる資金が必要です。
お客様に安心・安全の環境を提供するためにも感染症対策は必須です。すでに感染症対策を行っている施設はほとんどかもしれませんが、感染症対策を行ったうえで新たな事業に取り組むには宿泊施設に向けた補助金がとても役に立ちます。
補助金情報を逃さないよう、国や各自治体のホームページは定期的にチェックするようにしてくださいね。