インバウンド接客には英語が必須
外国人のお客様とコミュニケーションを取る手段といえば、何が思い浮かぶでしょうか。ボディランゲージやイラストを使ってのコミュニケーションもありますが、まずは英会話ではないでしょうか。
今、日本には世界各国からたくさんのインバウンド客が訪れています。使われている言語も多種多様ですが、国際語として広く認識されているのは英語です。さまざまな国からのインバウンド客を迎え入れるホテルの従業員であれば、基本的な英会話は押さえておきたいところです。
「インバウンド」という言葉も英語の「Inbound」が由来で、「本国行きの、帰航の、市内に向かう」という意味の単語です。海外からの観光客という意味で使うのは、日本独自のことです。このように、日本国内でしか通じない意味の言葉も多々あります。
今回は、ホテル業務に役立つ英語の例文や、外国人には通じない和製英語などについて学んでいきましょう。
宿泊業界に詳しいアドバイザーが、あなたに合う職場をいっしょにお探しします。
宿泊業界での職務経験はありますか?
ホテルで役立つ英会話例文
ホテルの仕事で役立つ英会話の例文を見てみましょう。
ごく基本的な英語で、中学・高校で習う程度の英語ではないかと思います。自分の英語が、外国人に通じると嬉しいものです。まずはこのような、簡単な会話からチャレンジしていきましょう。
あいさつ
-
- 「Good morning/おはようございます」
-
- 「Good afternoon/こんにちは」
- 「Good evening/こんばんは」
時間帯によって使い分ける挨拶です。ごく基本的な英会話ですが、「Hi」や「Hello」よりも丁寧です。なおかつフォーマルすぎることもないので、インバウンド接客で無難に使えます。
・「Thank you for coming/お越しいただきありがとうございます」
・「It’s great to see you/お会いできてうれしいです」
これらは日本語の「いらっしゃいませ」の代わりに使える言葉です。英語には「いらっしゃいませ」にぴったり当てはまる言葉は無いそうですが、来てくれた感謝の気持ちや、会えて嬉しいという気持ちを伝えるのですね。
-
- 「We hope to see you again/私たちはまたあなたにお会いできることを願います」
- 「I hope you enjoyed your stay here/わたしはあなたがここで楽しめたことを
願います」
これらはお見送りに使えるフレーズです。直訳すると、なじみのない表現ですが「またお越しくださいませ」や「当ホテルの滞在にご満足いただけたでしょうか」というニュアンスで伝わります。
フロントでのやりとり
フロントはホテルの玄関口。ここでのスタッフの案内がスムーズかどうかで、ホテルの印象が決まると言っても、過言ではありません。基本的な英会話ができるだけで、グッと良い対応になりますの。しっかり押さえておきましょう。
-
-
- 「Could you fill out this registration card, please?/宿泊カードにご記入願います」
-
- 「Could you spell that for me, please?/(名前の)つづりを教えてください」
- 「What name is it under?/ご予約のお名前をお聞かせください」
チェックインの手続きをするときは、このような言い回しが使えます。フロント業務の流れに沿った英会話のフローチャートを作成し、従業員で共有するのも良いでしょう。
一連の手続きを終えた後は
-
- 「Have a nice day!/良い一日をお過ごしください」
- 「Enjoy your stay/滞在をお楽しみください」
などの表現で、おもてなしの気持ちを伝えましょう。
飲食
レストランやルームサービスで注文を取ったり、おすすめのメニューを案内するときに便利な英語の例文を紹介します。
-
- 「Are you ready to order?/ご注文はお決まりですか?」
-
- 「I recommend this/わたしはこれをおすすめします」
-
- 「Would you like something to drink?/お飲み物はいかがですか?」
- 「Would you like your coffee before or after the meal?/コーヒーは食前・食後、
どちらがよろしいですか?」
ホテルのレストランやルームサービスでは、お客様の細かい好みに合わせたオーダーを取る場合もありますね。
