クルーズ船で働くにはどうすればいい?
クルーズ船は「海の上のホテル」とも呼ばれる豪華な船。何カ月もかけて世界中を旅する船で働きたい!と、憧れている人は多いでしょう。
クルーズ船の仕事は船長をはじめ、航海士・機関士・通信士といった船の運航に関わるものと、お客様対応や販売、食事・エンターテインメントの提供といった接客サービスに関わるものとがあります。
この記事では、クルーズ船の接客クルーとして働くために必要なスキルや、就業への道筋について解説します。大海原へと乗り出すための参考に役立ててくださいね!
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クルーズ船の接客クルーとして働くのは狭き門
まず念頭に置くべきなのは、クルーズ船の接客クルーは狭き門だということです。
日本の船会社が運航するクルーズ船は、ランチクルーズや船上パーティーなど、短時間のクルーズを提供する船を除くとたったの3隻(2022年1月時点)。いずれかの船会社に就職するのがもっとも近道ですが、求人は限られているでしょう。
また、全世界には200隻ほどのクルーズ船があると言われていますが、日本に向けて公式の求人情報が出されることはあまりありません。
実際に海外のクルーズ船に就職した日本人は、募集の有無に関わらず履歴書を郵送したり、SNSで知り合った船員からの情報を頼りに応募したりといったパターンが多いようです。
さらに世界中から応募者が集まるため競争が激しく、日本人の乗客が少ないことからあえて日本人を雇う船会社は少ない傾向にあるとのこと。
しかし、クルーズ船の接客クルーとして求められるスキルを身に付ければ、決して叶わない夢ではありません。次の項目で、どのようなスキルが必要なのか見ていきましょう。
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クルーズ船の接客クルーに必要なスキル
クルーズ船の接客クルーとして働くためには、最低限以下のスキルが必要です。努力次第で身に着くものばかりなので、現時点で自信がない……という人も諦めずに頑張りましょう!
語学力
日本のクルーズ船で働くにはビジネス英話、海外のクルーズ船で働くにはネイティブレベルの英語スキルが必要です。
お客様対応に必要なだけでなく、クルーズ船はさまざまな国から乗組員が集まる環境です。仕事の話をするにしても、雑談などでコミュニケーションを取るにしても英語が話せなければ船上で働き、暮らしていくことはできないでしょう。
英語以外の外国語も身に付ければなお有利です。クルーズ船の接客クルーをめざすには、まず語学力を磨きましょう。
接客スキル
クルーズ船の旅はお客様にとって印象深い思い出になるはず。
中には一世一代の特別な旅行!という人も居るでしょう。また、高級ホテルに何度も宿泊している、別のクルーズ船で旅したことがある、というハイクラスのお客様も居ますよね。他社に劣らないサービスを提供し、良い思い出を残していただくためには、高い接客スキルが必要なのです。
日本のクルーズ船の求人情報を見てみると、キャリアアップ採用が多いことが分かります。接客クルーも例外ではなく、接客の現場でスキルを身に付けた人材が求められているのではないでしょうか。
体力
船で働く人の勤務時間・休日は一般的な労働基準法とは異なる法律に沿って決められます。日本の場合は「船員法」という法律で労働時間は1日8時間以内、1週間平均40時間以内、週の労働時間が40時間を超える場合は1週間あたり1日以上の休日を与える、と規定されています。
ただし、船上では常に誰かが働いていなければなりません。状況によって規定通りの休みを与えられない場合は別の日に「補償休日」と呼ばれる休日を代わりに与え、働かせることが認められているのです。
国によって法律はさまざまですが、数カ月間連続で働きその後1~2カ月ほどのまとまった休みをもらうということは珍しくないでしょう。ある程度の期間、休日を挟まずに働き続ける体力が必要なのですね。
精神力
航海中は仕事仲間と24時間衣食住をともにします。接客クルーは相部屋が一般的で、プライバシーの確保は難しいでしょう。
近くに他人が居ても気にせずぐっすり眠れる逞しさ・良好な人間関係を築く細やかさの両方が必要です。
また、下船まではお客様とのお付き合いも終わりません。トラブルがあったり、クレームを受けたりしたお客様とも顔を合わせ続けるので、精神的な疲れが蓄積されやすいのではないでしょうか。
ストレスを感じていても顔に出さない、仕事仲間に八つ当たりしない、上手にリフレッシュすることが、クルーズ船の接客クルーを長く続けるコツです。
クルーズ船で働くためのステップ
狭き門を潜り抜け、クルーズ船で働くにはどのような道筋があるのでしょうか。必要なスキルを磨きながら、就職活動を有利に進める方法を見ていきましょう。
ホテルで接客経験を積む
クルーズ船の接客クルーとホテルスタッフの仕事には、非常に多くの共通点があります。「究極のサービス業」と呼ばれるホテル業界で働けば、クルーズ船でも通用する接客スキルが身に着くでしょう。外国人のお客様が多いホテルを選べば、語学力も磨けます。
また、世界的にホスピタリティが高いと言われる日本のホテルでの経験は、海外クルーズ船への就職でも有利に働くはず。接客未経験から応募できることが多いので、まずはホテルで働くことを考えてみましょう!
なお、ホテル業界への転職については以下の記事をご参照ください。
国内フェリーの接客クルーで経験を積む
島国の日本では多くのフェリーが運航しています。フェリーはクルーズ船とは違い、航海を楽しむための船ではなく単なる移動・運搬の手段という位置づけ。
しかし、近年ではクルーズ船に引けを取らないサービス・設備を提供するフェリーもあります。接客のみならず、乗組員としての実務経験も積めるのでクルーズ船で働くための足掛かりになるでしょう。クルーズ船よりも求人が多く、新卒採用もあるのでチャレンジしやすい点もメリットです。
大学のサービス学部・サービスの専門学校で学ぶ
大学のサービス学部やサービスの専門学校では、クルーズ船の接客クルーに必要なサービスのマナーや英語を教えてもらえます。社会に出る前に基礎を磨けるので、自信を持って就職活動に臨めるはずです。
在学中にクルーズ船のインターンシップに参加できる学校もあります。そのまま就職につながることや、関係者からの紹介などで道が拓けることも期待できるでしょう。
また、大学・専門学校に行かなくてもクルーズ船のインターンシップに参加できるツアーも存在します。インターンシップ終了後には推薦状を書いてもらえるなど、就職に役立つ特典が付いている場合もあるので、参加を検討しても良いかもしれません。
クルーズ船で働くためのスキルを磨こう
接客未経験からいきなり海外のクルーズ船で働くのは難しいことですが、チャンスは努力する人のところに訪れるものです。
遠く手が届かない夢のように思えても、ホテルなどで接客の経験を積み、必要なスキルを身に付ければクルーズ船の接客クルーとして働く未来にたどり着けるでしょう。