接客時に正しい敬語を使えていますか?
接客業に従事している方や、これから従事するという方であれば、接客時に正しい敬語を使うことの重要性を理解しているかと思います。正しい敬語を用いなければ、お客様を不快にさせてしまい、最悪の場合、クレームに発展する可能性があるからです。
とは言っても、接客時に用いる敬語を学ぶ機会は少ないはずです。
「自分は大丈夫!」と思っていても、実は「この敬語は間違っていたの?」という表現も多くありますので、今一度接客時に使用する敬語をおさらいしましょう。
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接客時の正しい敬語:7大接客用語
接客で用いられる用語として有名なのが「7大接客用語」です。毎日一度ずつは使うであろう下記の7つから成っていますので、接客敬語への理解を深める前におさらいしておきましょう。
- ・いらっしゃいませ
- ・少々お待ちくださいませ
- ・お待たせいたしました
- ・かしこまりました
- ・申し訳ございません
- ・恐れ入ります
- ・ありがとうございます/ございました
上記の他、「失礼いたします」、「ごゆっくりどうぞ」、「お伺いいたします」、「またお越しくださいませ」など含めて、10大接客用語としている企業もあります。
自身の職場での接客頻出用語は、必ず確認しておくようにしてくださいね。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
接客時の正しい敬語:つい言ってしまうNGな敬語
「7大接客用語は完璧!」という方でも、知らず知らずのうちに誤って使用してしまっている敬語表現があるかも知れませんよ。
つい口にしてしまいがちなNGな接客敬語をみていきましょう。
「よろしかったでしょうか?」
お客様へ確認を取る際に多く用いられる「~でよろしかったでしょうか?」という表現は、正しい敬語ではありません。正しい表現は、「~よろしいでしょうか?」となります。
誤りのある敬語表現であるにも関わらず、「バイト敬語」として広く普及してしまったこの言葉は、誤用であることすら知らなかったという方も少なからずいるのではないでしょうか。
「~のほう」
「クレジットカードのほうをお預かりいたします」、「別の商品のほうをお持ちいたしますか?」など、丁寧な表現として「~のほう」を使用する方もいますが、こちらも誤った敬語表現です。
「~のほう」は「方角」に対して用いられる言葉ですので、方角以外を指す場合は用いる必要はありません。
「クレジットカードをお預かりいたします」、「別の商品をお持ちいたします」で充分な敬語表現となりますので、口癖となっている方は気を付けてくださいね。
「~になります」
注文した商品の到着と同時に使われることが多い「~になります」という表現も、一見丁寧に思える言葉ですが、「なります」は本来、何かが変化する時に用いられる言葉ですので商品に対して用いるのは誤りです。
正しくは「ご注文の~です」や「~でございます」という表現になります。
「~円からお預かりいたします」
会計時、「~円から」と金額に対して「から」を用いる方もいますが、「~のほう」同様、不必要なワードとなります。
「~円、お預かりいたします」や「~円、頂戴します」が正しい表現です。
「どちらにいたしますか?」
「いたす」という敬語は、「する」という自分の動作に対して用いられる表現です。今回、「どちらかを決定する」のはお客様となりますので、自分に対して使用される「いたす」を用いるのは誤りです。
正しくは、「する」の尊敬語である「なさる」と組み合わせた「どちらになさいますか?」という表現になりますので、覚えておきましょう。
「了解です」「わかりました」
お客様や先輩などに使用することもある「了解」や「わかりました」という言葉は、本来目上の方に使うのは失礼にあたるとされています。
ですので、「理解をした」ということを伝えたい場合は「かしこまりました」や「承知いたしました」という言葉を用いるようにしましょう。
ここまでお読みいただいて不安を覚えた方は、下記の記事もご覧いただくことをおすすめします。
その接客、言葉遣いは正しいですか?誤用に注意したい接客での言葉遣い
接客時の正しい敬語:敬語の種類
これまでのNG接客敬語を見て「1つ、2つ使ってしまっていた…」という方もいらっしゃったのではないでしょうか。しかし、接客敬語の中には仕事以外では用いる機会が少ない言葉が多くありますので、誤って使用してしまっていても仕方がありません。
かと言ってそのままにしておくのはよろしくないことですので、接客で用いられる敬語について、改めて理解を深めていきましょう。「尊敬語」、「謙譲語」、「丁寧語」の3つの敬語の種類について解説します。
尊敬語:お客様(相手)に対して用いる
自分よりも目上の相手を敬う・立てる時に用いられるのが「尊敬語」です。接客の場合では、主にお客様の動作に対して用いる言葉となります。
「なさる」、「おっしゃる」、「お越しになる」、「お求めになる」などは使用する機会も多いはずですので覚えておいて損はありません。
謙譲語:自分の動作に対して用いる
目上の相手に対し、自身がへりくだった表現をするのが「謙譲語」です。自身がへりくだった状態になるということは、相手を敬う・立てるということに繋がるという考えのもと使用される敬語表現となっています。
「いたす」、「申し上げる」、「伺う」、「拝見する」、「頂戴する」などがその一例です。慣れないうちは、尊敬語と謙譲語を混同させて使用してしまう場合がありますので、「誰に対しての敬語表現なのか」を考えて、使用するようにしましょう。
丁寧語:人物・物含め丁寧に表現する場合に用いる
