お客様に嫌いと言われるホテルには理由がある
旅行者は、数あるホテルや旅館の中から比較・検討をし、宿泊先を決定します。選定に時間はかかるものの、この時間もまた旅の醍醐味のひとつと考える旅行者も多いものです。
そんな旅行者にとって、宿泊先選定時の大きな分かれ道が「ホテル」「旅館」のどちらに宿泊をするのかということでしょう。
生活様式の変化からか、昨今では年代問わず旅館よりもホテルを好む旅行者が多いようですが、中には「どうしてもホテルが嫌い!」という方も一定数存在します。また特定のホテルのせいで「ホテルが嫌いになりそう…」と感じた方もいるようです。
では、どのようなきっかけがお客様をホテル嫌いにさせてしまったのでしょうか。ホテルに良い印象を持たない方の意見を「客室」「仕組み」「宿泊形式」に分類し、ホテルが嫌いになった9つの原因をご紹介します。ホテル関係者はぜひ経営の参考にしてみてください。
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ホテルの「客室」が嫌い!
ホテルの客室に対する4つの不満をご紹介します。
部屋が乾燥する
ホテルの部屋は外気温の影響を少なくするため、また防音のために気密性を高めた造りになっていることが多いでしょう。そんな中、エアコンが動き続ければ客室内の水分量は減る一方です。つまり、全館エアコンが動き続ける限りホテルは乾燥と縁を切ることはできないのです。
ホテルの乾燥を体感し、身体に不調を覚えたお客様はホテルを嫌いと感じてしまうことが多いようです。
ただ、負を解消するために加湿機能付きの空気洗浄機を全客室に設置しているというホテルも徐々に増えていますので、一切対応ができていないホテルは、必要に応じ加湿器の貸し出しを行う、加湿の方法を案内することを検討してみましょう。
清掃が行き届いていない
以前訪れたホテルで清掃が行き届いていなかったことから、ホテルが嫌いになったという方もいました。これは言語道断ですよね。
特に、ベッドに残された髪の毛や、浴室の髪の毛・水滴、客室内の臭いは嫌悪感を覚えるお客様も多いでしょうから、意識して清掃を行うようにしましょう。
シーツの糊が強く寝心地が悪い
「ホテルのようなパリッとしたシーツ!」という表現をする洗濯糊メーカーも多いものですが、パリッとしたシーツが嫌いという方は意外にも多いようです。確かに、日常的に触れることがない感触なので、人によっては大きな違和感を感じるかもしれませんよね。
ただ、肌ざわりを重視すればシワは増えやすくなってしまうため、別のお客様の不満へと繋がってしまいます。両者は表裏一体なので全てのお客様を満足させるのは難しいかもしれません。お客様のいち意見として受け止めておいてくださいね。
ユニットバス・シャワーが使いづらい
そもそもユニットバスやシャワーが使いづらいというお客様であれば、ホテルではなく旅館を利用するはずです。
しかし、不満を表に出すのであれば他ホテルと比較しても使いづらいユニットバス・シャワーであったことが考えられます。特に、型が古く使用方法がわかりづらいというホテルは注意が必要です。
客室のインフォメーションブックや、浴室内のわかりやすい位置にステッカーを貼っておくだけでも不満は軽減するはずですので、思い当たる節のあるホテルは検討をしてみてはいかがでしょうか。
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ホテルの「仕組み」が嫌い!
ホテルからすれば当たり前と感じる仕組みにも不満を覚えるお客様はいます。ホテルの仕組みに対する3つの不満をみていきましょう。
接客にあたたかみを感じない
旅館では仲居さんが親切丁寧な接客をしてくれる一方で、ホテルはお客様からの求められれば対応するというスタンスが一般的でしょう。これは、過度な接客を望まないお客様からは好評ですが、旅館に慣れているお客様であれば少し寂しいと感じてしまうかもしれません。
ホテルは接客業の花形とも呼び声の高い業界ですので、表情の無い機械的な接客をするホテルは少ないはずですが、接客に関する指摘が多いホテルは今一度確認をしてみましょう。
浴衣で廊下を歩けない
浴衣の扱いについてもまた、旅館と比較して取り上げられることが多い不満です。
旅館であれば宿泊時に利用する浴衣で館内を歩くことができますが、ホテルではそうはいきません。お風呂に入った後に廊下に出る際、わざわざ着替えなくてはならないというホテルの仕組みが好きではないという方も多いようです。
バイキング・ビュッフェが飽きる
特に、連泊のお客様からあがりやすいのが、バイキング・ビュッフェに対する不満です。ホテル利用が多いお客様もまた、どこのホテルでも定番とされている朝食バイキングのメニューに不満を感じることもあるかもしれません。
以前訪れた際は最高だったと感じたバイキング・ビュッフェも、次訪れた際に全く同じメニューだったことにがっかりしたという声も見受けられました。
ホテルの「宿泊形式」が嫌い!
