地域活性化事例から地方創生を成功させる考え方を学ぶ

地域活性化、地方創生。そうした言葉が話題にのぼるようになって久しいですね。とくに少子高齢化や人口流出が続く地域においては、死活問題ともいえるでしょう。では具体的に、地域活性化のためにどんな対策を講じればよいのか?これは地域の特徴や抱えている課題によって違ってくるため、唯一解はありません。そこで、実際に地域活性化事業を行っている事例から学んでみましょう。きっと得るものがあるはずです。

目次

    地域活性化の目的

    草原に寝そべる女の子

    iStock/Hakase_

     

    2014年、日本政府は「地方創生」の取り組みについて発表しました。この背景には、東京一極集中があります。人・モノ・仕事……そういったものがすべて東京に集中し、代わりに地方からは減っている状況です。

     

    そもそも日本全体が、少子化によって人口減少が進んでいます。地方からはますます人が減って過疎化が進み、限界集落となっている地域も少なくありません。そのような状況では、地方経済は衰退していくばかりです。

     

    こうした事態を打開する方法の一つとして、地方創生や地域活性化が叫ばれ始めました。まちの魅力を創出し、人を呼び込む仕組みが、さまざまな地域で作られています。

     

    目的としては、まず人口を増やすことが1点。もう1つは、住民の郷土愛の育成・熟成です。

     

    自分たちが暮らすまちを好きになってもらうことで、人口の流出を防ぐ、出て行った人に戻ってもらう。地方活性化の動きには、そうした狙いがあります。

     

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    地域活性化事業の成功事例

    田んぼの目の前でパソコンを使って仕事する女性

    iStock/last19

     

    さまざまな自治体や企業が、地域活性化のための取り組みを行っています。ここでは、その成功事例を3件ピックアップしてご紹介します。

     

    徳島県神山町

    地方創生・地域活性化の成功事例として、「聖地」とまで呼ばれるのが徳島県神山町です。

     

    山々に囲まれたのどかな田舎町である神山町は、1955年に周辺の村が合併してできたまち。当時は2万人ほどの人が暮らしていましたが、2010年代には4分の1まで人口が減ってしまいました。

     

    いわゆる「限界集落」だった神山町ですが、アートを軸としたまちづくりを進めて地方活性化を目指すようになります。これにより海外から人が集まるようになり、田舎町でありながら「外からの人を受け入れる」ことに対する抵抗がなくなっていきました。

     

    また、もともとインターネットのインフラが整っていたことにより、都会の企業が次々にサテライトオフィスを設置。若い世代にも受け入れられる新しい働き方を示すことで、人やモノ、仕事が集まる地域として生まれ変わったのです。

     

    福井県鯖江市

    鯖江市は「めがねのまちさばえ」として知られている、眼鏡フレームの国内製造シェア約96%を誇る産地の中心です。しかし中国産の安価なフレームが輸入されるようになってから、生産量が落ち込んでいました。

     

    それに対して鯖江市が講じたのが、鯖江市オリジナルブランドの眼鏡を開発・販売するというもの。当時ファッショングラスといえば外国製品が主で、平均価格は2000円~3000円だったところ、2万円台の価格で売り出したのです。

     

    結果は大成功。眼鏡はあっという間に売り切れ、全国的に話題になり、販路も拡大しました。

     

    また、眼鏡の販売だけにとらわれず、さまざまな取り組みを進めています。その1つが、市の持っているデータを公開し(オープンデータ化)して、生活の利便性を高めるアプリを多数公開するというもの。

     

    AEDや消火栓、トイレなどの設置場所が分かるものや、子育てに役立つものなどさまざまなアプリがあり、「データシティ鯖江」の構想の一環として進められています。

     

    学生との連携も積極的に推進しています。役場には現役の女子高生が地域活性化のために活動する「JK課」を設置するなど、若い世代が積極的にまちづくりに関わるまちとしても知られています。

     

    岐阜県可児市

    可児市では、一風変わった地方創生の取り組みを行っています。それが「戦国城跡巡り事業–可児市の乱–」。古墳や戦国時代の城跡、安土・桃山時代の窯跡などの歴史資産を活用し、地域活性化を図るものです。

     

