「スーシェフって、どんな仕事?」
「自分はこのままいけば、どの役職になれるんだろう?」
などと考えたことはありませんか。
厨房には、「シェフ」「スーシェフ」「コミ」などの階級が存在しますが、役割や違いは意外と知られていないものです。
この記事では、厨房の階級制度(ブリゲード・ド・キュイジーヌ)を図解付きでわかりやすく紹介。
各階級の仕事内容や求められるスキル、キャリアアップのステップも解説します。
今の自分の立ち位置や、目指せるキャリアの方向性を考えるヒントとして、ぜひ参考にしてみてください。
シェフには階級がある|厨房の役職構造を図で解説
フランス料理の伝統を受け継ぐレストランやホテルでは、「ブリゲード・ド・キュイジーヌ」と呼ばれる階級制度が今も運用されています。
まずはこの厨房の基本構造から見ていきましょう。
ブリゲード・ド・キュイジーヌとは
「ブリゲード・ド・キュイジーヌ」とは、フランス料理の厨房で採用されている階級制度のことです。
近代フランス料理の父とも称される料理人、ジョルジュ・オーギュスト・エスコフィエによって考案されました。
この制度では、調理スタッフを役割ごとに細かく分けることで、作業の効率化と責任の明確化を図ります。
グランシェフを頂点に、スーシェフ、シェフ・ド・パルティ、コミなど、階層ごとに業務内容がはっきり定められており、特にレストランやホテルの厨房で広く採用されています。
一目でわかる!シェフの階級図解
一目で構造を把握できるよう、主な階級を図でまとめました。
- グランシェフ(総料理長)
- スーシェフ(副料理長)
- シェフ・ド・パルティ(部門シェフ)
- コミ(見習い・アシスタント)
なお、実際の店舗では、業態や規模によって階級が省略されたり、複数の役職を兼ねていたりするケースもあります。
特に小規模なレストランでは、少人数で全体をカバーする体制になっていることも珍しくありません。
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シェフの階級ごとの役割|仕事内容と求められるスキル
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厨房におけるシェフの階級は、単なる肩書きではなく、それぞれに明確な役割と求められるスキルがあります。
ここでは、グランシェフ・スーシェフ・シェフ・ド・パルティ・コミという4つの主要ポジションについて、その仕事内容と身につけておきたいスキルをわかりやすく解説します。
階級 | 役割・仕事内容 | 求められるスキル |
---|---|---|
グランシェフ | キッチン全体の責任者。メニュー開発、人材・原価管理などマネジメント中心 | 経営感覚、マネジメント力、メニュー戦略、原価・人件費管理、統率力 |
スーシェフ | 総料理長の補佐として現場を動かす中間管理職。指示出しや品質管理など | 現場運営力、段取り力、責任感、信頼性、クレーム対応力 |
シェフ・ド・パルティ | 各部門の責任者(魚・肉・パティスリーなど)。調理の主力として現場を担う | 部門技術、教育力、衛生管理、安定した調理パフォーマンス |
コミ | 見習い・補助ポジション。仕込みや清掃などの下支えを行い、基礎を学ぶ | 包丁の基本技術、清掃・仕込みの丁寧さ、素直に学ぶ姿勢、報連相 |
グランシェフ(総料理長)
グランシェフは、店全体のキッチン部門を統括する最高責任者です。メニューの開発から人材管理、原価や人件費のコントロールまで、幅広い業務に携わります。
調理現場に立つよりも、マネジメントを中心とした業務が多く、経営陣との連携も求められる重要なポジションです。
求められるスキル
- 経営感覚
- マネジメント力
- 原価・人件費管理
- メニュー戦略立案
- スタッフ育成
- 店舗全体の統括力
スーシェフ(副料理長)
スーシェフは、グランシェフをサポートしつつ、現場の指揮を取る中間管理職のような存在です。
各部門の進行状況を確認し、スタッフに的確な指示を出したり、トラブル時の対応を担ったりと、現場全体を円滑に運営する役割を担います。経験値と信頼感が問われるポジションです。
求められるスキル
- 現場運営力
- 全体の段取り力
- 正確な仕上がりへのこだわり
- 責任感
- 信頼される人柄
シェフ・ド・パルティ(部門シェフ)
シェフ・ド・パルティは、スープ・魚・肉・野菜・パティスリーなどの各部門を担当する責任者です。
店舗の規模によっては、実質的にこの階級が調理の主力となるケースも多く、味や提供スピードの品質を左右する立場でもあります。また、部下であるコミの育成や指導も行うなど、教育的役割も果たします。
求められるスキル
- 部門内の高度な調理技術
- 後輩指導スキル
