働く前に知っておきたい別府八湯(べっぷはっとう)とは
大分県別府市に広がる「別府八湯」。源泉数・湧出量ともに、日本一を誇ります。名前の通り、8つの有名な温泉地があり、その他にも源泉を引いた温泉施設が多く集まるこの地には、多くの魅力が詰まっています。
ここでは、別府八湯の基本情報を紹介します。
別府八湯は、「別府(べっぷ)」「浜脇(はまわき)」「鉄輪(かんなわ)」「明礬(みょうばん)」「観海寺(かんかいじ)」「亀川(かめがわ)」「柴石(しばせき)」「堀田(ほりた)」8つの温泉地のことを指す総称です。
豊富な温泉地の数だけではなく、全部で11種類あるといわれている世界中の泉質の中の10種類があることでも注目されています。
別府八湯のある別府市は、1年を通して温暖な気候の地域です。
公共交通機関に恵まれ、コンビニエンスストアやスーパーなども充実。病院や学校などの公共施設も多くあります。
最寄り駅である「別府駅」から、県の中心地「大分駅」までは10分ほどで着きます。
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8つの温泉地の歴史・アクセス
8つの温泉地が集まる「別府八湯」。ここでは、各温泉地の歴史とアクセスについて紹介していきます。
「別府温泉(べっぷおんせん)」
「別府八湯」の中心的な温泉地・別府温泉。
名前は、地名からつけられたといわれています。
この温泉地の詳しい開湯伝説はわかっていませんが、8世紀始めに書かれた「伊予国風土記」に別府温泉のことが記されていることから、この時代にはすでに存在していたとされています。
それ以降の書物にも、「赤湯泉」や「血の池地獄」など様々な名前で呼ばれ記されています。
明治に入ると発掘技術が進み、別府温泉は一気に発展していきました。さらに、温泉開発が進み、温泉地が作られ始めたのは昭和に入ってからのことです。
別府温泉の最寄り駅であるJR日豊本線の「別府駅」は、大分駅から特急で10分程の距離にあるため、市街地からのアクセスは抜群です。駅を出ると、目の前に温泉街が広がっています。
「浜脇温泉」
別府温泉と並ぶほど人気のある温泉地・浜脇温泉。
源泉が「浜」から湧き出ていることから、「浜わき」という地名がつきました。そして、その源泉を使った温泉を「浜脇温泉」と呼ぶようになったといわれています。
浜脇温泉の歴史は、「浜」から自然に湧き出ていたところを発見されたことが始まりだそう。「いつ」「誰が」見つけたのかなど詳しいことはわかっていませんが、鎌倉時代には温泉地として誕生していたといわれています。
浜脇温泉はもともと、「浜脇東温泉(東の湯・弦月泉)」と「浜脇西温泉(西の湯・清華泉)」の2つに分けられていましたが、昭和3年に統合され「浜脇温泉」と呼ばれるようになったといわれています。
統合されたその年に、日本初となる鉄筋コンクリートで造られた浴場を取り入れたことで大きな話題となりました。
浜脇温泉へは、JR日豊本線「別府駅」からバスで10分ほどで到着します。こちらも、市街地から比較的アクセスのよい場所です。
「鉄輪温泉(かんなわおんせん)」
温泉地らしい湯煙が多く立ち上る、鉄輪温泉。
名前の由来には諸説ありますが、昔、この地に湧く温泉にタオルを入れると、茶色に染まるほど金気が強い泉質だったことから付けられたといわれています。
鎌倉時代、時宗の開祖である僧侶が鉄輪を訪れ、湯治場を開いたという伝説が残っています。江戸時代には、鉄輪温泉の名物「蒸し湯」が有名となり、病を治すために多くの人々が訪れたと言われています。また、温泉の蒸気を利用した地獄釜で自炊しながら長く滞在した旅人もいました。
長期滞在の多かった鉄輪温泉では、「入湯貸間」や「入り湯滞在」という独特の宿泊スタイルが現在も残っており、宿泊客は素泊まりで自炊や外食などをしながら滞在します。
鉄輪温泉は、JR日豊本線「別府駅」からバスで20~30分の、海沿いの場所にあります。バス停近くにはレトロな町並みが広がっており、情緒あふれる雰囲気を楽しめるでしょう。
「明礬温泉(みょうばんおんせん)」
江戸時代から「美人の湯」として知られている明礬温泉。
この温泉地の地名は、かつて全国に名を馳せた野田・鶴見明礬山に由来していると伝わります。
明礬温泉は江戸時代「明ばん」の採取地として全国一の質量を誇り、採取事業の隆盛とともに湯治場として発展した温泉地です。
