海外で起きているオーバーツーリズムとは? 事例や対策を見てみよう

オーバーツーリズムは看過できない問題です。適切な対策を取らなければ、観光業の存続が危ぶまれるかもしれません。京都や北海道といった日本の観光地でも、観光客が押し寄せることでさまざまな弊害が起きていますが、海外にもオーバーツーリズムが深刻な地域があります。海外におけるオーバーツーリズムの事例と対策を見ていきましょう。

目次

    オーバーツーリズムは海外でも起こっている!

    混雑

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    オーバーツーリズムとは観光地にキャパシティを超えて観光客が集中し、観光資源や地元住民の暮らし、そして観光客自身にも悪影響をおよぼす問題です。

     

    京都や北海道といった人気エリアで深刻化していますが、この問題で悩んでいるのは日本の観光地だけではありません。世界の有名観光地でもオーバーツーリズムは起こり、観光客の受け入れ拒否やデモが起こるといった事態にまで発展しているのです。

     

    この記事では、海外におけるオーバーツーリズムの事例を紹介します。それぞれの国や地域が取った対策にも触れるので、ぜひ参考にしてくださいね。

    海外におけるオーバーツーリズムの事例3選

    アムステルダム

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    海外ではどのようなオーバーツーリズムが起こっているのでしょうか。特に深刻な事例や対処方法を見ていきましょう。

    スペイン・バルセロナ市

    【オーバーツーリズムによる問題】

     

    「サグラダファミリア」で知られるスペインのバルセロナ市には、市民の20倍にものぼる数の観光客が訪れていたと言われています。

     

    その結果、多くの市民が騒音や交通渋滞に悩まされたり、民泊用マンションの増加で定住できるマンション・アパートが減少したりといった問題が発生しました。また、違法民泊などの犯罪も起こり、市民が安心して暮らせない街になってしまったのです。

     

    こうした事態が続く中、バルセロナ市民は政府に対応を求めるためのデモを起こしています。

     

    【対策】

     

    深刻なオーバーツーリズムが起きたバルセロナ市では、人の流れを分析したデータや、施設情報を活用した原因究明・対策が進められています。

     

    具体策としては観光客向けアパートの運営許可数を限定したり、主要観光施設周辺の商業施設における24時間営業を禁止したりといったことが挙げられます。

     

    違法民泊の摘発や、区域によっては宿泊施設の新規立地を制限するエリアを設けるといった対策も取られています。

     

    また、分析したデータは市民や民間企業にも共有し、官民一体の対策で、オーバーツーリズム問題の解消に取り組んでいるということです。

    イタリア・ベネチア市

    【オーバーツーリズムによる問題】

     

    「水の都」として名高いイタリアのベネチア市は、世界屈指の観光地と言えるでしょう。この街でも、深刻なオーバーツーリズム問題が起こっています。観光客の多さによって市民の暮らしに支障が出ていることも悩みの種ですが、特に問題視されたのは大型クルーズ船の乗り入れです。

     

    巨大船が起こす強い波によって旧市街の基盤を痛め、生態系を破壊する危険性があることや、停泊中に街の景観を損なうことなどが指摘されました。

     

    この問題によって大量の観光客が乗り込む大型クルーズ船の周辺をボートで取り囲み「ベネチアに来るな!」と主張する海上デモが起きています。

     

    【対策】

     

    イタリア政府は、2021年8月1日から北部ベネチア中心部への大型クルーズ船の乗り入れを禁止しています。重量25000トン以上、長さ180メートル以上などの条件に当てはまる船は、サン・マルコ広場周辺の運河などに入れなくなったということです。

     

    また、2024年の春からはベネチアを訪れる日帰り観光客を対象に、5ユーロ(約790円)の入場料を課すことも決定しています。

     

    ベネチアは国連教育科学文化機関(ユネスコ)から、存続が危ぶまれる「危機遺産」への登録を勧告されており、その理由のひとつが「オーバーツーリズムへの対策が不十分である」ということです。

     

    登録を回避し、地域の遺産を守るためにも、本腰を入れて対策する必要があるのでしょう。

    オランダ・アムステルダム市

    【オーバーツーリズムによる問題】

     

    オランダの首都・アムステルダム市は「アンネ・フランクの隠れ家」で有名な観光地。また、人々が羽根を伸ばすことに寛容な地域で、老舗のナイトクラブなどが立ち並ぶ「飾り窓区域」もよく知られています。

     

    アムステルダムではソフトドラッグの使用が合法的に認められていることから、大麻を体験する目的で訪れる人も多いそうです。また、セクシャルなサービスの提供も合法で、夜の飾り窓区域が賑やかになることも特徴です。

     

    ちょっとした冒険を体験できる都市として人気を集めていますが、大麻や飲酒でハイになった人々が夜遅くまで騒ぎ、市民の生活リズムや治安に悪影響を与える問題が深刻化しました。

     

    【対策】

     

    アムステルダム市は、飾り窓区域での迷惑行為を減らす対策に力を入れています。

     

    公共スペースでの飲酒が禁止されたほか、2023年の春からは飾り窓区域が大麻の路上吸引は禁止になりました。混雑する時間帯は道路を一方通行にしたり、一部の区域を閉鎖したりといったことも行われています。

     

    また、数年前までアムステルダム名物と言えば「ビアバイク」でしたが、現在は姿を消しています。ビアバイクはビールを飲みながらペダルをこいでサイクリングを楽しむ乗り物ですが、オーバーツーリズムの影響もあって渋滞や事故が多発。2017年には、アムステルダム市中心部での営業を禁止する条例が施行されたということです。

    オーバーツーリズムを放置せず持続可能な観光を目指そう

    ベネチア

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    世界各国では、すでに観光客より地元住民の暮らしを優先する動きが始まっています。そこで暮らす人々の生活を守らなければ、やがて担い手がいなくなり、観光業を持続できなくなるのではないでしょうか。今回紹介したオーバーツーリズムの事例・対策を参考に、観光業のあり方を考えてみてくださいね。

     

    なお、観光業の仕事を探す際にはおもてなしHRが力になります。

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