日本で働いている外国人の方の中には、「毎月の給料から引かれている年金って何?」「帰国したら、払った分はどうなるの?」と不安に思っている人もいるのではないでしょうか。
日本では、国籍に関係なく、働く人は原則として年金に加入することになっています。しかし、日本の年金制度はむずかしく、言葉も制度のしくみもわかりにくいことが多いです。
この記事では、外国人労働者の方が知っておきたい日本の年金制度について、わかりやすく解説します。
どんな人がどの年金に入るのか、将来のためにどんな意味があるのか、帰国する場合はどうしたらよいのかなど、大切なポイントをわかりやすくまとめています。
外国人労働者も日本の年金に加入する必要がある
日本で働く外国人の方も、原則として日本の年金に加入する必要があります。
国籍に関係なく、日本に住む20歳以上のすべての人が対象となり、自営業・フリーランス・無職の人も含まれます。
また、会社やお店で働いている人(正社員・パート・アルバイトなど)は、雇用主を通じて「厚生年金」に加入するのが一般的です。
一方、就職していない人や自営業の場合は、「国民年金」に個人で加入することになります。
どちらに入るかは、働き方や雇用の有無によって決まります。制度がむずかしいと感じたときは、専門家に相談してみるのもよいでしょう。
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外国人労働者が加入する年金は国民年金と厚生年金
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日本の年金制度には、「国民年金」と「厚生年金」の2つがあります。どちらに入るかは、「どんなふうに働いているか」で決まります。
制度名 | 入る人の例 | 保険料 |
国民年金 | 自営業、無職、フリーランスなど | 月額1万7,510円(2025年度・全国共通) |
厚生年金 | 正社員、パート、アルバイトなど | 給料により変わる(会社と本人で半分ずつ払う) |
多くの外国人労働者は会社に雇われて働いているため、基本的には厚生年金に入ることになります。ただし、働き方や収入によっては、国民年金に入る人もいます。
国民年金|自営業・無職の人が入る年金制度
国民年金は、日本に住んでいる20歳以上60歳未満のすべての人が対象です。外国人であっても、日本に住んでいれば入る必要があります。
対象になるのは、たとえば自営業の人、就職していない人、フリーランスとして働く人などです。
保険料は全国同じで、2025年度は月に1万7,510円です。入るときの手続きや、保険料の支払いは、自分でやる必要があります。手続きは、住んでいる市区町村の役所でできます。
保険料を払うのがむずかしいときは、「免除制度」や「納付猶予制度」を使うことができます。
厚生年金|会社に雇われている人が入る年金制度
厚生年金は、会社やお店に雇われて働いている人が対象です。正社員や契約社員だけでなく、週20時間以上働いているパートやアルバイトも対象になる場合があります。
保険料は、給料の金額で変わります。金額の半分は会社が、もう半分は本人が負担します。
手続きや納付は会社が行うため、従業員が自分で申請する必要はありません。
また、厚生年金に入っていると、将来もらえる年金の金額が国民年金より多くなる傾向があります。
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外国人労働者が年金を払う意味|将来や帰国にどう役立つ?
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日本で働く外国人の方も、年金を払う必要があります。しかし、「自分は将来、日本にいないかもしれないのに、なぜ払うの?」と疑問に思う方もいるでしょう。
実は、日本の年金制度には、将来の生活や帰国後のサポート、永住申請などに役立つポイントがいくつもあります。
将来、日本で年金をもらえる可能性がある
日本で年金を10年以上払っていれば、将来「老齢年金」をもらえる可能性があります。2025年現在は、65歳になったときに受け取れるしくみです。
つまり、長く日本に住んで働きたい人、将来も日本で暮らしたい人にとっては、老後の大切な生活の支えになります。
また、日本の年金制度には「納付記録」というしくみがあり、いつ・いくら払ったかがきちんと管理されるので安心です。
帰国するなら「脱退一時金」がもらえるかもしれない
将来は母国に帰る予定という人にも、年金を払う意味があります。なぜなら、日本の年金制度には、「脱退一時金」という制度があるからです。
これは、一定の条件を満たせば、過去に払った年金保険料の一部が返ってくるというものです。
帰国後に申請が必要ですが、金額がまとまって戻ってくる場合もあるので、事前に制度を知っておくとよいでしょう。
ただし、手続きは日本で行われ、必要な書類も多いため、事前に情報を集めておくことが大切です。
永住申請時に年金の納付実績が評価される
将来、日本でずっと働きたい人や、永住権の取得を考えている人にとって、年金の納付はとても重要です。
永住申請では、「税金や年金をまじめに払っているか」が大きな審査ポイントのひとつだからです。
年金を長期間払っていないと、「日本で安定して生活していない」と判断され、永住の審査に落ちてしまうこともあります。
反対に、コツコツ払っている人は、まじめに日本で生活している証拠として評価されます。将来の安心のためにも、早めに意識しておくことが大切です。
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外国人労働者の年金に関するよくある質問
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年金について調べていると、「これはどういう意味?」「自分の場合はどうなるの?」と疑問が出てくるかもしれません。ここでは、外国の方からよく寄せられる質問と答えをまとめました。
給料明細に「厚生年金保険料」と書いてありますが、これは何ですか?
年金に加入した覚えがないのに、保険料が引かれているのはなぜですか?
日本の年金は、将来本当に受け取ることができますか?
帰国するときに「脱退一時金」がもらえると聞きました。本当ですか?
年金を払っていないと、何かデメリットはありますか?
日本と母国の両方で年金を払わなければならないのですか?
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外国人として日本で働くとき、年金はかならず関わってくる大切な制度です。正社員だけでなく、パートやアルバイトでも加入が必要になることがあります。
将来の年金受け取りや、帰国時の「脱退一時金」、永住申請などにも関係してくるため、正しく知っておくことが大切です。
しかし、制度の内容や手続きはむずかしく、日本語の情報だけで理解するのは大変です。
そんなときは、信頼できる人や、外国人の就職をサポートしているサービスに相談してみてください。
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