管理職の残業時間は上限なし?法律上の扱いや注意点を見てみよう

「管理職になると残業代が出ない」「管理職は残業時間の制限を受けない」という話を耳にすることがあります。確かに「管理監督者」として認められる場合は、労働基準法や36協定によって定められている労働時間・残業時間の制限を受けません。しかし、一般的に「管理者」と呼ばれる立場の人々が、必ずしもこれに当てはまるわけではないことをご存じでしょうか。法律上の取り扱いや、注意点を見ていきましょう。

法律上の「管理監督者」とは?

ボス

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労働基準法において、労働時間には「1日8時間、1週間40時間」という上限が設けられています。これを上回る残業をさせる場合は36協定の締結・提出が必要で、その場合も時間外労働が1カ月最大45時間、年間320時間という規制があります。

「管理監督者」はこの規制を受けず、労働時間・残業時間の制限がありません。一般社会でイメージされる「管理職」といえば「課長」や「部長」といった肩書のある人や、現場のメンバーをまとめる役割の人でしょう。しかし、こうした人のすべてが「管理監督者」として認められ、上限なしの残業をさせても良いというわけではありません。

「管理監督者」とは肩書などではなく働き方の実態に即しているかどうかで判断されるもので、次の要件を満たすかどうかがポイントです。

職務内容

職務の実態が管理監督者か、一般社員と同等かどうかは職務内容で判断できる部分が大きいのではないでしょうか。

36協定における残業時間の上限を超える必要があるほど重要な役割を担っていることが、要件のひとつです。

責任と権限

実質的な管理監督者には、責任と権限を持っているはずです。36協定による残業時間の制限において管理監督者が対象外なのは「規制を超えて働かざるを得ないほど重要な役割を担うため」という理由があるため。

肩書がついていても他の社員と業務内容が同じだったり、仕事の進め方を決める権限が無かったりする場合は、管理監督者には該当しません。

勤務形態

管理官監督者は使用者(経営者など)と一体の立場で経営に携わるものとされています。時間を選ばず業務にあたらなければならない場面もあるでしょう。

一般社員と同じように勤務時間が決まった働き方では不都合なため、自分で出社・退社時間を決められるのが管理監督者。

「部長の肩書があるけれど、遅れて出社した場合は遅れた分だけ減給される」といったケースでは、管理監督者として認められません。

賃金

前述の通り、管理監督者は使用者(経営者)と一体の立場で業務にあたるもの。業務の負担・難易度が一般社員よりも大きく、重い責任が伴います。

管理監督者の賃金も相応であるべきとされていることを、押さえておきましょう。

参考:管理監督者について/厚生労働省資料

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「管理監督者」に当てはまらない場合は要注意!

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「経営に関わっていない・権限がない・適切な賃金をもらっていない」など、管理監督者の要件を満たしていない場合は、役職者であっても残業時間の上限を守らなければなりません。

かつて、大手ファストフードチェーンにおける「名ばかり管理職の残業」が注目を集めたことがあります。

直営店の支店長が「管理監督者だから」という理由で月100時間以上の残業をさせ、残業代を支払わなかったことに対して未払い残業代を請求するという裁判を起こした事件です。

このケースでは、管理監督者といえるほどの権限が与えられていないことや、年収が不十分であること、労働時間に自由がないことなどが指摘され、ファストフードチェーン側の敗訴で幕を閉じました。

同じように「名ばかり管理職」で青天井の残業時間・残業代未支給といったトラブルが起きているなら、何かしらの対処が必要かもしれません。労働基準監督署や弁護士への相談を検討してはいかがでしょうか。

ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事

「管理監督者」でも過労死ラインを超える残業はNG!

管理監督者として認められる働き方をしていても、残業時間は完全に無制限にすることはできません。労働基準法による制限を受けなくても、過労死ラインに達するほどの長時間残業は「安全配慮義務違反」にあたるのです。

残業時間の過労死ラインは、以下の通り。これほどまでに長い残業は、心身の健康をむしばみ私生活を壊すおそれがあります。

  • 月100時間を超える残業
  • 2~6カ月の平均で80時間を超える残業

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なお、以下の記事では残業時間の過労死ラインについて解説しています。併せてご一読ください。

残業時間に悩む管理職は転職エージェントに相談しよう

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また、ホテル・旅館は長時間残業が発生しやすい職場といわれています。宿泊業界の悩みごとは、おもてなしHRにお聞かせください。

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