60歳代・70歳代の移住は慎重に
定年退職を迎えたのち、終のすみ家を求めて移住を考える人は多いでしょう。60歳代・70歳代の移住は自然豊かな場所で穏やかに暮らしたい、畑仕事をしながらスローライフを送りたいといった「夢」のためのものというイメージが強いですよね。
しかし、実際に移住を遂げた60歳代・70歳代の人は夢ばかりを追いかけていたわけではありません。
若い世代の移住に比べて、やり直しが容易ではないシニアの移住は慎重に考えたいところですが、どのような点を重視すれば失敗を避けられるのでしょうか。
60歳代・70歳代の人が国内外への移住を検討する際、押さえておくべきポイントを解説します。
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60歳代・70歳代が移住を検討するシビアな背景とは?
長年住み慣れた地域を離れ、わざわざ移住するからには移住先で思い描いている暮らし方があるはずです。しかし、移住の理由はそれだけではありません。
まず、定年退職後は一般的に収入が減少しますよね。公的年金はあまり頼れず、退職金も少ない、平均寿命は伸びている。「老後2000万円問題」も大きな話題になりましたよね。
そこで、生活にかかるお金を節約するために、移住するシニアが増えているそうです。家賃や家の購入費、物価の安い地域で暮らすのですね。
また、健康保険料や上下水道の料金も地域によって差があります。トータルで掛かる生活費を抑え、金銭的な余裕を作ることを目的とした移住。テレビ番組で取り上げられるような移住とは、ずいぶんイメージが異なるのではないでしょうか。
しかし、節約目的とは言え、移住先で幸せな老後を手に入れた人もたくさんいます。次の項目で、60歳代・70歳代の人が移住を成功させるために考えたいことを見ていきましょう。
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60歳代・70歳代の移住で考えるべきポイントは?
60歳代・70歳代での移住はまず、もっと高齢になった時に無理なく暮らして行けるかどうかを考える必要があります。必ず考えるべきポイントを解説します。
交通網の充実度
例えば、豊かな自然が残る地域への移住は、素晴らしい老後を過ごせそうなイメージがありますが、交通網に不安はないでしょうか。
自分で車の運転ができなくなった時のことを考えて、電車やバスがどの程度あるのか、5年先・10年先も継続運行の見込みがあるかをよく調べることが必要です。
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医療機関の充実度
医療機関の充実度もしっかりチェックすべきでしょう。
眼科や歯科、夜間診療をしている病院がないといった地域では、いつか非常に困ることになるかもしれません。
▼後悔しない移住先選びのポイント・準備期間の目安はこちら
楽しみがあるか
移住先で楽しみを見つけることも大切に考えましょう。田舎でのんびり過ごしたい、スローライフを満喫したいといった希望を抱いている人でも、それだけではすぐに飽きてしまいます。
いくらお金が浮いても、楽しいことがなければ長く暮らしていくのは難しいでしょう。近隣の社交場や公共施設の充実度を事前によく調べてくださいね。
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地域のコミュニティ
社交場があってもコミュニティに溶け込めず田舎暮らしが楽しくない、という失敗談も少なからずあります。古くからその地域で暮らして来た人々の輪に入るのが難しいこともあるでしょう。
反対に、ご近所さんとはある程度の距離を保ちたいと思っている人が、田舎ならではの濃密なコミュニティに閉口してしまう、というパターンも考えられます。
近所づきあいに不安を感じる人は、移住者の多い地域を選ぶと良いかもしれません。移住してきた者同士、ほどほどのお付き合いができるのではないでしょうか。
気候や自然災害
シニア移住者の中には、北海道や長野県の冬の厳しさや、沖縄県の台風の激しさに耐えられず、元の地域に帰ってしまったという人もいます。
また、津波や地すべり・土砂崩れといった自然災害や、害虫・害獣の被害を恐れ、せっかく購入した移住先の家を手放したという話も。
気候や自然災害は、住んでみないと分からない部分が多々あるでしょう。最初から家を購入して移住するのではなく、移住体験用のお試し住宅に入ってみたり、賃貸にしばらく住んでみたりした方が、失敗を防げます。
なお、移住体験用のお試し住宅についての詳細は以下の記事をご参照ください。
シニア世代の海外移住・日本の年金はもらえるの?
タイやマレーシアといった、気候が温暖で物価の安い国は、日本のシニア世代の移住先として人気があります。
2021年2月時点では、新型コロナウイルスの影響によって自由に行き来ができない状況ですが、収束したら海外移住したい!と思っている人もいますよね。
言葉の壁や食べ物の好みなど、考えるべきことはいろいろとありますが、特にクリアにしておきたいのは公的年金のことではないでしょうか。長年収め続けてきた国民年金・厚生年金は、海外移住後も受け取ることができるのかどうかを見ていきましょう。
まず、結論から言うと海外移住後も公的年金の受け取りは可能です。
ただし、日本に住んでいる場合は65歳の誕生日の3カ月前に年金の請求書や手続きについての案内が送られて来ますが、海外に移住している場合はこの書類が届きません。
そのため、日本年金機構のホームページから、海外移住者専用の請求書類をダウンロードし、自分で申請する必要があることを忘れないでくださいね。
また、日本と租税条約を結んでいる123の国と地域に移住した場合は「租税条約に関する届出書」を提出すれば、受給した年金が日本と移住先で二重課税されなくなります。提出を忘れて損することのないように気を付けましょう。
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後悔しない老後の移住で余裕のスローライフを
生活費を節約しつつ、気に入った地域での悠々自適な暮らしを実現させるためには、移住先を多角的に検討することが大切です。移住先選びに失敗して、家のローンだけが残った……ということにならないよう、慎重に決めていきましょう。
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