旅館のチェックインの業務とは?旅館のチェックインの仕事内容や対応!

ホテルや旅館では、チェックイン・チェックアウトの時間が決まっているのが一般的です。しかし既定の時間より早くまたは遅く、チェックイン・チェックアウトするといった柔軟性において、旅館はホテルよりも融通が利かないという印象を持たれがち。こうしたイメージによる弊害や、また今後旅館としてどのように向き合っていくべきなのかなどについて、考えてみましょう。

旅館のチェックイン・チェックアウトの時間はどれくらい?

笑顔で受付する女性たち

iStock/TakakoWatanabe

チェックイン、チェックアウトの時間はホテルや旅館によってまちまちですが、一般的にはチェックイン15時、チェックアウト10時くらいに設定されている施設が多いです。これについては、ホテルも旅館もそれほど変わりません。

また施設によっては、規定よりも早いチェックインや遅いチェックアウトに対応する場合もあります。大抵の場合はオプションとなるので、お客様側が追加料金を払うことになります。

チェックインが遅れる場合については、連絡を入れてもらえれば「〇時まで待つ」という対応をするケースがほとんどです。事前連絡がない場合はキャンセルなのか遅刻なのかの判断がつかないため、場合によってはノーショー(無連絡キャンセル)と見なし、空き部屋として急遽売りに出すこともあります。

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旅館はチェックイン・チェックアウトの融通が利かない?

旅館の部屋食

iStock/Alatom

日本人の国内旅行でも、訪日外国人の宿泊でも、宿泊先として選ばれるのは圧倒的にホテルが多く、旅館の利用率は伸び悩んでいるのが実情です。なぜ旅館を利用しないのか、という問題において、「旅館はホテルと比べ、チェックインやチェックアウトの時間に融通が利かない」と思われることが一つの要因として挙げられます。

では、なぜ融通が利かないと思われるのでしょうか。大きな理由の一つに、食事が挙げられるでしょう。

バイキング形式やお客様自らがレストランへ行って食事を済ませるホテルと違い、旅館にはお部屋食の文化があります。この場合、お客様の到着に合わせて料理を準備し、ちょうど良いタイミングで部屋に運び、食事が終わったら片付ける……という作業が発生します。

また旅館といえば仲居が布団の準備をするのが一般的なので、お客様の動きによってスタッフの動きが大きく左右される性質があります。そのうえ、旅館はホテルよりも小規模である場合が多く、そうなるとスタッフ数も少ないです。

少ないスタッフに多くの仕事が割り当てられているわけなので、お客様にはできるだけ規定の時間内にチェックイン・チェックアウトしてもらえないと、負担が大きくなってしまいます。

こうした背景があるため、ホテルに比べて旅館はチェックイン・チェックアウトの時間の融通が利きにくいと思われているのではないでしょうか。

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アーリーチェックインに対応している旅館はある?

時計

iStock/kiddy0265

チェックインの時間より早くチェックインすることを「アーリーチェックイン」といいます。ホテルではよく見られるサービスで、既定の宿泊料金にプラスしてお支払いいただき、オプションとして提供することが多いです。

では、旅館の場合はどうでしょうか。もちろんホテル同様に対応している施設がある一方、小規模旅館や家族経営の旅館では対応しないことも多いです。

単純にお客様の希望を汲むのであれば、より柔軟に対応できた方が良いのは当然ですよね。にもかかわらず、なぜ対応しないのか。その理由は以下のようなものが挙げられます。

部屋の準備ができていない

正規のチェックインより早い時間帯に来られると、部屋の準備が追いつかないことがあります。掃除や備品のチェックなどはすべて人の手で行われますが、スタッフの人数には限りがあるのでこれは当然のことです。

チェックイン前の時間帯にすべきことがある

仮に部屋の準備ができていたとしても、チェックイン前の時間帯はいわば「アイドルタイム」。その間にスタッフは休憩をとったり、買出しに行ったりしているのです。

その時間帯にお客様対応しなければならないと、休憩が回らない、買出しに行けないなど困った事態になる可能性もあるでしょう。

「早く・遅くチェックインしたい」の旅館の対応は?

旅館の玄関先に座り込む男性

iStock/krblokhin

旅館側にもいろいろな事情がありますが、おもてなしの精神でお客様のニーズに応えるのは、サービス業の務めでもあり、悩ましい問題です。実際にそうした要望があった場合、どのような対応を取ればよいのかを考えてみましょう。

早くチェックインしたい場合

アーリーチェックインを希望されたら、可能であれば事前予約必須で受け入れを検討してみましょう。その際、もちろん別途オプション料金をいただくべきです。

仮に事前予約なしで受け入れてしまうと、口コミサイトなどでそれが広まった場合、同じように早くチェックインしたいお客様がいきなり訪れる可能性が高まります。旅館側としてもいつでも対応できるわけではありませんし、無理やり対応したとしてもその分の何かしらの支障が出てしまうでしょう。

お客様側としても、「前はやってもらえたのに」という不満につながり、今度は悪い口コミを拡散されてしまうリスクすらあります。そうした事態を避けるためにも、規定のチェックイン・チェックアウト時間が形骸化しないよう、線引きはしっかり行いましょう。

遅くチェックインしたい場合

遅いチェックインで困るのは、やはり食事の準備です。旅館では夕飯つきのプランが一般的なので、予定よりもお客様のチェックインが遅れると、すべての作業が滞ってしまいます。

そこで検討したいのが、プランのバリエーションを増やすこと。かつては旅館の魅力といえば豪華な料理が筆頭に挙げられたものですが、時代の移り変わりとともにお客様のニーズも変化しています。

日本旅館に高い関心を寄せていると言われる、外国人観光客を例にとってみましょう。日本食を楽しみに来日する人が多いと言われていますが、その日本食が旅館で提供される豪華な懐石料理とは限りません。「滞在中、一番気に入った日本食はラーメン」と答える外国人だって少なくないのです。

また、滞在日数が長期化する傾向のある外国人の場合、日によって違うものを食べたいと感じるのも自然なことだと言えるでしょう。日本人の場合でも、「温泉には入りたいけど食事つきのプランばかりで宿泊料が高い。旅館は行きにくい」という意見が聞かれます。

こうした状況を鑑みると、「夕食なし+遅い時間のチェックインOK(21時まで)」など、お客様の希望に合わせて複数のプランを作る作戦が使えそうですよね。

旅館のチェックインはルールを基本に応用しよう

戦略を立てるイメージ

iStock/PeopleImages

ホテルの需要が右肩上がりで推移しているのに対し、旅館の需要はいまいち伸び悩んでいます。ここ何年かで、どんどん旅館が廃業に追い込まれているというデータもあるほどです。

しかし、日本の文化を求めてやってくる外国人観光客からは旅館に対する潜在ニーズが高いこともわかっており、実はまだまだポテンシャルを秘めているのです。

歴史があり、風情のある佇まいはホテルにはない旅館の魅力のひとつです。しかし伝統を重んじるやり方が、昨今の多様な宿泊ニーズに対応しきれているかといえば難しい面もあるでしょう。

チェックイン・チェックアウトの時間一つとってみても、旅館側が無理をせず、お客様の希望を汲み取るやり方はきっとあるはず。旅館の良さをしっかりと引き継ぎつつも、お客様のニーズに応じて運営方針を変化させていく柔軟さも必要でしょう。

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