ホテルの消防法とは?ホテルの管理者が遵守すべき法律について解説

ホテルの管理者には、消防法の遵守が義務付けられています。消防法とは、火災の予防や鎮圧、人命の保護など、火災から身体と財産を守る目的で公布された法律です。消防法を正しく知り、お客様に安心と安全を提供することは、ホテルを運営する上で絶対に欠かしてはなりません。ホテルに適用される消防法についてご紹介していきますので、ぜひご参考にしてみてください。

消防法とは

消防法とは、1948年7月24日に公布された法律で、以下のような目的があります。

第一条 この法律は、火災を予防し、警戒し及び鎮圧し、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、火災又は地震等の災害による被害を軽減するほか、災害等による傷病者の搬送を適切に行い、もつて安寧秩序を保持し、社会公共の福祉の増進に資することを目的とする。

要点をまとめると、

・火災の予防、警戒、鎮圧

・人命及び財産の保護

・火災又は地震等による被害の軽減

・災害等による傷病者の適切な搬送

・安寧秩序を保持、社会公共の福祉の増進

という目的を果たすため、防火対象物及び消防対象物の管理者や所有者が守らなければならない法律だということ。

ホテルや旅館は建築物は防火・消防対象物に含まれているため、管理者は消防法の内容を熟知しておく必要があります。

消防法が守られていない施設で万が一火災が起こった場合、その損害は計り知れないものになるでしょう。

最悪の場合、法を守っていれば救えたはずの命が失われてしまう、といった状況も十分に起こり得ます。

取り返しのつかない結果を招いてしまわないためにも、消防法を正しく理解し、法を守ることを徹底しましょう。

データ参照:消防法 | e-Gov法令検索

宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。

宿泊業界での職務経験はありますか?

経験の有無を選択してください

消防法の規定によるホテルの防火基準:「消防用設備等」の設置

スプリンクラー

funfunphoto-stock.adobe.com

消防法では、消防用設備等の設置が義務付けられています。半年ごとの点検と、1年ごとの消防機関への報告が義務付けられているので、決して怠らないよう注意しましょう。

消防用設備等に関する情報を、下表にまとめました。

消防設備等  設置対象
消火設備 消火器 延べ面積150平方メートル以上
屋内消火栓 延べ面積700平方メートル以上
スプリンクラー設備 延べ面積6,000平方メートル以上
屋外消火栓設備 延べ面積3,000平方メートル以上
警報設備 漏電火災報知器 延べ面積150平方メートル以上、かつラスモルタルのもの
自動火災報知機 延べ面積300平方メートル以上
消防機関へ通報する火災報知器 延べ面積500平方メートル以上
非常警報器具・設備 収容人数が20名以上(300名以上で放送設備を設置)
避難設備 避難器具 収容人数が2階以上の階で30名以上など
誘導灯・誘導標識 全部

ホテルの規模によって設置すべき設備に差異があるため、確実にチェックするよう心掛けてくださいね。

ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事

消防法の規定によるホテルの防火基準:防火管理

従業員と宿泊定員の合計人数が30人以上のホテルや旅館は、

1、防火管理者の選任

2、消防計画の作成

3、消防訓練の実施

などが義務付けられています。

宿泊施設が防火管理の義務を果たしているかを確かめるために導入されているのが、「防火対象物点検報告制度」です。

この制度は、年に1回、防火対象物点検資格者による点検を受け、結果を消防機関に報告するという仕組みとなっています。

点検項目の例をご紹介しましょう。

・防火管理者を選任しているか

・消火・通報・避難訓練を実施しているか

・避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか

・防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか

・カーテンなどの防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付けられているか

・消防法令の基準による消防用設備などが設置されているか

なお、収容人数が300人以上の施設の場合は「防火対象物定期点検報告制度」によって、点検や報告が義務付けられています。

消防法の規定によるホテルの防火基準:防炎物品の使用

カーテン

StudioN-stock.adobe.com

ホテルや旅館で火災が起きた場合、カーテンや絨毯などが延焼の原因となりやすいため、防炎物品を使用することが義務付けられています。

防火物品とは、消防法に定められた防炎性能基準の条件を満たした物品のこと。

ホテルで使用される物品の他にも、工事現場に掛けられている工事用シート、劇場等で使用される舞台幕などが防炎物品の使用を義務付けられています。

ホテルの夜勤を行う人は特に消防法を深く理解しておこう

宿泊施設に勤めるすべての人が消防法を正しく理解しておくべきですが、特に夜勤を行う人は、より深く法律の内容を知っておく必要があります。

日勤に比べると、夜勤に割かれる人員はどうしても少なくなりがちです。それはつまり、もし夜間に火災が起きた場合は、少人数で対応にあたらなければならないということ。

宿泊客の避難誘導や人命の救助を迅速に行うためにも、ホテルの夜勤を行う人は消防法と火災が起きた際の対応について、十分に認識しておくことが求められますよ。

ホテル業界では労働基準法は守られにくい?ホテルで働くなら労働基準法を正しく理解しよう

消防法を遵守してホテルを運営しよう

安心して宿泊する女性

Drobot-Dean-stock.adobe.com

ホテルを運営する上で、消防法の遵守は欠かせない項目の一つです。

消防法が適切に守られていない状態で火災が起こると、莫大な損失と責任を背負うことになりかねません。

お客様だけでなく、従業員にも安心感を与えられるよう、ホテルの管理者は消防法を守ることを徹底しましょう。

データ参照:ホテルや旅館の防火安全対策が分かる 表示制度が始まります! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン

宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。

宿泊業界での職務経験はありますか?

経験の有無を選択してください

ページ上部へ戻る
宿泊業専門転職相談ホテルの仕事本社勤務

希望勤務地を選択してください

複数の希望勤務地を選んでいただくと、ご提案できる求人が増える可能性があります!

ホテル・旅館様 限定

宿泊業採用ノウハウ
毎週お届け

競合他社の最新動向や、オススメ求職者の情報などをお届けします!

    利用規約 / 個人情報取扱いに同意の上ご利用下さい

    メルマガ登録を受け付けました

    おもてなしHR・宿泊施設様向けメルマガにご登録いただきありがとうございました。 万が一メールが届かない場合は、info@omotenashi.workまでお問い合わせください。