    この事業の目玉となるのが、「チャンバラ合戦-戦 IKUSA-」。斬られても痛くないオリジナルのスポンジ刀を使い、老若男女問わずチャンバラ合戦を楽しめます。

     

    歴史資産を使ったまちづくり例は他にもありますが、どうしてもターゲット層が限定されてしまうデメリットがありました。しかし可児市の場合、子どもでも楽しめるチャンバラ合戦という形にしたことで、より幅広い年代に興味や愛着を持たせるきっかけを作ることに成功しています。

     

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    地域活性化事業の失敗事例

    頭を抱える男性ビジネスマン

    iStock/kuppa_rock

     

    3つの成功事例を紹介しましたが、残念ながら失敗に終わった地域活性化事例もあります。失敗事例を知ることで同じ失敗をおかす危険を避けることができるので、積極的に失敗事例についても学んでいきましょう。

     

    青森県青森市

    青森市では、コンパクトシティ構想の集客装置として再開発ビル「アウガ」を駅前に建設しました。観光の目玉として県外からの集客も見込んでいたものの、結果的に予想よりも売上が伸びず商業施設は撤退。現在は市役所や図書館など、市の施設が入っています。

     

    福島県会津若松市

    会津若松市では、地域内でだけ使える電子マネーを導入。それを使って買い物をするとポイントがつくというお得な取り組みでしたが、導入した店舗が少なく、あまり広まりませんでした。普及率が伸び悩んだため認知も上がらず、結果的にこの計画は頓挫しました。

     

    事例から地域活性化事業を成功のコツを学ぶ

    ポイント!

    iStock/takasuu

     

    成功・失敗事例を見て、今後の地域活性化、まちづくりに活かすコツを考えてみましょう。

     

    地域全体で取り組む問題と考える

    地方創生や地域活性化は、まち全体で取り組むべき問題です。行政が見切り発車で進めても思った効果は得られません。

     

    地域住民と対話し、どんなやり方があるのか、どんな方法なら受け入れられるのか。そういった住民の理解を得ながら一歩ずつ進めてこそ、成果が得られるのです。

     

    今ある資源の活用から考える

    地方を盛り上げようと考えたとき、真っ先に新しく何かを作ろうとするのは早計です。ハコモノ行政などと揶揄されることもありますよね。

     

    まずは今、まちにある資源・魅力を再発掘することから始めます。自然や産業、歴史など、その土地ならではの魅力はきっとあるはずなので、それをどうやって打ち出していくか。地域活性化には、そうした視点で考えることが大切です。

     

    継続性を意識する

    例えば大きなテーマパークを建設して、人を呼び込むことに成功しても、それで住民が増えるわけではありません。

     

    そうした短期的な収入や集客に頼るよりも、住みやすさや働きやすさなどの生活に密着した部分を手厚くすることが重要です。例えば子育てのしやすさや、雇用の創出などですね。

     

    人口を増やす、まちに関わる人を増やす仕組み作りを推進しましょう。

     

    事例を参考にして地域活性化に活かそう

    家族が車の窓から顔を出している

    iStock/TAGSTOCK1

     

    最先端の仕事も人も集まる東京と、人口流出が続く地方は対極にあるものとしてよく比較されています。そうした状況のなか、地域活性化や地方創生といったものが注目されていますね。

     

    言葉自体はよく聞くものですが、「じゃあ、何をしたらいいの?」というところまで落とし込むのは容易なことではありません。なぜなら、抱えている問題も、取れる対策も、場所ごとに異なるからです。

     

    地方の住民はしばしば「自分の住むまちには、人を惹きつける魅力なんてない」と考えてしまいがち。しかし本当にそうでしょうか?それは単に、まちの魅力や強みに気づいていないだけなのではないでしょうか。まずは、住民一人ひとりがそうした意識を持つことが大切です。

     

    行政と住民がタッグを組んで、自分たちが暮らすまちをより良くしようと奮闘する。そのためのアイデアを出し、対策を講じる。こうした一つひとつの取り組みが地方活性化につながります。地方を活性化させるのは、何よりも人の気持ちや行動です。

     

    成功・失敗事例から学べることはたくさんあります。事例を見て、まずは自分たちのまちの現状を理解することから始めましょう。

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