ホテル・旅館に未成年のお客様が来たら
受験や卒業旅行といった場面では、未成年のお客様だけでホテルや旅館を利用することがあります。リーズナブルな価格で泊まれるビジネスホテルでは特に多いでしょう。
保護者の付き添いの無い、未成年者を宿泊させる場合にはどのような注意が必要なのでしょうか。トラブルを防ぐためのポイントについて解説します。
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そもそも未成年者だけでホテル・旅館に宿泊させて良いの?
未成年者は判断能力・責任能力が不十分で、保護されるべき存在です。親権者や法定代理人の付き添い無しにホテルに宿泊させること自体には、問題は無いのでしょうか。未成年者のお客様への正しい対応を見ていきましょう。
未成年者だけでも宿泊は可能
法律上、未成年者だけで宿泊させてはいけないという決まりはありません。
ただし、ホテル・旅館の約款では未成年者だけでの宿泊には親権者などの、法定代理人の同意を必要としていることがほとんどです。その理由には、民法第五条の1項と2項が関わっています。
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- 民法第五条1項:未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
- 民法第五条2項:前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
ホテルや旅館に宿泊するといことは一種の「契約」であり、法律行為に該当します。そのため、法定代理人の同意無しに未成年者を宿泊させると「子どもが勝手にしたことだ」という主張でチェックアウト後に返金を求められる可能性があるのです。
そして、何歳以上から未成年者だけでの宿泊を受け入れるかは宿泊施設によって異なります。法定代理人の同意があれば小学生・中学生だけでも泊まれる施設もあれば、高校生未満はお断りという施設もあります。
未成年者だけでの宿泊には法定代理人の同意が必要だということを念頭に置き、ホテル・旅館の規定に従って対応しましょう。
複数の未成年者が一緒に宿泊する場合は要注意
未成年が複数で宿泊する場合や、親子ではない成人と未成年者が一緒に宿泊する際には、注意が必要です。グループ・カップル・友人・兄弟姉妹などさまざまな関係性が考えられますが、場合によっては青少年保護条例に抵触する恐れがあるためです。
ホテル・旅館で未成年が絡んだトラブルが起これば、重大な責任問題になるかもしれません。怪しい場合は本人確認書類で年齢をチェックする、法定代理人に電話で同意の確認を行うなど適切な対策を取りましょう。
詳細については、各自治体の青少年保護条例をご確認ください。
アルコール類を提供しない
未成年者のみの宿泊で必ず注意したいのは、ホテル・旅館側からアルコール類の提供をしないことです。18歳・19歳くらいのお客様は、成人のお客様と見た目はそう変わりません。
レストランなどでアルコール類のオーダーを受けて、そのまま提供することの無いように、各セクションで情報共有を行いましょう。
また、未成年のお客様のみで利用する客室のミニバーからはアルコールを抜いておく、酒類の自動販売機を深夜は停止するなどの工夫も必要です。
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未成年者のみの宿泊に対する法定代理人の同意確認の方法
未成年者のみのお客様を宿泊させる場合に必要な法定代理人の同意ですが、どのような確認方法があるのでしょうか。一般的な同意確認の手段を見ていきましょう。
同意書の提出
同意書の提出は、もっともスタンダードな方法で、ひな形を用意している宿泊施設もあります。
宿泊当日までに郵送してもらう、チェックインの時に提出して貰うなど、扱い方はホテル・旅館によって異なります。
後々まで証拠として残せることがこの方法のメリットといえるでしょう。しかし、法定代理人の欄を未成年者が自分で記入したり、友人・知人の代筆でごまかしたりするパターンも考えられます。
明らかに不審な点がある場合は、電話での同意確認も併せて行いましょう。
法定代理人の同意欄にチェックを入れる
宿泊予約サイトなどでは宿泊者が未成年のみの場合は、法定代理人の同意確認の項目が出てきます。法定代理人が同意欄にチェックを入れることで、予約完了まで進めるという仕組みです。
ただ、別途書類・電話で確認する宿泊施設もありますよね。「同意欄にチェックを入れたのだから大丈夫」と思い込むお客様がいないとも限りませんので、その場合は、目立つところに同意確認が必要になる旨を明記しましょう。
電話確認
法定代理人の同意書を持参していない場合や、不審な様子がある場合には電話での同意確認を行う宿泊施設もあります。
しかし、電話のみでは同意の確認が取れたという証拠が残りませんよね。そのため、後々のトラブルを防ぐ目的で、後日郵送やFAXにて同意書を提出してもらうことが一般的です。
ホテル・旅館で未成年者を宿泊させる場合は慎重に!
成人の付き添い無しに外泊する年齢の未成年者は、羽目を外しすぎたりトラブルに巻き込まれたりしやすい年頃です。万が一、取り返しの付かない事件・事故が起こればホテル・旅館の名前に傷がつきます。大切なお客様を守る意味でも、未成年者への対応は細心の注意を払って正しい流れで行いましょう!
また、宿泊業界内での転職を検討する際には、おもてなしHRがおすすめです。