最もわかりやすい敬語表現が「丁寧語」です。その名の通り、人物や物に対し用いられる敬語表現です。こそあど言葉を「こちら」、「そちら」、「あちら」、「どちら」などと話すのも丁寧表現の一つです。
基本的には名詞の前に「お」や「ご」を付けること、語尾を「です」や「ます」で表現することが一般的です。
接客時の正しい敬語:頻出の接客敬語
正しい敬語の種類をおさえたからと言って、すぐに言葉にできるかと言われれば難しいということも多いでしょう。
接客で用いられる頻出の敬語をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
お客様の呼び方
「お客様!」と呼びかけるだけで事が足りたり、事前にお客様の名前を知る機会があれば「~様!」と呼び止めることはできますが、そうでない場合の呼び方は迷ってしまうということもあるでしょう。
下記の接客敬語は、お客様を呼ぶ際によく使われますので覚えておきましょう。
- ・「男(女)の人」→「男性(女性)の方」
- ・「一人」→「おひとり様」
- ・「一緒にいる人」→「お連れ様」
- ・「お年寄り」→「ご年配」
- ・「子供」→「お子様」
- ・「誰ですか?」→「どちら様でしょうか?」
頭の中に入れたつもりが、咄嗟の対応となり「お年寄りの方!」などと口走ってしまう可能性も大いににありますので、普段から積極的に使用し、自分の言葉にしてくださいね。
お客様(相手)に対して用いる敬語
お客様に対し、用いる敬語は特に注意が必要です。尊敬語と謙譲語の混同や、余分な表現を行わないように注意しましょう。下記の接客敬語は頻出ですので、状況に合わせすぐに言葉にできるように練習を重ねることをおすすめします。
- ・「お座りください」→「おかけください」
- ・「すぐ持っていきます」→「すぐにお持ちいたします」
- ・「お食べください」→「お召し上がりください」
- ・「どうかいたしましたか?」→「どうかなさいましたか?」
- ・「すみません」「申し訳ありません」→「失礼いたしました」「申し訳ございません」
特に気を付けていただきたいのは謝罪の場面で用いられる誤った敬語表現です。お叱りを受けた従業員側が驚いてしまえば、咄嗟に「すみません!」や「申し訳ありません!」と口にしてしまうこともあるでしょう。
そもそも「申し訳ありません」という敬語表現が誤用と知らずに使ってしまっている方も一定数いらっしゃるかと思いますので、お客様に不満を重ねないような接客ができるよう、謝罪の時こそ冷静な対応を心がけてくださいね。
取引先や社内で用いられることが多い敬語
相手が消費者でないという場合でも、目上の方と話す機会の多い職場であれば、敬語を用いる機会も多くあることでしょう。特に距離が近しい先輩などであれば、うっかりしてフランクな話し言葉になってしまう可能性もありますので注意が必要です。
- ・「お世話様です」→「お世話になっております」
- ・「ご苦労様です」→「お疲れ様です」
- ・「うんうん」「はぁ」(相槌)→「えぇ」「はい」
- ・「なるほど」→「そうなんですね」
「ご苦労様です」や「なるほど」などは、目上の方に用いるにはふさわしくない言葉です。本人は悪気無く使用し、相手から指摘をされないということも多いはずです。
知らぬうちに相手から「失礼な人だ」と思われて、不満を募らせている可能性もありますので、気を付けるようにしましょう。
自分に対して用いる敬語
お客様との応対時に、使用する敬語です。お客様と会話が弾めば弾むほど、使用する敬語も増えますので、口に出しながら覚えていくのがよいでしょう。
- ・「とんでもないです」→「とんでもないことでございます」「恐縮です」
- ・「見ました」「拝見させていただきました」→「拝見いたしました」
- ・「知っています」→「存じております」
- ・「聞きます」→「お伺いいたします」
- ・「できません」→「いたしかねます」
また、前項同様、お客様が憤りを感じているタイミングでの使用は細心の注意を払うようにしてくださいね。
ホテル・旅館で正しい接客敬語が重要視される理由は?
ホテル・旅館は接客業の最高峰として名高い業界です。時間や空間などの無形サービスを提供するホテル・旅館では、接客に対するお客様の期待値が上がることは必然であり、またホテルや旅館のランクが上がれば上がるほどのその期待は高まることでしょう。
そのため、ホテル・旅館であれば他業種よりも更に気を遣った敬語表現を、意識的に用いる必要があります。
そんな時に役立つのがクッション言葉です。お客様へ依頼をする時や、謝罪のタイミングで、「お手数ですが」、「よろしければ」、「失礼ですが」などのクッション言葉を適切に用いることで、お客様に丁寧な印象を与えることができます。
ホテル・旅館の従事者であれば、ワンランク上の接客をするために、クッション言葉のバリエーションを増やしてみてもよいかも知れませんね。
お客様の期待を裏切らないよう正しい敬語を用いた接客を!
誤った接客敬語が気にならない、というお客様もいらっしゃいますが、とても気になってしまうというお客様がいるのも事実です。どのようなお客様にとっても不快感を与えず、満足していただくためには正しい接客敬語を覚え、適切に使用する必要があるでしょう。
接客敬語が苦手という方であれば、口に出す回数を増やすことで自分の言葉として使用することができるようになりますので、普段から自発的に接客敬語を使用するように心がけてみてくださいね。
またレベルの高い接客や、正しい敬語表現を覚えたいという場合には、ホテル・旅館などの宿泊業界に就職や転職を検討するのもよいかも知れません。一流の接客現場に身を置くことで、接客スキルの大幅な向上を期待することができるでしょう。
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