明礬温泉は、JR日豊本線「別府駅」からバスで20~30分の場所にあります。別府八湯の中で最も標高の高い場所にあり、近づくにつれて湯けむりと硫黄の香りが強く漂います。「温泉地に近づいている」といったワクワクを感じながら向かうことができるでしょう。
「観海寺温泉(かんかいじおんせん)」
別府八湯の中で最も温泉の透明度が高いとされている観海寺温泉。
以前は、観海寺の湯や復興泉とも呼ばれていました。温泉地の名前は、この地にある寺が由来といわれています。
観海寺温泉は、明礬温泉と同じく鎌倉時代からあるといわれています。詳しい開湯伝説などはわかっていませんが、その歴史は古く、多くの人を癒していたことは間違いありません。
観海寺温泉へのアクセスは、JR日豊本線「別府駅」からバスで10~20分の場所にあります。別府八湯の中で最も見晴らしが良く、晴れた日には別府市街地が見渡せます。
「亀川温泉(かめがわおんせん)」
海岸に源泉が湧いている亀川温泉。
江戸時代に書かれた「豊国紀行」にこの温泉地が記されていました。温泉地の名前は、この地にある寺が由来といわれています。「いつ」「誰が」見つけたのかは、わかっていませんが、江戸時代には存在していたと考えられます。
亀川温泉は、JR日豊本線「別府駅」からバスで15分から20分の場所にあります。JR日豊本線「亀川駅」があり、温泉地までは徒歩5分です。別府駅からは電車で6分ほどですので、移動は電車の方がスムーズでしょう。
「柴石温泉(しばせきおんせん)」
傷がきれいに治るといわれている柴石温泉。
その名は、江戸時代に紫色の化石が見つかったことに由来しています。
醍醐天皇や後冷泉天皇が療養のため使われたとも言われている歴史の長い温泉で、露天風呂、蒸し湯、貸切風呂がある市営の共同浴場は地元住民の憩いの場所として愛されています。
柴石温泉は、JR日豊本線「別府駅」からバスで30分の場所にあります。観光地から少し離れた山間にある温泉のため、秘湯感を感じる景色が魅力です。
「堀田温泉(ほりたおんせん)」
渓谷沿いにある自然豊かな温泉地・堀田温泉。
同じ大分県にある湯布院や日田といった温泉地に行くために通る場所で、江戸時代の後期から温泉地として栄え始めたといわれています。
堀田温泉へは、JR日豊本線「別府駅」からバスで15分の場所にあります。別府駅からそれほど遠くはないものの、バスの本数は1時間に1~2本のため、タクシーを利用するのが良さそうです。
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別府八湯温泉の泉質と効能
別府八湯は、8つの温泉地の総称です。この8つの温泉地には、10種類の泉質があります。ここでは別府八湯にある泉質と、その効能について紹介していきます。
単純温泉
多くの温泉施設で見かける、単純温泉。肌触りが柔らかく、癖がないのが特徴です。老若男女楽しめる温泉で、肌がスベスベになるといわれています。
疲労回復や健康増進、病後回復などに効果があるとされています。
二酸化炭素泉
日本の温泉ではとても希少な二酸化炭素泉。
炭酸は、高温だと気がぬけてしまいます。それと同じように、この泉質も高温だと成分が気化してしまうため、ぬるめのお湯が多いのが特徴です。
末梢神経を拡張し、循環を改善する効果があるといわれています。飲むと、胃酸・胃液の分泌が促進され、食欲増進の効果も期待できる泉質です。
炭酸水塩泉
炭酸水塩水泉はかつて「重炭酸土類泉」と「重曹泉」と呼ばれていた泉質です。
肌の角質や毛穴の汚れを取り除くため、アンチエイジング効果のあることで知られています。入浴すると、肌がすべすべになることから「美人の湯」や「清涼の湯」とも言われています。
入浴後は、肌から水分が蒸発しやすく乾燥しやすいため、保湿クリームなどを塗って保湿することで、すべすべな肌を持続させることができます。
塩化物泉
塩化物泉は、塩分が主成分です。口に含むと塩辛く、濃度が濃かったりマグネシウムが多かったりすると苦く感じることがあります。
入浴すると塩分が肌に付着して、汗の蒸発を防いでくれる効果がある泉質です。それにより、保温効果が高まり、湯冷めしにくいことで知られています。このことから、「熱の湯」とも呼ばれています。
自律神経不安症や不眠症などに、効果があるといわれています。
硫酸塩泉
硫酸塩泉は、 無色透明、無臭であることが特徴です。
