有給休暇の買取は違法?金額は?認められない理由と認められるケースについてご紹介

有給休暇は賃金が発生する休暇。それならば給与と同じ価値があるはずです。有効期限あっても使い切れないなら、買い取ってはくれないのか?休まなくても良いから、お金にしもらえないか?そんな意見が出ることもありそうです。労働基準法によると、有給休暇の買取は原則NG。買取が認められない理由と、認められるケースについてご紹介します。

目次

    有給休暇の買取はできる?

    iStock/Vladimir-Sukhachev

     

    なかなか使う機会がないまま、有効期限が迫っている有給休暇。賃金が発生する休暇なのに使えないままとなると、損をした気分になってしまいそうです。有給休暇の年間付与日数は、最大20日間。20日間分の給与と考えると、かなり大きな金額です。

     

    有給休暇は、有効期限内に使い切ることができなければ、自然消滅しまいます。給与として考えると、1日数千円程度の価値があるものです。そう考えると、自然消滅に納得いかない人もいるかもしれません。

     

    使い切れない有給休暇は、買い取ってもらえないのでしょうか。休めないのであれば、せめてその分の賃金がもらえたら、損をした!という気持ちも晴れるでしょう。休まなくても良いから、お金が欲しいという人もいるかもしれません。

     

    労働者の不満を軽減するという意味で考えると、買取にはメリットもありそうです。買取のルール、金額について見ていきましょう。

     

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    有給休暇の買い取りは違法?

    iStock/undervisuals

     

    有給休暇の買取は、基本的には認められていません。有給休暇は、企業が労働者に与えなければいけないものです。有給休暇は、心身の疲労を回復し、意欲的に働き続きけることを目的としています。

     

    そもそも、使い切れずに余るとか、使う機会がないということが好ましくありません。有給休暇を使うことは労働者の権利であり、休暇を与えることは企業の義務です。企業が有給休暇を積極的に買い取ることは、労働者に与える休暇を減らすことになってしまいます。

    ・年次有給休暇第39条
    使用者は、その雇入れの日から起算して6カ月間継続勤務し全労働日に8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない

     

    引用:G-GOV 法令検索

     

    買取が行われることで、労働者が使用できる有給休暇の日数が減ってしまうのであれば、

    有給休暇本来の目的である、心身の回復の機会が奪われているということ。つまり有給休暇の買取は、この労働基準法39条に違反するものです。こういった、有給休暇の趣旨に反する買取は、違法と判断されます。

     

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    有給休暇の買い取りが認められるケース

    iStock/frema

     

    先に述べたように、有給休暇の買取は違法とも言えるものですが、例外もあります。場合によっては買取が実施されることで、労働者の不満が解消されたり、企業の負担が軽減されることもあります。買取が認められる3つのケースについてご紹介します。

     

    退職時に消化しきれない場合

     

    有給休暇を残したまま退職する労働者から買取りをする場合は、違法ではありません。退職時の場合は、余っている有給休暇を退職日に合わせて消化するというのが一般的かもしれませんが、転職などで退職まで日数に余裕がないこともあるでしょう。

     

    退職してしまえば有給休暇を使用できなくなるため、休ませるという趣旨には反しないという理由で、買取が認められています。

     

    法定日数を超えた分を付与している場合

     

    法定の年休付与日数を超えて年次有給休暇を与えている場合、その超過部分を買い取ることは認められています。企業によっては、労働基準法で定められた有給休暇の他にも、特別休暇として法定外の有給休暇を付与している場合があります。

     

    法律上の有給休暇とは異なる扱いのため、買取は認められています。

     

    取得の期限が切れた場合

     

    年次有給休暇の有効期間である2年を過ぎて、効力を失った有給休暇を買取の場合は、違法ではありません。これはあくまで、有効期限を過ぎたものの話です。

    有効期限が切れてしまいそうな分を事前に買取をする、というのは違法です。

     

    時効が消滅し、休暇として扱うことができなくなった場合のみ、買取が認められています。

     

    有給休暇を買い取る場合のルール

    iStock/solidcolours

     

    有給休暇を買い取る場合のルールにはどのようなものがあるのでしょうか。買取金額の決めかたと計上方法についてご紹介します。

    有給休暇1日分の買取金額の決めかた

     

    最も重要なのは、1日分の有給休暇がいくらに換算されるのかということでしょう。この計算は方法は3種類あり、どの方法を採用するかは企業によって異なります。

     

    • 通常の賃金で計算する場合月給制であれば月給額を月の所定労働日数で割って計算します。パートタイマーなどで、時給制の場合は、時給額に所定労働時間数をかけて計算し、日給制であれば日給額を買取額とします。

     

    • 平均賃金で計算する場合過去3カ月間分の給料の平均額を計算し、その平均額を日数で割ったものを、1日の平均給料額として買取額を決定します。

     

    • ・標準報酬月額の日割額健康保険や厚生年金の保険料額を決める際に使用される、標準報酬月額。原則として、1年間は変動しないため1日あたりの金額にも変動はありません。

     

    買取金額の計上方法

     

    有給休暇を買い取った場合の金額は、給与として扱うことはできませんので、賞与として扱われます。健康保険料や厚生年金など、保険料の天引きについても賞与と同様にして処理されます。

     

    有給休暇の買い取りは原則NG!

    iStock/Drazen_

     

    有給休暇の趣旨は、休むことにあります。買取の方が得かのように感じることもありそうですが、積極的に買取が行われるようことがあってはなりません。さらに言えば、買取は義務でもありません。

    有給休暇の買取は、あくまで最終手段のようなもの。有給休暇の意義を正しく理解して、買取が発生しないような使い方を意識しましょう。


     

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