ブラック企業に基準はあるのか?
「ブラック企業」と聞くと残業代を払わない、従業員を大切にしないといったイメージが思い浮かぶのではないでしょうか。
ブラック企業はもともとインターネット上のスラングとして使われてきた言葉ですが、今日では広く浸透し、社会問題として認識されています。
しかし、何をもって「ブラック企業」とするのか説明できる人は少ないかもしれません。また、キツい労働環境の渦中に居ると、勤務先がブラックなのかどうか判断がつきにくくなるもの。
ブラック企業に明確な基準はあるのでしょうか。ブラック企業と判断される要素の具体例と併せて、見てみましょう。
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厚生労働省では「ブラック企業」の基準を明確にしていない
厚生労働省ではいわゆる「ブラック企業リスト」を公開するといった取り組みで、ブラック企業対策に取り組んでいます。しかし、明確なブラック企業の基準は設けておらず、一般的な特徴として以下の3点を挙げています。
- ① 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
- ② 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
- ③ このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う
つまり明確な基準はないものの、こうした特徴を持つ企業はブラックである蓋然性が高いのですね。それでは具体的にどういったことが、3つの特徴に当てはまるのでしょうか。次の項目でより詳しく見ていきましょう。
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ブラック企業の特徴に当てはまる例を見てみよう
ブラック企業の特徴として挙げられるのは、具体的にどういった事柄なのでしょうか。それぞれを詳しく解説します。
「極端な長時間労働やノルマ」の具体例
「極端な長時間労働」の具体例として挙げられるのは、残業時間です。
「36協定」を締結することによって、企業は従業員に残業を課すことが認められますが、原則として月45時間、年360時間という上限があります。これを超えて残業させることは違法行為であり、ブラック労働なのです。
さらにひどいブラック企業では過労死ラインと言われる、月80時間以上の残業があることも。
こうした極端な労働時間の背景には、人手不足や残業ありきの業務量、ノルマなどがあります。従業員に無理をさせなければ成り立たない企業なのかもしれません。
また、休日出勤が多く代休がない、年間休日数が法律上の最低ラインである105日を下回っているといった企業もブラックと言えるでしょう。
そして、うやむやになりがちなのは休憩時間です。法律上、休憩時間は1日の労働時間が6時間以上8時間未満の場合は45分以上、8時間以上の場合は1時間以上与えなければならない、とされています。
休憩時間は労働者が労働から離れることが保障されていなければなりませんが、お弁当を食べながら電話番や事務処理といった仕事をすることが当然になっていないでしょうか。これらも歴然とした法律違反です。
「企業全体のコンプライアンス意識が低い」の具体例
コンプライアンス意識が低い企業の特徴を端的に表現すれば「ガラの悪い職場」。
例えば、些細なミスを必要以上に厳しく責めたり、大声で怒鳴り散らしたりする人や、性的な発言、ボディタッチを繰り返したりする人が居る職場は「ハラスメントが横行している」と言えます。
また、正当な賃金を払わないということはお金の問題だけでなく、従業員の時間を奪い、尊厳を踏みにじっていることになります。
安全管理が不十分だったために労災事故を起こした企業や、粉飾決算などで逮捕者を出した企業もコンプライアンス意識は低いでしょう。
厚生労働省が公開している「労働基準関係法令違反に関わる公表事案」で事例を確認できるので、勤務先の環境と照らし合わせてみてくださいね。
「労働者に対する過度の選別」の具体例
上記のような状況の中で「労働者に対する過度の選別」があることもブラック企業の特徴とされています。
例えば、辞めさせたい従業員に仕事を与えなかったり、いわゆる追い出し部屋や閑職に異動させて自主退職に追い込んだりすることが挙げられます。
また、未払い賃金を請求するなど会社にとって不都合な行動を起こした従業員に、本来であれば不要な転勤を命じたりすることも過度な選別です。
勤務先がブラック企業だと思ったら
明確な基準はないものの、法律を守らず社員を消耗品のように扱う企業はブラックと言えるでしょう。
「勤務先がブラックだ!」と判断したら、なるべく早く退職に向けて動き出しましょう。ブラック企業であることの証拠を確保することも忘れずに。特定理由離職者として、失業手当を早く受給したり、未払い賃金を請求したりする際に役立ちます。
また、転職エージェントへの相談もおすすめ。プロの意見を聞くことで、再度ブラック企業に入社してしまうことを防げるでしょう。
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