在宅勤務を廃止する企業が増えているのはなぜ?廃止の影響や新しい働き方を考えよう

新型コロナウイルスが猛威をふるっていた時期、多くの企業が在宅勤務の導入に乗り出しました。しかし、2024年6月の時点で、在宅勤務を廃止したという企業も少なくないようです。この記事では、企業が在宅勤務を廃止する理由や、廃止によって企業や従業員が受ける影響について解説します。在宅勤務廃止後の柔軟な働き方と併せて見ていきましょう。

在宅勤務とは

在宅勤務は、オフィスなどに出勤せず自宅で業務を行うことを指す言葉。この働き方を「テレワーク」と呼ぶこともあります。

在宅勤務は、近年急速に広まった働き方。その背景には、2019年末~2022年ごろまで続いた新型コロナウイルスの流行があります。不要不急の外出や「3密状態」になることを避け、感染拡大を防止するための取り組みとして、多くの企業が在宅勤務を導入しました。

東京都のデータによると、緊急事態宣言が発令される以前の2020年3月時点で、テレワークを実施している都内の企業は、24.0%でした。しかし、緊急事態宣言が発令されてから急激に割合が増え、2021年8月には65.0%の企業がテレワークを実施しています。

また、インターネットの利用が一般化した現代においては、オンラインで完結する業務が多いことも在宅勤務が広がった理由のひとつではないでしょうか。

在宅勤務の場合、通勤時間がかからないため、プライベートの時間を有効に使うことができます。都市部で働く人にとっては、通勤時の満員電車から解放される点もメリットでしょう。企業側にも、交通費の支給が不要になったり、オフィスの運用コストを削減できたりといったメリットがあります。

その一方で、仕事とプライベートの境界線があいまいになりやすいなどのデメリットもあります。企業側としても従業員の動向を把握しにくいことなどに懸念を感じるかもしれません。

参考:テレワーク実施率調査結果/東京都

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在宅勤務廃止が進む理由とは?

通勤風景

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新型コロナウイルスの騒動が落ち着いた今、多くの企業で在宅勤務を廃止しているようです。2024年6月時点における在宅勤務の状況や、在宅勤務が廃止される理由を解説します。

在宅勤務の現状

コロナ禍の収束とともに、テレワークや在宅勤務を廃止した企業が多いようです。

前述の通り、東京都内においては60%以上の企業がテレワークや在宅勤務を導入していましたが、2023年12月時点では41.6%まで減少しています。

コロナ禍以前の状況との比較であれば割合は増えていますが、テレワークや在宅勤務を「普段の働き方」として定着させた企業はあまり多くはなかったのかもしれません。

参考:テレワーク実施率調査結果/東京都

在宅勤務廃止の理由

企業が在宅勤務を廃止することには、さまざまな理由があります。

中でも多く挙げられるのは「生産性を向上させるため」ではないでしょうか。「自宅」は、必ずしも業務に適した環境とは限りません。パソコン操作に適したデスクがなかったり、インターネット回線が低速だったりするためです。また、オフィスと違って周囲の目がないため、だらけてしまう従業員もいるかもしれません。

また、在宅勤務にかかる通信費や光熱費を「在宅勤務手当」として従業員に支給する企業も存在します。オフィスの運用コストや交通費などを削減できる一方で、在宅勤務手当などの支給が大きな負担になるかもしれません。長い目で見れば、オフィスに出勤してもらった方が支出を抑えられると判断し、在宅勤務を廃止した企業もあるのではないでしょうか。

そして、従業員同士が直接顔を合わせない在宅勤務では、社内のコミュニケーションが希薄になりがちです。チームワークを高めて業務を円滑に行うことを目的として、在宅ワークを廃止するケースも考えられるでしょう。

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在宅勤務廃止の影響を把握しよう

一度導入した在宅勤務を廃止することには、どのような影響があるのでしょうか。企業への影響と、従業員への影響を見ていきましょう。

企業への影響

在宅勤務は、柔軟な働き方を実現するための取り組みである「働き方改革」の施策としても有効な手段でしょう。それゆえに、廃止することで自社の働き方改革を停滞させる原因になるかもしれません。

また、これまで認められていた在宅勤務が廃止になることで、従業員は「自由なスタイルで働けなくなる」と不満を感じることも。従業員の満足度が下がり、退職者が増えることも考えられます。

在宅勤務を廃止する際には、それに変わる働き方改革の施策を考えたり、既存の従業員に十分な説明を行ったりといった工夫が必要ではないでしょうか。

従業員への影響

従業員への影響として懸念されるのは、通勤時間に対する負担を感じやすい点ではないでしょうか。

在宅勤務の場合、当然ながら通勤時間は0分です。ビデオ会議などがなければ身支度を整える必要もなく、始業時間ギリギリまで眠っているというケースもあるでしょう。そのような勤務スタイルに慣れた従業員にとって、通勤時間が発生することは大きなストレスになるかもしれません。

また、通勤時間は「完全に自由な時間」とはいえないもの。在宅勤務が廃止されれば、趣味に打ち込んだり、休息を取ったりできる時間は減少することが多いでしょう。

ワークライフバランスが悪化し、モチベーションの低下につながるおそれがあります。

在宅勤務廃止後の多様な働き方を考えよう

サテライトオフィス

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多様な働き方を実現する手段は、在宅勤務だけではありません。在宅勤務を廃止する場合、それに変わる新しい働き方を検討してはいかがでしょうか。具体的な例を紹介します。

ハイブリッドワークの導入

ハイブリットワークとは、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせた働き方のことです。

在宅勤務を廃止する理由が「コミュニケーションが希薄になる」といったことなら「原則としてオフィス勤務。ただし週〇回までは在宅勤務も可能」といったルールで円滑に運用できるのではないでしょうか。完全な在宅勤務でなくともプライベートの予定などに応じて在宅勤務を選べるのであれば、従業員は柔軟な働き方がしやすいはずです。

在宅勤務の廃止を理由とした退職を防げるのではないでしょうか。

サテライトオフィスの設置

サテライトオフィスとは、企業の本社や支社で主に使っているオフィスとは別に設置したオフィスのことです。

サテライトオフィスには「都市型」「郊外型」「地方型」の3タイプがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

【都市型】

都市部のサテライトオフィス。主要駅の近くなどに設置されることが多く「営業先から本社に戻る」などの、むだな移動を減らすことに役立つ。

【郊外型】

郊外のサテライトオフィス。都市部にオフィスを持つ企業が設置することが多い。郊外から都市部に通勤する従業員の通勤時間や、交通費を削減できる。

【地方型】

地方のサテライトオフィス。自然が豊かなエリアでリフレッシュしながら業務にあたれるなど、従業員のワークライフバランス向上が期待できる。地方における新たなビジネスのスタートや、事業の拡大を目的として設置することも。

サテライトオフィスの設置によって、時間を有効に使えたり仕事と私生活を両立しやすくなったりする効果が期待できるでしょう。

在宅勤務の廃止がもたらす影響は大きい

在宅勤務廃止は、企業と個人にとって大きな変化です。単に廃止すると、従業員のモチベーションが下がったり、働き方改革が停滞したりといったマイナスの影響を受けることが考えられます。

在宅勤務を廃止する際には、新たな働き方を模索することが重要ではないでしょうか。テクノロジーを活用し、働きやすい環境を整えましょう。

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