アドベンチャーツーリズムの事例を見てみよう
アドベンチャーツーリズムは「アクティビティ・自然・文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行」と定義されています。欧米の富裕層が特に好む旅行のスタイルで、日本の観光業でも重視されていますが、具体的にはどのような取り組みがされているのでしょうか。
地域の事業やアクティビティの種類、セミナーなどの事例を見ていきましょう。
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【アドベンチャーツーリズム】観光庁の事例集を紹介!
観光庁では、アドベンチャーツーリズムに対する企業・地域の取り組みや発展のためのコーチングをまとめた「アドベンチャーツーリズムの本質的課題解決への事例集」を公表しています。
その中から、青森県・新潟県・福井県での事例を見ていきましょう。
青森県弘前市
青森県弘前市では、特産品のリンゴを活用したプログラムが実施されました。
夜の美術館で特別なディナーやシードル(リンゴを原料とした醸造酒)を提供し、りんごを使ったインスタレーションや、リンゴ園とともに生きる地域の人々と触れ合う機会が設けられたということです。
弘前市の産業と暮らしについての理解を深めるアドベンチャーツーリズムと言えるでしょう。
新潟県佐渡市
新潟県に位置する離島・佐渡島の佐渡市では、サイクリングと酒蔵巡りを組み合わせた商品などの長期滞在プランが提供されました。
また、2022年にはフェリーターミナルから徒歩4分の位置にアクティビティの拠点として活用できる施設がオープン。SNSアカウントの解説や動画作成といった面からも、佐渡市の魅力がアピールされています。
福井県若狭町
福井県の若狭町では「沢登り」と「上質な宿」を組み合わせた商品で、他地域との差別化を図りました。沢登りは日本独自のハードアクティビティであり、インバウンド客にも注目されているコンテンツです。
また、地域のウェブコンテンツを改修したり、プロモーション素材を制作したりと、PRをブラッシュアップするための取り組みもあります。
なお、以下の記事では北海道のアドベンチャーツーリズムについて解説しています。併せてご一読ください。
参考:アドベンチャーツーリズムの本質的課題解決への事例集について/観光庁資料
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
【アドベンチャーツーリズム】アクティビティの事例
上記で紹介した内容以外にも、地域によってさまざまなアクティビティが実施されています。旅行会社のツアーなどで体験できる、アクティビティの事例を見てみましょう。
吉野山での修験道体験
奈良県の吉野郡吉野町に位置する吉野山は「修験道」の修業の地として知られる山です。修験道とは、自然崇拝にさまざまな教えが融合して形成された日本独自の宗教です。信仰の有無にかかわらず「教養として学びたい」という方もいるでしょう。
ある旅行会社では、吉野山で修験道体験ツアーを提供しています。寺院の夜間拝観もツアーに含まれているということです。
吉野山の自然に触れ、古来の文化を体験するという内容は、アドベンチャーツーリズムの趣向にマッチしています。インバウンド客からの興味・関心も高いのではないでしょうか。
八甲田山の樹氷ツアー
青森県青森市に位置する八甲田山は、日本百名山のひとつに数えられる名峰です。樹氷の名所としても知られており、八甲田山の冬山登山に憧れを抱く人は多いでしょう。
八甲田山の樹氷を気軽に観察できる樹氷ツアーを提供している旅行会社があります。「険しい山道を行くのでは?」「登山道具の用意が大変そう」と思うかもしれませんが、ツアー料金にはガイド料やロープウェイの往復乗車券、スノーシューといった用具のレンタル料が含まれており、手ぶらで参加できるということです。
準備や道のりの大変さでアドベンチャーツーリズムを敬遠しがちな人も「これなら行ってみようかな」という気持ちになれそうですね。
四万十川に触れる旅
「日本最後の清流」と呼ばれる四万十川で、川漁師体験やカヌーツーリング、SUPといった水のレジャーを楽しむツアーもあります。
川漁師体験では、伝統的な漁法である「櫓(ろ)漕ぎ」や「柴漬け漁」などを用いて川魚を捕るということです。まさに「ここでしかできない体験」ではないでしょうか。
レンタル自転車によるサイクリングや、生き物探しゲームも旅程に含まれます。四万十川周辺の自然を、まるごと体験できそうですね。
【アドベンチャーツーリズムの事例】研修会・セミナーなどの事例
アドベンチャーツーリズムの推進に向けて、さまざまな研修会やセミナーが開催されています。研修会・セミナーの事例も見てみましょう。
北海道で開催されたアドベンチャートラベルサミット
2023年、アドベンチャートラベル(アドベンチャーツーリズムと同義)に関する国際団体主催のサミットが、北海道で開催されました。
日本国内において北海道は、特に新しいスタイルの観光に対する取り組みが活発です。サミットの開催地としてふさわしい地域と言えるでしょう。
サミットには世界60か国から旅行会社やアウトドアメーカー、政府観光局などの関係者が集まって、商談会や講演会などが実施されたということです。
参考:アドベンチャートラベルサミットについて/北海道ホームページ
文化庁のフォーラム
2022年2月、文化庁は歴史文化遺産フォーラム「アドベンチャーツーリズムと歴史文化遺産の活用」を開催しました。
旅行会社の研究員による歴史文化遺産の活用についての講演や、タレントによる熊野古道についての講談、専門家によるディスカッションなどが実施されたということです。
このフォーラムは無観客開催(ライブ配信)で行われ、アーカイブの閲覧が可能です。文化をテーマにしたアドベンチャーツーリズムに興味のある方は、閲覧してみると良いでしょう。
参考:アドベンチャーツーリズムと歴史文化遺産の活用について/文化庁ホームページ
アドベンチャーツーリズムはアイデア次第
自然や地域の文化体験を中心とするアドベンチャーツーリズムは、既存の資源を使って盛り上げることが可能です。どの地域にも、アイデア次第で注目されるチャンスがあるはずです。今回の記事を参考に、アドベンチャーツーリズムへの対応を考えてみてくださいね!
なお、地方の宿泊業に興味がある方はおもてなしHRにご相談ください。