- 衛生管理能力
- 安定した調理パフォーマンス
コミ(見習い・アシスタント)
コミは、キッチン階級の中で最も下のポジションです。主に各部門シェフの指示のもとで、仕込みや盛り付け、掃除といった補助作業を担当します。
多くの人がここからキャリアをスタートし、日々の業務を通じて調理の基礎を身につけていきます。
求められるスキル
- 基本的な包丁技術
- 清掃や仕込みの丁寧さ
- 報連相の意識
- 素直に学ぶ姿勢
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シェフとしてのキャリアアップの基本ステップ
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ホテルやレストランの厨房では、ポジションが明確に分かれているため、キャリアアップの道筋も比較的わかりやすく整備されています。
ここでは、見習いから総料理長を目指す一般的なステップを紹介します。
STEP1.コミ(見習い)として基礎を身につける
キャリアのスタートは、コミ(見習い)から。
包丁の使い方、食材の扱い方、掃除や衛生管理など、調理の基本を実務を通じて身につけていきます。
先輩シェフの指導を受けながら、厨房での立ち居振る舞いを学ぶことが求められます。
STEP2.シェフ・ド・パルティ(部門シェフ)として部門を任される
一定の経験を積んだあとは、魚、肉、野菜、ソースなどの各部門を担当するシェフ・ド・パルティに。
自分の調理技術を高めつつ、部門の責任者としてコミの指導も行います。その後、徐々にマネジメントの視点も求められるようになります。
STEP3.スーシェフ(副料理長)として現場のナンバー2に
厨房全体の状況を把握し、シェフ・ド・パルティを統括する役割。
調理の進行管理、スタッフの指示出し、時にはクレーム対応など、現場の中核を担います。
総料理長を支える存在として、信頼とリーダーシップが欠かせません。
STEP4.グランシェフ(総料理長)としてキッチン全体を統括
スタッフ・料理・原価・衛生・サービスなど、厨房全体の責任を負う立場です。
実務から離れ、経営や店舗戦略まで踏み込んで判断を求められることもあります。
まさに、料理長としての総合力が問われるポジションです。
\今が次のキャリアを考えるタイミング/
キャリアの棚卸しを手伝ってもらうホテルの厨房はシェフのキャリアアップに適した環境
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ホテルの厨房は、シェフとしてキャリアを積み上げていくのに適した環境が整っています。
ポジションや役割が明確に分かれており、どの段階で何を求められるかがはっきりしているため、キャリアの道筋を描きやすいのが特徴です。
また、調理スタッフの人数も多く、仕込み・調理・盛り付け・清掃といった業務が分業されているため、未経験者やコミ(見習い)としてのスタートでも挑戦しやすい環境です。
教育体制やマネジメントが整っているホテルも多く、現場での実務を通して確実に成長していけるような支援体制があります。
さらに、系列ホテルへの異動や、定期的な評価制度を設けているところもあり、長期的なキャリア形成を見据えて働けるのも大きな魅力です。
\明確なポジション制度で、次のステップへ/
ホテルの調理求人を探してみるシェフの階級・キャリアに関するよくある質問
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シェフとしてのキャリアを考える中で、飲食店ごとの違いや昇格までの期間などの疑問を持つ方もいるでしょう。ここでは、よくある質問とその答えをまとめました。
シェフの階級は、すべての飲食店に共通していますか?
スーシェフになるには、どれくらいの経験が必要ですか?
ホテルの厨房は、キャリアアップしやすい職場ですか?
シェフの階級をヒントに、成長できるキャリアを目指すならおもてなしHR
厨房の現場には、グランシェフやスーシェフ、シェフ・ド・パルティ、コミなどの明確な階級があり、それぞれに求められる役割やスキルが異なります。
階級制度を理解することで、自分が今どの位置にいて、次に目指すべきポジションは何かが見えてくるはずです。
特にホテルの厨房は、階級構造が明確に運用されているため、キャリアアップを目指すうえで非常に適した環境です。
未経験からスタートできるポジションもあり、段階的にスキルを磨きながら上を目指せます。
「今の職場で成長できている実感がない」「もっと自分に合った環境でステップアップしたい」と思うなら、一度キャリアの棚卸しをしてみませんか。
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