ホテルの特定の宿泊形式が嫌いというお客様も一定数いるようです。嫌う方が多い2つの宿泊形式をご紹介します。
ドミトリータイプ
見知らぬ複数人と客室をシェアするドミトリータイプは、好き嫌いが分れやすい宿泊形式です。その分安く泊まることはできるものの、セキュリティ面や安全面を天秤にかけ、宿泊しないという選択を取る方は多いようです。女性であればなおのことでしょう。
しかし、男性専用・女性専用のドミトリーがあれば利用のハードルは多少下がるかもしれません。
カプセルホテル
最近こそ「男性専用」を謳うカプセルホテルが増えましたが、ひと昔前まではそのような表記が少なかったため、宿泊料金の安さに惹かれ予約をしたものの利用時に戸惑うという女性も多かったようです。
カプセルホテルもドミトリー同様、セキュリティ面で優れているとは言い難いものがありますが、キャリーケースに取り付けられる鍵の貸し出しを行ったり、女性専用フロアを設けることで安全性を高めているカプセルホテルもあります。
カプセルホテルの経営者は、評価の高い他カプセルホテルに泊まってみるのも良いかもしれませんね。
お客様に嫌われないホテルにするためには
お客様がホテルが嫌いと感じた事例を「客室」「仕組み」「宿泊形式」に分けご紹介しましたが、少しの工夫で不満を回避できるものもあります。お客様に嫌われないホテルをつくるために心がけていただきたい3つのポイントをご紹介します。
正確でわかりやすい情報を発信する
昨今では、宿泊者の手で簡単に宿泊先の情報を集められるようになりました。言い換えれば、ホテル事業者も簡単に情報発信ができる時代となったのです。
しかし、情報を公開したことで満足をしてしまい、更新を怠ってしまうというホテルも存在します。これではお客様は正しいホテルの情報を得られません。
よってホテルは、お客様と認識の差が生じないような正確でわかりやすい情報発信を心がけるようにしましょう。正しく情報を開示していれば、不要なトラブルのリスクヘッジにも繋がります。
清掃・接客レベルを一定以上に保つ
言うまでもないことですが、嫌われやすいホテルは清掃レベル・接客レベルが一定の水準を下回っています。
当たり前のことを当たり前にやっていれば、清掃・接客に対する不満はそう募ることはありません。お客様から指摘を受けることが多いと感じるのであれば、見直されることをおすすめします。ぜひ他ホテルと比較してみてください。
館内の案内は丁寧に
館内の案内表示や、インフォメーションブックは懇切丁寧であるに越したことはないでしょう。不明点があればお客様自身で調べるはずですので、迷うことが多い通路やよく質問される事柄などはひとまとめにしておけば案内もスムーズです。
これから作成にあたろうと考えるホテルがあれば、日本語に頼らない案内の作成も検討してみてはいかがでしょうか。今後はさらにインバウンド需要が高まると考えられていますので、色や挿絵などを上手く利用し、視覚的にわかりやすい案内表示を目指してくださいね。
もちろん、チェックイン時の口頭案内も短くわかりやすいことが重要です。
「嫌い」というお客様はホテルに期待を込めている!
どうしてもホテルが嫌いというお客様であれば、自らホテルの宿泊予約を取ることは考えづらいものです。しかし、宿泊後に嫌いという意思を表明したのであれば、どこか心の内でホテルの改善を期待しているのです。
悪評から宿泊を避けるお客様もいるはずですので、嫌悪を抱かせてしまった場合にはまずは真摯に受け止め、できる部分から改善していくようにしましょう。
また、お客様は初めてホテルに宿泊する可能性もあるということを忘れてはなりません。勤務するホテルが「ホテルの代表になる可能性がある」ということも押さえ、業務にあたってくださいね。
とは言え、経営層がなかなかお客様の評価に向き合わず、モヤモヤした日々を送っているという方もいることでしょう。ホテルに不信感を抱きながら働くのは決して良いこととは言えません。違和感を感じたなら他ホテルへの転職もひとつの手です。
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