接遇とは
接客と接遇、この言葉の違いを知っていますか?同じように捉えられることもあるようですが、接客と接遇はそれぞれ意味が異なります。
接遇は、単純な「接客」から一歩踏み込んだ、お客様に寄り添い、心地よい時間と空間提供するお客様をもてなしながら接客をする技術のことを指しています。
接客と接遇の意味の違いについてご説明しましょう。
接客との違い
接客は、お客様に対して提供する必要のあるサービスのことを指しています。
接客も接遇、どちらもお客様と直接関わりを持つという点では共通していますが、一歩踏み込むというったプラスアルファの要素が大きく異なる点です。
レストランでの接客を例にしてみましょう。
「いらっしゃいませ。」「お待たせしました。」というようなお声がけは、接客の場面では当たり前です。
ここに、料理の説明を加えてコミュニケーションを図ったり、こだわりの食材や食器を使用するような、お客様を喜ばせるための気配りや心配りが接遇なのです。
必ずしも必要ではないけれど取り入れることでお客様が喜びを感じること、そういったひと手間加えたおもてなしこそが、接遇なのです。
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接遇が求められる職種
サービス業や飲食業で求められるイメージのある接遇ですが、様々な業界や業種で取り入れられています。接遇はサービスの質を向上させるためだけでなく、質の高いサービスでお客様や利用者の心を掴む目的をもっています。
- ・医療
- ・介護
- ・交通
一見接遇とは無縁のような職種ではありますが、取り入れることで差別化を図り、利用者に対して心地良さや安心感を提供しています。
接遇による心理的効果は、お客様や利用者との信頼感の醸成にも作用しています。そのため、医療や介護のように相手との距離が近く、心の状態や置かれている状況に寄り添うことが求めれる現場でも重視されることが増えてきました。
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接遇マナーの5原則
接遇の基本として大切にされてる5つのマナーについてご説明します。相手に良い印象を与えることで、人間関係は豊かになります。この5原則は、お客様と良い関係を築くための基本です。一つひとつは決して難しいものではありません。ちょっとした工夫や心がけで、接遇は変化するものなのです。
挨拶
挨拶はコミュニケーションの入口です。お客様との会話で、何を話せば良いのか悩んでしまうという人はいるかもしれませんが、適切な挨拶を悩む人は少ないでしょう。
爽やかではっきりとした挨拶はその場の雰囲気を明るくし、話しやすい空気をつくります。
接遇の挨拶としては、どんなに煩雑であっても視線を相手に向け、相手よりも先にすることで、自分から心を開くことを意識すると良いでしょう。
身だしなみ
身だしなみはおしゃれをすることとは異なります。衣服だけでなく髪型や爪、女性の場合は化粧も身だしなみに該当します。
- ・清潔感
- ・機能性
- ・安全性
- ・調和
こういった点を考慮する必要があります。意識することは自分の満足ではなく、お客様や周
囲からの印象です。
身だしなみは、見た目を大きく作用します。人を見た目で判断してはいけない、というような言われ方もありますが、見た目から読み取られる情報は実はとても多いのです。身だしなみは、生活態度や心の状態のような、目には見えない部分が顕著に反映されます。
乱れた服装では、立ち居振る舞いも乱れ、乱れた立ち居振る舞いではスマートな接客はできません。
清潔感が感じられなければ、どんなに心を込めたおもてなしでも、相手に不快感を与えてしまい、信頼関係は生まれにくくなります。
身だしなみは相手に対する配慮であるとともに、自分自身のパフォーマンスの基盤とも言えるでしょう。
表情
表情の基本は笑顔です。口角が上げて相手に視線を合わせることで、話しやすく親しみやすい雰囲気を作ることができます。直接会話をしていない場面でも、表情を見られていることもあります。
また、相手の状況によっては笑顔が失礼になる場合もあります。特に医療や福祉の現場では、表情で寄り添うことも必要になります。
心や状況を理解し、感情を表現するのが表情です。表情は相手に対する思いやりの表れであることを覚えておきましょう。
態度
態度は、立ち居振る舞いのことを表しています。立ち姿や歩き方のような行動にも、相手への敬意が表れるものです。
ここで基本になるのは、姿勢でしょう。体を相手に向けて視線を合わせ、足先や指先を整えることで美しく清潔感のある姿勢を保つことができます。
美しい姿勢には慣れが必要です。無意識に重心が偏ってしまったり、猫背になっていまうようなことがあるでしょう。
姿勢が乱れることで、偉そうな態度ややる気のない態度として捉えられることもあります。姿勢は態度と言っても過言ではありません。日頃から、鏡の前で練習をすると良いかもしれませんね。
言葉遣い
接客の場面で頻繁に使われる、接客用語と呼ばれるような敬語があります。
言葉遣いには、お客様に対する敬意が表れます。相手の年齢や立場、業種よっても変化するものですので、尊敬語、謙譲語、丁寧語の3つの違いやルールについても理解しておきましょう。
言葉遣いは習慣になっている口癖なども出やすいものです。また、誤って覚えたまま使い続けられていることもあります。
言葉遣いには慣れが必要なことがあります。無理に難しい言い回しをするのではなく、正しく丁寧であることを意識すると良いでしょう。
接遇力の高いホテルマンを目指そう
接遇力の高さは、接客の質の高さです。接遇の5原則をご説明しましたが、一つひとつはとても簡単なものです。
接遇力が身に付くと、お客様とのコミュニケーションがスムーズで豊かになります。接客から一歩踏み込んだ、心を込めた接遇を身に付けて、一歩先を行くホテルマンを目指してみるのも良いでしょう。
接遇には心が表れます。お客様と心が通う瞬間は、強いやりがいを感じるものです。心が感じられる接遇が身につけば、ホテルマンとしても豊かな時間を過ごすことができます。