上記の例文はごく一部で、お肉の焼き加減を聞いたり、料理とワインの相性を説明する場面もあるでしょう。従業員同士で、英会話のロールプレイングを行うなど、飲食担当者は特に英語力を鍛えておくと良いかもしれません。
道順案内
ホテルでは周辺観光地や、駅までの道案内をすることも多々あります。分かりやすく伝わる、英語での道案内の例文を紹介します。
-
- 「Go straight until you get to~/ ~のところまで直進です」
-
- 「Go past ~/~を通り過ぎてください」
-
- 「Turn right(left)at ~/~を右(左)に曲がります」
- 「To be across from~/~の向かい側」
また、目印にしやすい建物や設備も英語で何というのか覚えておきましょう
-
- 信号機→traffic light
-
- 看板→案内看板はsignboard、広告看板はbillboard
-
- ガソリンスタンド→filling station
- スーパーマーケット、コンビニ→supermarket、convenience store
スーパーマーケットとコンビニは、日本での呼び方と同じですが「スーパー」「コンビニ」では通じないので気を付けましょう。世界的に展開しているコンビニであれば、店名を伝えた方が分かりやすいという場合もあります。
-
なお、以下の関連記事では語学を活かせる仕事について詳しく解説しています。
合わせてご参照ください。
-
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
インバウンド接客に特化した外国話の検定
今回紹介した例文の他にも、ホテルで働く上で知っておいた方が良い英語はたくさんあります。もちろん、相手が英語で何を話しているのかも理解することも必要です。
インバウンド接客での活用に特化した、外国語の講座・検定試験があるのはご存じでしょうか。
この講座・検定は、自分の職種に合わせて受講するコースを選択できる点も魅力です。ホテルの総合的なコースの他にもブライダルや、飲食などのコースもあります。ホテル内の担当業務で、選択するのも良いでしょう。
オンラインで講座を受け、検定試験に合格すると、カラフルな4つの吹き出しがデザインされたバッジが貰えます。このバッジを付けて業務にあたれば、インバウンド客の目印になるというわけですね。
外国人には通じない和製英語
日本では、たくさんのカタカナ語が使われています。日本で生まれたカタカナ語や、英語とは違う意味で使われている言葉などの「和製英語」もあります。これらは、外国のお客様には通じないので、注意が必要です。
以下は、ホテルで使われることの多い和製英語です。正しい英語では何というのか覚えておくと良いでしょう。
-
- フロント→front desk、reception desk
「front」だけでは単に「表、正面」という意味になってしまいます。
- フロント→front desk、reception desk
-
- モーニング(朝食)→breakfast
日本では朝食サービスを「モーニング」と言いますが、外国人にはその意味は通じません。
無料で提供する朝食は「Free breakfast」や「Complimentary breakfast」と表現します。
- モーニング(朝食)→breakfast
-
- モーニングコール→wake-up call
朝食同様、外国人には通じない「モーニング」の和製英語です。
- モーニングコール→wake-up call
-
- コンセント→Electric Socket、Electrical outlet
「Electric」は付けても付けなくても通じるそうです。電源コードの差込口をコンセントと呼ぶのは日本だけで、外国人には100%通じないと言われています。
- コンセント→Electric Socket、Electrical outlet
- タッチパネル→touchscreen
チェックインやチェックアウトを自動化しているホテルでは、端末操作の案内をする際、注意しましょう。英語の「panel」は「平面的な広範囲の板」という意味なので、操作端末の画面を指す言葉としては違和感を与えます。
まずは基本的な英会話から挑戦しよう
ビジネス英語というと、日常会話の英語よりも難しいイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。しかし、接客の場面で使う英語は限られたものです。
基本的なフレーズや丁寧なニュアンスになる言い回しを覚えれば、充実のインバウンド対応が実現できるのではないでしょうか。失敗を恐れず、簡単な案内から挑戦してみてくださいね。
-