正しい退職の引き止め方とは?
昨今、売り手市場が続いています。売り手市場の長期化に加え、ライフワークバランスを重視する労働者が増えたことも相まって、これまでよりも転職に対する偏見が少なくなったと感じる方も多いのではないでしょうか。
事実として、転職者の数は年々増加傾向にあります。総務省統計局が発表したデータによると、リーマンショック回復後の2011年から転職者数はゆるやかに右肩上がりで上昇を続け、2019年には転職者が過去最高の351万人に達したそうです。
好条件を求めて転職を決意したという労働者が多いということからもわかる通り、「優秀な人材からの退職申し出が多い」ということに頭を抱え、どのようにしたら部下の退職を引き止めららえるかという思いにふける方もいることでしょう。
引き止めたいという思いは、業務都合上のこと、本人を思ってのことと様々ですが、会社都合での引き止めは退職希望者の心に響かないことが多いようです。退職の引き止め方のポイントを押さえ、優秀な従業員の流出を防ぎましょう。
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退職の引き止め方を知る前に覚えておきたいこと
退職の引き止めを実際に行う前に、前提として覚えておいていただきたいことがあります。退職の引き止めにまつわる3つの知識をご紹介します。
退職の引き止め成功率は5~10%?
とある大手人材企業の調査によると、退職の引き止めを行い、慰留を決めた従業員は10%以下が大半でした。いくつかのアンケート結果から鑑みると、退職の引き止め成功率はおよそ5~10%ほどであり、成功率は高くないということがわかります。
退職希望者は、決意を固めたうえで相談を行うのですから、真っ当な数字と言えるでしょう。もちろん、引き止めは成功するかもしれませんが、引き止められないことの方が多いということは頭の片隅に入れておいて損はありません。
退職希望者の半数は建前を話す
耳にすることが多い退職希望者の退職理由は、キャリアアップのため、家族の事情などでしょう。
しかし、本音で退職理由を伝えたという転職者は半数ほどしかいないというアンケート結果もあるほど、退職申し出の際に本音を出さないというのが日本人の特徴です。
深掘りをすれば、人間関係が原因だった、待遇の改善がみられなかったなど、不満が出てくるものですが、優秀な従業員こそ立つ鳥跡を濁さずの精神が強く、会社を傷つけないために建前を使う退職希望者が多いということも覚えておいてください。
退職理由・上司からの引き止めにより成功率は変わる
「退職の引き止めの成功率がそんなに低いのなら、引き止めをしても意味がない…」と感じた方もいるかもしれませんが、退職理由や引き止め方により成功率は変わるようです。
退職理由が曖昧な理由である場合は考えを改めたり、上司から熱い言葉をかけられたことによりもう少しこの会社で頑張ろうかな、と思い慰留した退職希望者も少なからずいます。
これまで共に働いた従業員ですから、辞めて欲しくないと思うのは自然なことです。優秀な従業員であればなおのことでしょう。無理強いは禁物ですが、思いを伝えるという意味でも、退職の引き止めを行ってみてはいかがでしょうか。
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退職の引き止め方のポイント
では、実際に退職の引き止めを行う際に、どのようなことに気を付ければ成功率は上がるのでしょうか。退職の引き止め方の4つのポイントをご紹介します。
しっかりと話を受け止める
まず、退職希望者の意向を受け止めることが大切です。どのような理由から退職を希望しているのか、いつ頃に退職を検討しているのかなど、傾聴することを意識しましょう。
退職希望者は、退職の決意が固まってから話をすることが大半です。無理に説き伏せるようなことを行うのは避けるべきです。
本音を聞き出せるよう真摯に対話をする
話を聞き出す中で重要なのが、退職希望者の本音を引き出すということです。
前述の通り、退職希望者の退職理由の約半数は本音ではありません。建前について議論を重ねることは、捕らぬ狸の皮算用となってしまいますので、本音が聞き出せるよう、退職希望者に真摯に向き合い、対話を重ねることが大切です。
自己開示をする
本音を聞き出すコツとしては、自己開示を行うということです。
信頼していた上司の転職経験やキャリアビジョン、今後の会社の方向性、退職希望者が残ってくれた場合にどのようなことがしたかった、などという話は、退職希望者の心に強く残ります。
自身の経験談や未来の話を織り交ぜつつ、働き方についての対話を重ねることで、退職希望者の心も揺れ動くかもしれません。
退職の話は水面下で行う
退職の意向が公になってしまえば、退職希望者は最終出社のその日まで肩身の狭い思いをして過ごすことになりかねません。退職希望者が慰留する場合も同様です。
