ホテルのコンプライアンス
企業が必ず意識しなければならない課題としてコンプライアンスがあります。
コンプライアンスの遵守すべき範囲は、ここまでという明確なものはありません。
各企業が、法令や社内規程、マニュアル、企業倫理などの範囲で自発的に取り組ものです。社内の規や決まりごとを守り経済活動を行うことを含めて、コンプライアンスという言葉が使用されています。
各企業での取り組み方も千差万別で、最低限のコンプライアンスを追求する企業から、信用やブランド力を勝ち取るために積極的に取り組む企業など様々です。
ホテルの場合は、お客様に対するコンプライアンスと従業員に対するコンプライアンスの両方を守らなければなりません。
安心と安全提供がサービスの軸とも言えるホテル業界にとっては、利益にも直結する課題ともいえるでしょう。
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コンプライアンスとは
コンプライアンスとは、法令順守と言い換えられることが多くあります。
直訳すると、命令や要求に従うといった意味になります。
コンプライアンスが示す範囲は法令だけに留まらず、社内規定やマニュアル、企業倫理に至るまで広範囲です。リスクを回避するために、どういうルール作りをするのか、どのように運用して行くかを考え、それら実践するための環境を整備することもコンプライアンスには含まれています。
企業は社会に対して、法制に基づいた行動や態度、道徳モラルを守ることが強く求められています。違法なことをしない、嘘をつかない、そういった誠実な姿勢が重要になるのです。
コンプライアンスを法令順守とだけとらえ、ただ法律を守だけでは、最低限のレベルということになります。中には、法令に違反していないという判断基準で、ギリギリの行為をしている企業あるようでうが、このような行為は企業の社会的信用を失い、取り返しのつかない事態を招きかねません。
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ホテル業界のコンプライアンス
ホテル業界のおけるコンプライアンスの具体例を紹介します。
宿泊客の個人情報
ホテルは、多くの宿泊客の個人情報を扱います。個人情報に関する問題は、近年特に重要視されている分野です。データの流失や紛失といった、多くの情報に対する事故をイメージされることもあるでしょう。
ホテルにおける個人情報の事故はより身近に起こる可能性があります。
芸能人が宿泊した情報をSNSに投稿してしまうことはもちろん、家族や友人に話してしまうことも、コンプライアンス違反に当たります。
宿泊客の外部からの問い合わせや、予約者以外からの予約に関する問い合わせなど、判断い迷う場面も多々あります。
個人情報の取り扱いに関しては、決して個人の判断で対応しないこと、判断させないことが大切です。
レストランメニューの食材表示
レストランにまつわる法令は様々です。食品を取り扱う部門であるため、安全衛生に関する法令は広く知られているものかもしれません。
人の口に入る物を扱う部門ですので、十分な注意と配慮が求められる内容です。
景品表示法という法令はご存じでしょうか。過去に、レストランが提供するメニューや料理等の食品表示につい て、実際に使われていた食材と異なる表示が行われていた事案がありました。
メニューやチラシなどに表示されていた内容に比べて、実際に提供された料理の質が劣っていたり、表示とは違う食材を使ったりしていると、お客様が不利益を被る恐れがあります。これは景品表示法に反しているため、明らかに誤認される表示があった場合は、コンプライアンス違反に該当します。
「新メニュー」「新コース」と表示したのにも関わらず、既存のものと変化がない場合も同様です。
労働時間の管理
労働基準法では法定労働時間を1日あたり8時間まで、1週間で40時間までと定めています
現在では過労死が社会問題になっていることから、心身に影響が出るような無理な残業を強要するとコンプライアンス違反になります。
ホテルが特に、従業員の長時間労働が問題視されることがあります。
そういった観点からも、従業員の適正な労働時間の管理は、とても大切です。
労働環境の整備は、従業員によるコンプライアンス違反を未然に防ぐ手段でもあります。自発的な行動出は改善されない課題であり、経営層の目が届きにくい部分であることから、意識的に改善に努めていく必要があります。
ホテル従業員へのコンプライアンス教育
コンプライアンス違反が起こる原因は、知らない、意識が低いといったことが理由になることが多くあります。
従業員に対してコンプライアンスの基本知識の理解と意識付けを行うこともまた、コンプライアンスの範疇です。
コンプライアンスは経営理念を基とした、企業活動の基本となる概念でもあります。経営層の考えを従業員に正しく伝え、会社があるべき姿と社会との関わりを理解してもらう必要があります。
コンプライアンスは、企業の役員から従業員に至るまでの全員が守らなければならず、コンプライアンスのうえでは年齢や役職が問われるものではありません。
誰もが社会に対して責任を果たすべき存在として、コンプライアンスを意識するべきです。
コンプライアンスでホテルを守る
コンプライアンスが示す範囲は広く、従業員一人一人の正しい認識を元にし、た自発的な行動によって実践されます。
重要なのは法令を守ることや、社内規定、マニュアルを作成することではなく、違法行為を未然に防ぐことです。そして、万が一コンプライアンス違反が発生しても早期に解決する企業風土を作ることが大切です。
ホテルとしての企業姿勢は、すなわち社会的信頼であることを全体が理解し、常に適切で真摯な対応を心がけることでホテルを守ることができるのです。