観光が活性化している今、オーバーツーリズム問題を考えよう
コロナによる行動制限が解除されたことや、旅行支援キャンペーンがあったことなどで日本の観光業は再び大きな盛り上がりを見せています。
喜ばしいことですが、オーバーツーリズムに頭を悩ませている地域もあるのではないでしょうか。この記事では、オーバーツーリズムがどのような問題なのかについて解説します。
オーバーツーリズム緩和の成功事例にも触れるので、観光業に携わっている方はぜひ参考にしてくださいね。
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オーバーツーリズムとはどのような問題なのか
オーバーツーリズムとは、施設や地域に受け入れきれないほどの旅行客が押し寄せることで起こるさまざまな問題のことを指します。
具体的には交通網がパンクしたり、ゴミのポイ捨てやトイレの使い方といったマナーが悪化したりする他、観光施設や飲食店に長蛇の列ができて訪れた人が楽しめないといったことが挙げられます。
また、夜中まで騒音が続いて近隣住民が眠れない、民泊が増えたために居住できる物件が減り、新たな定住者を確保できないなど、地域に対する悪影響も指摘されています。2023年の夏は4年ぶりに富士山の山開きが行われた影響で弾丸登山客が著しく増加し、山頂付近で大渋滞が起こるといったことも話題になりました。
オーバーツーリズムは地域の魅力を損なうだけでなく、地元で暮らす人々の生活を壊し、時には人命にかかわることもある大問題なのですね。
なお、以下の記事ではオーバーツーリズムが特に顕著な京都府の状況について解説しています。合わせてご一読ください。
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オーバーツーリズム対策の取り組み事例・成功事例を見てみよう
オーバーツーリズムは深刻な問題ですが、適切な対処方法もあります。いくつかの取り組み事例と成功事例を見ていきましょう。
予約制での対応
完全予約制での対応は、混雑解消の手段として高い効果を発揮します。
ハワイのダイヤモンドヘッドでは、2022年の4月から、オンライン予約のシステムが導入され、予約をしなければ登山できなくなりました。
ハワイを代表する観光地のひとつであるダイヤモンドヘッドは訪れる人が多く、予約対応になる以前は駐車場に入るための渋滞ができていたのだそう。予約制になったことで待ち時間が解消され、本来の景観をより楽しめるようになったのではないでしょうか。
有料閲覧席
2023年5月に新型コロナウイルスの感染症法による位置づけが第5種になりました。行動制限がなくなったことで、夏祭りや花火大会といったイベントを久しぶりに開催する自治体が多く見受けられましたよね。
従来、踊りや花火の閲覧は無料で、場所取りに多くの人が早い時間からやってくることが一般的でしたが、2023年の夏は、有料観覧席を設けるイベントが目立ちました。
有料観覧席を疑問視する声も少なからずありましたが、ゆっくり安心して楽しめるため、オーバーツーリズムの緩和に一定の効果があったのではないでしょうか。
入場料の徴収
イタリアの中でも特に観光地として名高い都市・ベネチアでは2024年から日帰り客を対象とした観光客に、5ユーロの入場料を徴収することを予定しています。街全体で入場料を徴収する試みを模倣することは難しいでしょう。
しかし、無料であるがためにオーバーツーリズムが起こっている施設や公園などは少なからずあるはずです。そのようなケースにおいては、入場料の徴収は有効な打開策かもしれません。
徴収した入場料を環境整備の費用にあてるなど、より良い滞在を提供することに使えば、利用者の理解も得やすいのではないでしょうか。
なお、以下の記事ではホテル・旅館におけるオーバーツーリズム対策について解説しています。併せてご一読ください。
宿泊施設もオーバーツーリズム対策を始めよう!
観光業において非常に重要なポジションにある宿泊業界では、オーバーツーリズム対策のためにさまざまな工夫ができるはずです。今回の事例を参考にして、持続可能な観光を実現させましょう!
なお、ホテル・旅館の仕事を探す際にはおもてなしHRが力になります。