ですので、話し合いの場を設ける際には、他の従業員から怪しまれるような様子は見せないことを意識し、「少しミーティングの時間を作れる?」などのようにフランクに接することで、水面下で対話を進めることができるでしょう。
このような配慮を行ってくれる上司には、退職希望者はさらに信頼を厚くするはずです。
具体的な退職の引き止め方
退職を引き止めの場を設け、退職希望者への引き止めを行う場合には、どのようなことに気を付ければ良いのでしょう。引き止めの際の、具体的な話し合いについて解説します。
話をするのは他の従業員の邪魔が入らない場所で
前述の通り、他の従業員の耳に入るような場所での話し合いは避けるべきです。
社内であれば、普段面談を行うような会議室や、場合によってはランチでカフェに出かけたりお酒の席に誘うのも良いでしょう。
ただし、外での話し合いは、退職希望者も警戒を強めますので、誘う際はフランクに誘うことを意識してくださいね。
解決策を一緒に考える
本音の退職理由が職場の人間関係や、待遇による不満などのネガティブな理由であった場合、一緒に悩みを解決できるような策を考えるようにしましょう。
すぐに解決に向けた策を実行できるものから、難しいものまで悩みの大きさは様々なはずですが、ネックが解消されれば退職をしないという決断へ導くことができるかもしれません。
キャリアビジョンを一緒に考える
本音の退職理由が、キャリアアップや他業界・他業種に挑戦してみたいというようなポジティブな理由であった場合、まずは自社でもそのポジションを用意できないかを考えてみるのが良いでしょう。
5年後、10年後まで部下が後悔しない決断をできるように導いてあげることは、上司の務めでもあります。ですから、本当に強く引き止めたい場合には、退職希望者の気持ちに寄り添い、一緒に考え抜いてあげるようにしましょう。
ストレートに思いを伝える
対話を重ねても、退職希望者の決意が揺らがない場合があります。その際は、「もっと一緒に働きたい」、「今後このようなことを一緒にしたいと考えていた」などという思いをストレートに伝えましょう。
どんな人間でも、自分の存在価値を認められることは嬉しいものです。熱い話をすれば、退職希望者も考え直してくれる可能性もありますので、ぜひ思いを真っすぐに伝えるようにしましょう。
実際に引き止めを行う際は、退職希望者の立場で物事を考えることが重要です。下記の記事もぜひ参考にしてみてくださいね。
退職を引き止められて残ったらどうなる?残って良かった事例・後悔している事例を解説!
退職を引き止められなかった後の対応の重要性
退職の引き止めの成功率は5~10%ほどと前述した通り、決して成功率は高くはありません。もちろん、引き止めを行ったとしても「熟考しましたが、やはりご期待には添えません」となど言う回答が大半でしょう。
しかし、芳しくない回答が返ってきたからといって、退職希望者を無下に扱うのはNGです。
最後まで上司としての務めを全うし、退職までのサポートを行うことができれば、退職者は「良い会社だった」という印象を抱くことでしょう。
良いイメージのまま円満退職となった場合、友人の転職希望者などに今の職場を紹介したり、インターネットで前向きな口コミを投稿するなど、退職後もプラスに動いてくれる人材にもなり得ますので、慰労をねぎらい、最後まで大切にしてあげてくださいね。
ホテル・旅館での退職の引き止め方は?
ホテル・旅館では、重労働であることや、人間関係の悩みが解消されないことが退職を考えるきっかけとなったという退職希望者も多いはずです。
どうしても引き止めたいという場合には、本人の悩みを解決できる術を探すしかありませんが、肉体的・精神的などのネガティブな悩みから退職を決意したというのであれば、意思が揺らぐことはそうないでしょう。
前向きな理由から退職を検討していると話した従業員であれば、配置変えやインセンティブなどの待遇面の向上で、退職を踏みとどまる可能性もあります。
退職理由をホテルの経営改善に繋げることもできますので、まずは本音での対話ができる環境を整えることが重要です。下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
ホテル従業員の退職理由からホテルの改善や採用活動を見直そう!
退職の引き止め方に決まりは無い!
退職の引き止め方をご紹介しましたが、退職希望者が退職を申し出るまでの経緯や、企業体質などにより解決方法は様々です。そのため、一概に「これが正解」と伝えることは難しい現状があります。
ただ一つ言えるのは、真摯に対応をすることで、引き止められる確率は上がるということです。
真摯な対応をすることは、仮に退職の運びとなってしまった場合でも、会社にとってプラスに働くことが多いはずですので、上司としての役割を最後まで全うするようにしてくださいね。
そして、引き止めが上手くいかなかった場合には、気持ちを切り替え、新しい人材の採用に目を向けるようにしましょう。
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