内閣府が目指す「まち・ひと・しごと創成」とは
内閣府が打ち出している「まち・ひと・しごと創成」とは、人口の急減や超高齢化という日本が直面している課題に対し、政府と自治体が一体となって自律的・持続的な社会を創成することを目指した取り組みです。
平成26年に「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」と「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定されたことに始まり、今日に至ります。
人口減少の克服と、将来にわたっての成長力を確保し、活力ある日本社会を維持するため、
・稼ぐ地域をつくるとともに、安心して働けるようにする
・地方とのつながりを築き、地方への新しいひとの流れをつくる
・結婚・出産・子育ての希望をかなえる
・ひとが集う、安心して暮らすことができる魅力的な地域をつくる
という4つの基本項目のもと、「多様な人材の活躍を推進する」ことと「新しい時代の流れを力にする」ことを目的とした政策が進められています。
データ参照:内閣官房・内閣府 総合サイト みんなで育てる地域のチカラ 地方創生「まち・ひと・しごと創生「長期ビジョン」「総合戦略」「基本方針」」
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移住政策の成功例:山形県東根市
山形県東根市では、農工一体のまちづくりと子育て・教育支援により、半世紀以上社会増が続いています。
東根市はもともと、田畑の面積が広く農業が盛んな地域でした。しかし、昭和50年代から大規模な区画整理に着手し、商業・文教施設や工業団地の整備が行われました。
その結果、山形空港や「さくらんぼ東根駅(新幹線停車駅)」、高速自動車道などのインフラを生かした企業誘致により、電子・精密機械同のハイテク関連企業が50社以上集積しています。
これにより、製造品出荷額の増加と、安定した雇用の場の創出といった効果が出ているとのこと。それに伴う「職住近接」が、定住人口の決め手となっているようです。
また、自然災害の少ない環境を生かし、さくらんぼを始めとする果樹生産が盛んに行われていることも注目すべきポイント。
特に、地域ブランドの「東根さくらんぼ」は地理的表示(GI)保護制度に登録され、高品質のさくらんぼを海外に売り込むためにプロモーション等にも注力しています。
農業が盛んに行われたことで、農業市内総生産額は6902百万円(平成21年)から9303百万円(平成25年)に上昇、新規就農者数は平成24年から平成28年の間で74人に上っています。
上記の取り組みを含めた移住政策により、東根市の社会増減率は平成22年から平成27年の間で3.47%という結果が出ています。
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移住政策の成功例:新潟県粟島浦村
新潟県粟島浦村では、教育の産業化に力を入れています。
島民の高齢化による産業の衰退や、中学卒業と共に島外に出てそのまま戻らない人が多いことなどから、近い将来に島から子供がほぼいなくなるという危機意識が浮上しました。
そこで、島の伝統的な産業である漁業と観光業(民宿)に加え、新たに「学び」を村の産業とすることにしたそうです。
取り組みのメインは「粟島しおかぜ留学」という制度です。これは平成25年度から開始されたもので、粟島浦小中学校に島外から入学・転入を希望する児童や生徒を受け入れています。
1、島の自然力
2、島の暮らし力
3、粟島馬の教育力
という三つの力を利用した教育が実施されており、「しおかぜ留学」の子供たちと島の子供たちが、のびのびと育ち社会に貢献する人材となることを目指しています。
島外からの留学生を確保することにより、教員や講師、寄宿舎の管理人などに携わる人々も村外から来ることになるため、村の人口増加に繋がっているのだとか。
社会増減率は、平成22年から平成27年までの期間で6.69%となっています。
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移住政策の成功例:福井県鯖江市
福井県鯖江市では、「ゆるい移住プロジェクト」を実施しています。
・家賃無料
・参加者同士で半年の共同生活
・月1回のワークショップ参加
を条件とし、支援プログラムなどは一切なしで、とりあえず住宅だけを用意して住んでもらうという内容のプロジェクトです。
平成27年度に実施された際には15名が参加し、うち6名が県内に、3名が市内に移住する結果となったのだそう。
ちなみに、参加者のほとんどが、プロジェクト参加当初は移住の意思がなかったようです。
この取り組みはさまざまなメディアで報じられ、他の市町村での展開も進んでいるとのことでした。
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移住政策の成功例:岡山県西粟倉村
岡山県西粟倉村では、「百年の森林創造事業」が進められています。
この事業は平成20年より開始され、先人が50年前に子孫のために植樹した広大な森林を、もう50年村ぐるみで管理し、上質な木材によるの増加や、多様な生物が住む森を創造するための試みとなっています。
人工林は村の面積の約80%を占めており、中には相続した山林の場所がわからない、管理ができないといった相談があることも。
そこで、平成21年には所有者による管理が難しい森林を村が預かり、森林組合に管理や整備を委託して、より付加価値の高い森林にするための取り組みも始まったようです。
百年の森林創造事業は「西粟倉村長期施業管理に関する契約」を、
1、森林所有者
2、西粟倉村
3、森林組合
の三者で、10年間契約で締結しています。
これにより、西粟倉村は施業にかかる費用をすべて負担し、原木市場を経由せずに森林組合の木材集積所で直接木材を販売するなどしています。
また、販売にかかる手数料を差し引いた後の収益は所有者に1/2還元され、残りは百年の森林創造事業の財源として西粟倉村が使用するという仕組みが構築されているのだそう。
これらの取り組みに共感し村に移住した若者が、木材を扱うベンチャー企業などを次々に起業するなど、事業を通して西粟倉村の発展が見られるとのことです。
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移住政策の成功例:大分県豊後高田市
大分県豊後高田市では、移住政策として「昭和の町」の再生に取り組んでいます。
このプロジェクトは平成4年から9年間の構想と準備期間を経て、
「大都会を追わない、東京にも福岡にもない、日本にどこにもない、この町ならではの個性をきらめかせよう」
というコンセプトのもと、賑わっていた昭和30年代の商店街の再生へ向けてスタートしました。
1、建築再生:アルミ製建具を木製やブリキ製看板へ復元・改修
2、歴史再生:店に伝わる珍しい道具等を展示
3、商品再生:各店が自慢の売り物を持つ
4、商人再生:店主が客と向かい合い、会話しながら商いをする
という4つのキーワードを中心に、商店街の活性化を目指しています。
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課題を見つめ直すことが移住政策を成功させるカギ
移住政策には、明確な正解はありません。そのため、今回ご紹介してきたような策をそのまま採用したとしても、お住まいの地域ではうまくいかなかった、ということも十分考えられます。
重要なのは、その地域ごとの人口減少の課題や、土地の特色などを徹底的に見つめ直すことです。
それこそが、自治体に合った移住政策を考え出す第一歩となるのではないでしょうか。
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