ブレジャーとは「新たな旅のスタイル」
ブレジャーとは、仕事をしながら休暇も楽しめる「新たな旅のスタイル」です。
では、具体的にどんな取り組みなのでしょうか。くわしくご紹介しましょう。
ブレジャーとは?
ブレジャーとは、Business(仕事)とLeisure(観光)を組み合わせた造語、別名「出張休暇」です。
自分で行き先を決める旅行に対して、ブレジャーは地方へ出張する際に休暇を組み、観光を楽しむことができます。
近年観光庁は、「新たな旅のスタイル」としてブレジャーを推進。
休暇の分散化や有給取得率の向上を目指し、地方創生にもつなげる狙いのようです。
ワーケーションとの違いは?
ブレジャーと似ているワーケーションとは、Work(仕事)とVacation(休暇)を組み合わせた造語です。
では、ブレジャーとワーケーションの違いは何でしょうか?
- ブレジャー:出張の予定に合わせて休暇を過ごせる
- ワーケーション:旅行プランを立てて現地で仕事をする
ブレジャーは、出張がなければ休暇を組めないのに対して、ワーケーションは余暇をメインにして仕事をするスタイルです。
観光庁の調査によると、日本におけるワーケーションの認知率は約8割で、実際に体験した人は全体の4.3%と少ない状況でした。
ワーケーションを利用しない理由は、「休暇中や旅行中に仕事を入れたくない」などさまざま。利用率を向上させるためにも、利用しない理由に対しての改善が求められるでしょう。
参考:「新たな旅のスタイル」ワーケーション&ブレジャー//国土交通省 観光庁
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ブレジャーのメリット・デメリット
企業側がブレジャーを導入すると、従業員は休暇を取りリフレッシュできます。
しかし、ブレジャーを使うことでデメリットも発生します。
従業員側・企業側に分けて、メリットとデメリットを解説します。
従業員側のメリットとデメリット
ブレジャーを利用する従業員のメリットは、行き帰りの交通費が発生しないことです。
出張で発生する移動費や宿泊費は会社負担のため、自己負担は休暇で発生した宿泊延長費のみ。
さらに、仕事が終わればそのまま観光を楽しめるので、時間の有効活用ができます。
休みにくい環境でも有給休暇を取りやすく、家族を同伴でプライベートの時間を過ごすこともできるでしょう。
しかし、社内でブレジャーが定着していないと周囲から「出張しながら遊んでいる」と思われることも。
ブレジャーが容認されても、有給休暇と組み合わせることに罪悪感を抱く人もいるでしょう。
さらに、「休暇と仕事をきちんと分けたい」という人にも抵抗があるかもしれません。
企業側のメリットとデメリット
ブレジャーを導入する企業側のメリットは、効率的な有休消化につながり、仕事の生産性アップに反映される点です。
企業がブレジャーをいかすことで、従業員のストレス解消、採用活動をする際のアピールポイントにもなります。
さらに、出張先で休暇を過ごすことでその土地の課題を理解し、取引先の悩みに共感できるでしょう。
しかし、企業がブレジャーを導入すると以下のようなデメリットが考えられます。
- 出張先のネットワーク環境が不安定だとポケットwi-fiなどが必要
- 仕事と休暇の境目が判断しづらい
- 事故発生時、労災認定をするかどうか
- 正当な評価がしづらい
本格的にブレジャーを運用する前に、明確なルール作りや事前の環境チェックなどで解決することが必要と言えそうです。
さまざまなケースを想定して、トラブルを回避しましょう。
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ブレジャーとワーケーションを導入した企業事例
実際にブレジャーとワーケーションを導入した企業は、どのような取り組みをしているのでしょうか?
ブレジャーとワーケーションの普及に成功した企業事例をご紹介するので、検討している方は参考にしてみてください。
日本航空株式会社
日本航空株式会社は、2017年にワーケーション、2019年にブレジャーを導入しました。
導入したきっかけは、以下のように述べられています。
- 有給取得率が伸び悩んでいる部門があったこと
- 帰省先で仕事をしたいという社員の声があったこと
結果的に、有給取得率の向上とストレス解消につながり、仕事に対するモチベーションがアップになったとのこと。
社内ルールは、すでに実施しているテレワーク規定を軸にし、勤怠管理システムを利用して業務管理を行っているそうです。
ユニリーバジャパン
ユニリーバジャパンは、2016年に働く場所や時間を自由に設定できる「WAA(Work from Anywhere and Anytime」 を導入。
その結果、社員は働き方の固定概念がなくなり、会社への愛着心がわくとともに主体的な姿勢に変わったとのことです。
さらに、2019年に地方自治体から無料で提供された施設でワーケーションできる「地域 de WAA」を開始。
慣れ親しんだ環境から抜け出して、地域住民と交流・体験をすることで地域課題の解決に貢献している魅力的な制度ですね。
企業がブレジャーを導入する際のポイント
新たにブレジャーを導入する際は、事前の準備が重要です。
トラブルを防止するためにも、3つのポイントを理解して準備していきましょう。
労務などのルールを作る
出張と休暇を明確にするためにも、さまざまなルールを見直しましょう。
- 労務は、出張と休暇を明確にするために既存のルールを考え直す
- 就業規則は、ブレジャー用に新規作成する
また、勤怠管理システムなどを導入しておくと、申請から承認までの流れが分かりやすくなります。
労災の基準を明確に
ブレジャーを実施する際は、事故が起きた時の対処方法も重要でしょう。
一般的に以下のパターンが労災認定の線引きになるようですが、ケースバイケースです。
(労災認定の対象)
- 会社から出張先へ移動
- 休暇後に出張先から帰路に着くまで
(労災対象外)
- 休暇中
- 出張先から休暇先までの移動
正しく労災認定を行うためにも、ルール作成や社員の行動把握などをしましょう。
本格運用前にトライアル実施
最初は、ブレジャーを始めやすい部署からトライアルを実施し、問題点の検証を行いましょう。
ブレジャーを本格運用してから問題が発生しても、すぐに対応できないかもしれません。
まずは実施期間を定めて、ブレジャーを体験した社員からヒアリング・社内アンケートを実施しましょう。
ブレジャーで宿泊業界を活性化しよう
ブレジャーの特徴とメリット・デメリット、企業事例、導入する際のポイントをご紹介しました。
観光庁が推進しているブレジャーは、出張に休暇を組むことで、有給休暇取得率の向上と休暇の分散化を図る取り組みです。
旅費を節約できるだけではなく、滞在期間を延長することで宿泊業界は活性化され、その土地の魅力・課題を知ることができます。
しかし、仕事と休暇の切り替えが難しい方や、仕事と有休をセットにすることに後ろめたさを感じる方もいるでしょう。
企業側は、仕事の生産性とモチベーション向上に効果的ですが、労務や労災など必要なルールを決めなければなりません。
ブレジャーを導入する際は、利用する社員の意見に耳を傾けて試行錯誤しながら取り組むことが必要です。
ブレジャーをうまくいかしつつ、柔軟な働き方を取り入れてくださいね。