歴史ある湯治場の街、鉄輪温泉。温泉街の観光の魅力や働き方、暮らしなど

鉄輪（かんなわ）温泉とは

iStock/seanPavonePhoto

古くから湯治場として有名な鉄輪温泉。ここでは、鉄輪温泉の概要やアクセス、歴史などについてご紹介します。

鉄輪温泉の概要とアクセス

鉄輪温泉は大分県別府市に位置する温泉地で、市内にある8つの代表的温泉地を総称した「別府八湯」の一つに数えられます。この別府八湯の源泉は約2300カ所にも上ると言われ、湧出量と源泉数ともに日本一とされています。

中でも、その源泉の大半が集中している鉄輪温泉は、街のあちこちから温泉の噴気が立ち上り、街は独特の景観を呈しています。

鉄輪温泉へのアクセスは、別府の主要駅からタクシーなどを使って約15分です。また、鉄輪温泉から車で約10分の距離に大分の空港もあるため、遠方からの交通の便も良いと言えるでしょう。

鉄輪温泉の歴史と現状

鉄輪温泉には、鎌倉時代、時宗の開祖である僧侶が鉄輪の地獄を鎮め、温泉地を開いたという伝説が残っています。江戸時代には、鉄輪温泉の名物「蒸し湯」が有名となり、さまざまな病を治す湯治場として多くの人々が訪れ、温泉の蒸気を利用した地獄釜で自炊しながら長く逗留した旅人もいました。
 

長期滞在の多かった鉄輪温泉では、「入湯貸間」や「入り湯滞在」という独特の宿泊スタイルが現在も残っており、宿泊客は素泊まりで自炊や外食などをしながら滞在します。明治以降、交通アクセスの改善と共に温泉街の開発も進み、大正時代には鉄輪温泉を含む別府市と由布市に点在する複数の温泉地を合わせた「別府十湯」が広く知られるようになります。

その後、市町村合併や別府市の市制施行などによって「別府八湯」という呼び方が用いられるようになります。現在はアジア圏を中心とする海外からの旅行者も多く、年間通して国内外の旅行者が訪れる一大観光地となっています。

鉄輪温泉の泉質や観光の魅力

iStock/sanmai

鉄輪温泉の泉質や観光の楽しみ方についてご紹介します。

さまざまな泉質が楽しめる鉄輪温泉

塩化物泉や含ホウ酸食塩泉など、多種多様な泉質が楽しめる鉄輪温泉。弱塩泉で肌にやさしい温泉も多く、湯上りの肌はしっとりと潤っており美肌効果が期待できるとされています。湯に含まれた塩分のおかげで保温効果も高く、神経痛や筋肉痛、慢性関節リウマチなどさまざまな体の不調に良い効果が期待できるでしょう。

豊富な湯量を誇る鉄輪温泉では、源泉かけ流しなど加水を一切せずに提供している温泉施設も多く、そのままの天然温泉を楽しむことができます。

参照：
渋の湯について/渋の湯温泉組合「鉄輪温泉　渋の湯　Website」

鉄輪温泉外湯案内/鉄輪旅館組合　公式サイト

鉄輪温泉周辺の観光

鉄輪温泉街には、温泉にまつわるスポットがあちこちにあり、街を散策する観光客で賑わっています。温泉のルーツとされる「蒸し湯」が体験できる市営の温泉施設では、温泉の蒸気が充満した石室の中で寝ころんで、サウナのようなスタイルで温泉を楽しむことができます。

これは古くから伝わる鉄輪の温泉の楽しみ方の一つで、清流沿いにしか生えない貴重な薬草である「石菖（せきしょう）」を床に敷き詰めることで石室内は良い香りに包まれ、体験後は驚くほど体が軽くなるとも言われています。

また、温泉噴気を調理に利用する「地獄蒸し料理」を体験できる施設もあり、卵や野菜、ちまき、魚介など好みの食材を蒸し、出来たての地獄蒸しを味わうことができます。施設内には足蒸しや足湯施設も併設されており、お腹を満たしながら散策で疲れた足を一休みさせることもできるでしょう。

鉄輪温泉にあるホテル・旅館での働き方や周辺の暮らし

iStock/JohnnyGreig

鉄輪温泉にあるホテル・旅館での働き方や、周辺の暮らしについてご紹介します。

鉄輪温泉の旅館やホテルで働く

鉄輪温泉には、約30軒のホテルや旅館が存在します。近代的で大規模なホテルも存在しますが、小規模の昔ながらの温泉旅館も多く残っています。お客様のご案内や食事や宴会の準備などを担当する客室係は、未経験でもチャレンジしやすく、実務を通して接客マナーやしきたりなどを学ぶことができるでしょう。

鉄輪温泉には海外のお客様も多く宿泊するため、英語や韓国語、中国語などの語学スキルを接客などに活かすことができます。住み込みで働けるホテルや旅館もあり、遠方から引っ越す際にも安心して働くことができるでしょう。

鉄輪温泉周辺の暮らし

古き良き湯治場の雰囲気が残る鉄輪の街。賑やかな観光地でありながら暮らしの場としても人気で、温泉付きの物件も多くあります。海外からの旅行者や留学生の多い別府は国際色豊かな街で、普段の生活の中で自然にグローバルな文化に触れることもできるでしょう。

市内各所にある共同温泉は地域のコミュニティ作りの場にもなっており、近所の共同温泉に通っているうちに自然と人間関係が広がっていった、という移住者の声も聞かれました。

別府市では、移住を考えている人が気軽に現地を訪れることができるよう、一定期間別府市内で生活ができるおためし移住施設を用意しています。利用料は1泊5400円で、3泊以上12泊以内の滞在が可能です。必要最低限の家具や家電が揃っているため、気軽に別府での暮らしが体験できるでしょう。

街も人も温かい鉄輪温泉

iStock/takafumi99

温泉が暮らしに深く根付いている鉄輪温泉の街。さまざまな温泉施設があり、近隣で湯めぐりが楽しめることも魅力の一つです。別府の人は人好きが多く、温泉に入っていると声をかけてくれることも多いという声もあり、温泉を介して地域の人と繋がった移住者も多いようです。

移住を考えている際は自治体の相談窓口なども活用し、さまざまな移住者の体験談なども参考に計画を進められると良いですね。

大分県のホテル・旅館のお仕事探しはこちらから