関係人口がもたらすメリットや取り組み事例をまとめて見てみよう
関係人口とは、移住・定住者とも観光客とも違う形で、居住地以外の地域と継続的に関わる人々のことを指す言葉です。
各自治体が地方創生を目指し、関係人口の獲得に力を入れていますが、具体的にはどういった取り組みがあるのでしょうか。
関係人口がもたらすメリットや、取り組み事例を把握して地方創生への理解を深めましょう。
なお、関係人口の詳細や地方創生との関わりについては以下の記事をご参照ください。
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関係人口がもたらすメリットとは?
関係人口を増やす目的は地方創生の推進ですが、もたらされるメリットは地域だけのものではありません。関係人口として地域に関わる人々にもさまざまなメリットがあるのです。
それぞれが得られるメリットを見ていきましょう。
地域のメリット
関係人口の拡大によって地域にもたらされるメリットは、経済活動の活性化や、移住者の増加が期待できるといったことでしょう。
関係人口は地域のファンクラブへの参加や、ふるさと納税による寄付などで地域を経済的に支えます。
また、観光客は関係人口としてカウントされませんが、繰り返し訪れるリピーターは関係人口です。継続的に地域を訪れ経済を潤す重要な存在と言えるでしょう。
たびたび他の地域から訪れる人の存在があれば、お互いに刺激を受けて地域が活気づいたり、新たな産業が生まれることも考えられます。
こうして地域の魅力を知ってもらい知名度が上がることで将来的には移住者が増え、人口減少や少子高齢化が緩和される可能性があるのですね。過疎化に悩む自治体はぜひ積極的に、関係人口の拡大に取り組んでみましょう!
地域と関わる人々のメリット
一方、関係人口として地域と関わる人々にとっては、魅力を感じる地域とつながれる、移住先候補を絞る際の参考になるといったメリットがあります。
誰にでも観光で訪れて気に入った地域や、強い興味を持っていてもなかなか足を運べない、といった地域があるのではないでしょうか。そうした地域の関係人口になれば、地域の活動に多少なりとも参加したり、ローカルな情報を受け取ったりといったことができるのです。
地域のファンクラブやふるさとの納税などは特典や返礼品があるので、お得感・お楽しみを味わえる点もメリットでしょう。
また、継続して地域と関わり、地域への理解が深まることで移住の検討にも前向きになれるのではないでしょうか。地方移住に興味があっても今は動けない……という人には、まず関係人口として地域と交流することをおすすめします。
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関係人口拡大に向けた地域の取り組み事例
関係人口の拡大に力を入れている地域では、どのような取り組みをしているのでしょうか。ユニークな事例をいくつか紹介します。
奈良県・明日香村の事例
明日香村は奈良県の中央付近に位置する村です。農業の担い手や少子高齢化が進む地域ですが、田んぼなどのオーナー制度を設け、関係人口の拡大を推進しています。
会費を払って村の棚田や果樹などのオーナーとなることで、田植えや稲刈り、収穫などを体験できる、地元農家による農業指導を受けられるという制度です。
村の魅力を発信し、収入を得るだけでなく耕作放棄地や遊休農地の増加も防止できるのですね。オーナーにとっても楽しみ・メリットが大きい制度ではないでしょうか。
参考:明日香村の事例について/地域への新しい入口 関係人口ポータルサイト
北海道・伊達市の事例
伊達市は北海道中央地方の南部に位置する街。この地域には「心の伊達市民」という会員制のネットワークがあります。市外在住であれば誰でも参加できる制度で、会員の役目は伊達市の宣伝や街づくりのアドバイスなど。
会員になると「心の伊達市民」住民票と名刺が送られてくる他、年に2回伊達市の情報誌が届くということです。名刺を友人・知人に配って伊達市をPRしたり、情報誌を通して伊達市への理解を深めることが具体的な活動内容なのですね。
また「心の伊達市民税」を納入すると、金額に応じて伊達市の特産品をもらえるといった特典もあります。
栃木県・佐野市の取り組み
佐野市は栃木県の南西部に位置する街。佐野ラーメンで有名な地域ですが、日本全国の「佐藤さん」と縁が深い地域だということはあまり知られていないかもしれません。
国内最多の「佐藤姓」は平安時代中期の貴族にちなんだ「佐野の藤原」が由来だという説が有力なのだとか。そこで佐野市では全国の佐藤さんや、事業に賛同する人が参加できる「佐藤の会」を発足。
会員には佐野市の情報が届けられる他、佐藤さんと同じルーツをもつ城や鋳物に関わる事業が展開されるということです。
関係人口は地方との新しい関わり方
関係人口は観光旅行客のように一時的なものでも、移住のように大がかりなものでもありません。誰もが気軽に好きな地域と継続的に交流できる、新しい関係性と言えるでしょう。
地域にとっても関係人口にとってもメリットのある取り組みなので、今回紹介した事例を参考に、新しい風を呼び込んではいかがでしょうか。