接客マニュアル作成時のポイント3選
業務に関するマニュアルに不備があると、かえって現場を混乱させる原因になりかねません。良い接客マニュアルを作成するためのポイントを見ていきましょう。
誰が読んでも分かりやすく
接客マニュアルを作る際、特に心がけたいのは「誰が読んでも分かりやすい文章」にすることです。受け取り方によって意味が食い違う表現や、一般的ではない言い回しは避けてください。
また、最近は外国人スタッフの雇い入れも増えています。可能な範囲で多言語化したり、仮名をふったりといった工夫が必要な場合もあるでしょう。
行程ごとに分けて作成する
「お客様へのあいさつについて」「服装・身だしなみについて」「作業の手順について」というふうに、マニュアルは工程ごとに分けて作成することがおすすめです。
それぞれの行程についてまとめて確認できるため頭に入りやすく、後で見返すときも知りたい情報を見つけやすくなるはずです。
情報をアップデートする
マニュアルは「作成したら終わり」ではなく、その運用でやってみて不都合があれば見直しを行い、アップデートすることが重要です。
そのため、アップデートを前提とした作りにすることがおすすめです。容易に編集できるように、社内のポータルサイトで公開する、作成日やアップデート日を記入する欄を設けるといった工夫が有効です。
アップデート後は、従業員に共有することも忘れずに。
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接客マニュアルの例文を見てみよう
以上のポイントをふまえて、接客マニュアルの例文を見ていきましょう。5つの項目について解説します。
【例文1】基本の接客用語
お客様へのあいさつや受け答えなどで使う、基本的な接客用語のマニュアル例文を見てみましょう。ここでは、一般的な販売店を想定しています。
【来店時のあいさつ】
- ・いらっしゃいませ
- ・ご来店ありがとうございます
- ・ようこそお越しくださいました
【対応中の声掛け】
- ・少々お待ちくださいませ
- ・何かお探しでしょうか
- ・ゆっくりご覧くださいませ
- ・かしこまりました
- ・お待たせいたしました
【退店時の声掛け】
- ・ありがとうございます、またお越しくださいませ
- ・またのご来店をお待ちしております
- ・お気をつけてお帰りください
【例文2】身だしなみマニュアル
身だしなみについてのマニュアル例文を見ていきましょう。ここでは制服のあるレストランを想定しています。
【制服について】
- ・貸与する制服以外の服装での接客は原則禁止
- ・ブラウスは毎日クリーニング済みのものと交換すること
- ・スカートの場合は肌色のストッキング、パンツの場合は黒のソックスを着用すること
- ・左胸にネームプレートを着用すること
【身だしなみについて】
- ・爪は短く切りそろえ華美なネイルアートは避けること
- ・肩まで届く髪はひとつにまとめること
- ・毛髪・髭はきちんと手入れし、清潔感を保つこと
- ・ヘアカラーは10トーンまでであれば可
【例文3】オペレーションマニュアル
業務のオペレーションに関するマニュアルの例文を見てみましょう。ここではフロントでのチェックイン業務を想定しています。
【手順1】
あいさつをし、予約番号とお名前を聴取する。予約番号が分からない場合は電話番号を聴取する。
言い回し例:「いらっしゃいませ。ご予約番号とお名前をお聞かせいただけますか」
【手順2】
聴取した予約番号か電話番号をフロント端末で検索し、お名前と宿泊日数を確かめる。予約の宿泊日数をお客様に伝え、間違いがないか確認する。
言い回し例:「○○様、お待ちしておりました。ご予約は本日から〇泊、〇月〇日のチェックアウトで承っております。」
【手順3】
予約内容との一致を確認したら、カードキーを発行して手渡し、ベルスタッフへ対応を引き継ぐ。
言い回し例:「ありがとうございます。お客様のお部屋は〇階の〇号室、スーペリアルームでございます。ただ今、ベルスタッフがお部屋までご案内いたします。どうぞごゆっくりお寛ぎくださいませ。」
【例文4】クレーム対応マニュアル
いざという時、スタッフが落ち着いて対応できるように、クレーム対応マニュアルを用意することもおすすめです。ホテルにおけるクレーム対応マニュアルの例文を見てきましょう。
【クレームが発生したら】
- ・お客様の話を最後まで聞く
- ・むやみな謝罪はNG。こちらに非があることが明確になるまでは、お客様の「気持ち」に対する謝罪にとどめる
言い回し例:「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」「ご心配をおかけし、申し訳ございませんでした」
- ・適切な対応を提案する
- ・こちらの不手際であれば、理由を添えて謝罪する
言い回し例:「不備のある商品を販売してしまい、誠に申し訳ございませんでした」「確認に時間がかかり、お待たせして申し訳ございませんでした」
・提案にご納得いただけない場合や、恫喝・カスタマーハラスメントに該当する場合(個人を侮辱する発言/金品の要求/犯罪行為の示唆/常識の範囲を超えた要求など)は、一度対応を保留し上席に相談する。
【例5】電話対応マニュアル
携帯電話・スマートフォンが普及した現代において、若い世代は固定電話になじみがなく、親しくない相手から掛かってくる電話に恐怖心を抱きやすいと言われています。
スムーズな電話対応のためにも、やはりマニュアルは必要でしょう。電話対応マニュアルの例文を見ていきましょう。
- ・3コール程度で取ることが望ましい
- ・電話に出たら社名と対応者名を名乗り、あいさつする
言い回し例:「お電話ありがとうございます。株式会社○○の××でございます」
- ・相手の氏名と要件を聴取し、メモに控える
- ・取り次ぎ・折り返し対応が必要な場合は内容を復唱確認する
- ・最後にもう一度名乗り、相手が電話を切るのを待つ
言い回し例:「わたくし、××が承りました。失礼いたします」
・聞き取りにくい言葉は伝え方を工夫する
- ・数字の7は「しち」ではなく「なな」、4は「し」ではなく「よん」
- ・アルファベットは単語の頭文字で説明(チャイナの「C」、ゴルフの「G」、ロンドンの「L」、メキシコの「M」など)
- ・漢字で伝える(動物の『馬』に田んぼの『田』でウマタです、など)
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
適切な接客マニュアルを用意して業務を円滑に!
入社したばかりのスタッフや、接客業未経験のスタッフにとって、接客マニュアルは頼みの綱とも言える重要な存在です。今回の記事を参考に、分かりやすい接客マニュアルを作ってくださいね!
また、接客マニュアルがなくて仕事がしにくい、接客マニュアル作りに難航しているといった場合は、接客マニュアルが整備された企業への転職を検討しても良いかもしれません。
特にホテル業界は、詳細な接客マニュアルがあるケースが多いので、安心して働けるのではないでしょうか。ホテル・旅館への就業は、おもてなしHRにお任せください。