高血圧や動脈硬化などの血液系に効果があるといわれ、鎮静効果が高いことから、「傷の湯」や「痛風の湯」「脳卒中の湯」とも呼ばれています。
肌当たりが良く、幅広い年代が楽しめる泉質です。
飲泉としても利用されている場所もあります。飲むと、胆汁の分泌を促進させ、腸の運動を活性化させてくれる作用もあるとされています。
含鉄泉
この泉質のお湯は、空気に触れると鉄の酸化が進み、赤褐色のにごり湯になるのが特徴。
名前の通り、お湯には鉄分が含まれており、飲泉することによって貧血に効くといわれています。また、月経障害などにも効果があることから、「婦人の湯」とも呼ばれているそうです。
含アルミニウム泉
名前の通り、アルミニウムが含まれている泉質です。旧泉質名は「明礬泉(みょうばんせん)」といわれています。日本では、比較的珍しい泉質とされ、皮膚病などに効くといわれています。
硫黄泉
この泉質は、殺菌効果が高いことで知られています。そのため、皮膚炎や高血圧などに効果的です。
他には、糖尿病やメタボリック、生活習慣病にも効果があることでも知られています。
酸性泉
酸性泉は、殺菌効果が高く、ニキビや水虫、皮膚の疾患などに効果があるといわれています。
肌への刺激が強いため、肌が敏感な方や弱い方、妊娠中、小さなお子様は入浴を控えたほうが無難です。
この泉質は、金属や鉄製のものを溶かす作用があるため、入浴する際にアクセサリー類は外した方がよいでしょう。入浴後は、必ずシャワーなどでよく洗い流しましょう。
別府八湯で働く魅力
別府八湯には8つの温泉地があるため、多くの宿泊施設が立ち並んでいます。
少ない客室で、お客様1人1人に心づくしのおもてなしを提供する旅館や、館内にアクティビティ施設を設備した大型ホテルなど、宿泊施設のタイプもさまざまです。
職種やポジション、働き方が異なる求人がたくさん出ているので、選択肢は豊富です。
数ある求人の中から、希望条件に合ったものが見つけられるのは、別府八湯で働くことで最も魅力的なポイントでしょう。
また、別府八湯と言われる8つの温泉は全て、別府駅からのアクセスも良好です。
交通アクセスが悪かったり、生活が不便になったりすることもある温泉地での勤務ですが、別府八湯であればそういった不安は少ないでしょう。
活気ある温泉地でアクティブに働きながら、プライベートを充実させることもできそうです。
別府八湯の求人情報
宿泊施設が豊富な別府八湯。求人数も多く、募集される職種もさまざまです。どのような求人があるのか、働き方と合わせて見てみましょう。
マネージャー
ホテルや旅館の中で、スタッフ管理をするのがマネージャーです。1つの宿泊施設に1人ということではなく、部門ごとにマネージャーがいるのが一般的です。
別府八湯にある宿泊施設では、さまざまな職種においてマネージャーを募集しています。
配属部署によって細かな仕事は異なりますが、スタッフを管理・統括するだけでなく、人材育成に携わることができます。
フロントスタッフ
宿泊施設の求人募集の中でも特に多く募集がかけられている求人です。
お客様を出迎えたり、清算業務をしたり、お客様からの問い合わせに対応したりと、担当する業務の範囲が幅広い仕事です。
別府八湯は、国内外から多くのお客様が訪れますので、コミュニケーションスキルが身につくのは間違いありません。外国人観光客も多いことから、語学スキルもいかせます。
仲居
旅館に宿泊するお客様の身の回りのお世話をする、仲居の募集も多く出されています。
お出迎えからご案内、食事の提供、布団の準備、お見送り、清掃など幅広い業務を担当するため、覚えることは多くあります。
美しい所作や立ち振る舞いなどが求められるため厳しい場面はありますが、お客様が喜ぶ姿が見られたり、感謝の言葉を聞けたりするので、やりがいを感じられる仕事です。
全国から温泉好きが集まる「別府八湯」の宿泊施設で働こう!
別府市のほとんどが温泉地といっても過言ではないほど、源泉数・湯量共に豊富な温泉郷・別府八湯。
交通の便にも優れ、温暖な気候に恵まれたこの地は、日本人観光客だけでなく、外国人観光客にも人気のある観光スポットです。
宿泊施設に泊まることを楽しみにしているお客様も多く、常に活気があります。エネルギッシュに働きたい方にはピッタリの環境でしょう。
別府八湯で働きたいという方は、ぜひ「おもてなしHR」にご相談くださいね。