有給休暇で法律違反?罰則はある?罰則の対象になるケースと対策をご紹介

有給休暇は法律で定められた休暇です。2019年4月には労働基準法の改正によって、有給休暇の取得義務が定められました。違反があれば、指導・罰則が科せられます。罰則の内容、罰則の対象となり得るケース。さらに、違反しないための環境づくりについてご紹介します。

目次

    有給休暇の義務化と罰則

    iStock/VIDOK

     

    年次有給休暇は、労働基準法第39条で定められた休暇です。

    年次有給休暇について定めている法律は、労働基準法第39条です。有給休暇の定義、付与条件、付与日数の考え方などが定められています。

     

    • ・雇い入れた日から継続して6カ月間勤務している
    • ・全労働日のうち8割以上出勤している

     

    上記の2つの条件に該当すれば、雇用形態に関わらず、全ての労働者が付与の対象です。法律上、労働者に与えられ権利であることから「有給休暇はない」とか「有給休暇を与えない」ということはあってはなりません。

     

    さらに2019年4月からは、労働基準法の改正により有給休暇の取得が義務化されています。年間10日間以上の有給休暇が付与されている労働者には、最低5日の有給休暇を付与しなければなりません。

     

    これは法律で定められたものですので、違反があれば罰則が科せられます。さらに違反に対しては、労働基準監督署からの指導が入ります。

     

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    有給休暇に関する法律に違反した場合の罰則

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    有給休暇は労働者の権利です。当然のことながら、企業は労働者が有給休暇を取得することを妨害してはいけません。労働者が希望するタイミングで、有給休暇が取得できるよう努める義務があります。

     

    もしも、有給休暇の取得を妨害するようなことがあれば、労働基準法に反するとして、罰則(6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科せられます。さらに、有給休暇日の給料を支払わなかった場合、労働者は、企業に対して給料相当額の請求が可能です。もし裁判になった場合、給料相当額に加えて、それと同額の付加金の支払いを命じられることもあります。

     

    違反が発覚した場合には、労働基準監督署からの指導が入ります。万が一、改善が見られない場合は、さらに罰則が科せられることもあります。

     

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    有給休暇の罰則の対象になるケース

    iStock/VioletaStoimenova

     

    有給休暇義務化による罰則は、年5日の有給休暇を取得させなかった場合に限る話ではありません。罰則の対象となり得るケースについてご紹介します。

     

    パート従業員やアルバイト従業員に年休を与えない

     

    有給休暇の対象は、全労働者です。付与日数は勤務日数によって異なりますが、付与条件は雇用形態による違いはありません。しかしながら、この点への理解が不十分であるために、パート従業員やアルバイト従業員に対して有給休暇を与えない企業もあるようです。

     

    パート従業員・アルバイト従業員のように、正規雇用者よりも所定労働日数が少ない従業員の場合、有給休暇の付与日数は、所定労働日数に比例して与えられます。

     

    付与日数は年間10日未満の場合は義務化の対象ではありませんが、有給休暇を付与しなければならないという点では、いかなる雇用形態であっても同様です。

     

    休日に有給休暇を振り替える

     

    本来は所定休日であった日を労働日に変更し、有給休暇を振り替えることで、有給休暇消化させるというものです。労働日を確保するために行われることがあるようです。

     

    また、年末年始の休暇・夏季休暇など、会社が定めた法定外の休暇を廃止して、有給休暇として消化させというケースもあり得ます。

     

    これらは労働者の権利を奪う、不利益変更となりますので、違法行為です。

     

    年休を買い取る

     

    有給休暇を、1日の分の賃金に換算して買い取るというケースです。有給休暇の買取は特別な理由でない限り、原則禁止されています買い取ることで、休暇として扱うことはできなくなります。有給休暇を取得する機会を奪う行為ですので、認められません。

     

    万が一、労働者からの申し出であっても、有給休暇の買取は積極的に行われてはいけません。

     

    有給休暇で法律違反しないために

    iStock/Antonio_Diaz

     

    法律違反しないためには、当然ながら有給休暇を正しく理解する必要があります。有給休暇は、心身の疲労を回復するために付与されるものです。労働者は適度に休み、企業は適切に休ませる。これが、有給休暇の基本と言えるでしょう。

     

    有給休暇が取得しやすい環境を作る

     

    有給休暇は権利だと言われても、思うよう取得できない……。労働者が休みを取ることを快く思わない社風というのもあるでしょう。みんなが働いているのに、申し訳ないという気持ちで、有給休暇の取得をためらうこともありそうです。

     

    まずは、有給休暇の定義と効果についての理解を深めることを考えてみると良いでしょう。メリハリがつくことで仕事の効率が上がったり、個人の時間が確保されることで従業員満足度が上がったり。適切な有給休暇の取得は、労働力や生産性の向上に効果があるものだということを、労働者と企業の双方への認知・啓発を進めましょう。

     

    計画的付与を活用する

     

    有給休暇の義務化の対策として、個別指定方式と計画年休制度の導入も検討すると良いでしょう。

     

    • ・個別指定方式

    個別指定方式は、労働者の有給休暇取得の状況を企業側が把握し、取得期限内に使用が難しいと判断した場合、企業が有給休暇取得日を指定するものです。労働者個人の管理では、取得が進まないという場合には有効な方法です。

     

    • ・計画年休制度

    計画年休制度は、会社が時季を指定して有給休暇を与える制度です。労使協定で定める必要があります。企業全体で一斉に休暇を取る、グループ別に交代で取得するなど、計画的に有給休暇を付与します。管理がしやすく、業務の見通しが立てやすい点が導入のメリットと言えるでしょう。

     

    有給休暇に関する法律を再確認しよう!

    iStock/ljubaphoto

     

    心身の疲労を回復し、仕事と私生活とのバランスが取れれば、仕事の効率は上がるもの。誰もが平等に、与えられた権利を行使できるような環境作りは、何よりも重要です。

     

    有給休暇は、企業が労働者に付与する特別な休暇ではなく、法律で定められたもの。労働者一人ひとりの主体性も必要です。有給休暇に関する法律の理解は、企業だけに求められたものではないでしょう。それぞれが正しく理解すれば、罰則が科せられる状況は防げるはずです。

     

    有給休暇の取得は、円滑な企業活動の継続にも関わるものです。労働者と企業の双方が、法律を正しく理解できているか再確認してみてください。

     

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