一時金と賞与はどう違う?
賞与と一時金は、しばしば同じ意味で使われる言葉。日々の業務や生活の中で、一時金と賞与を別の物として考える機会はそう多くないでしょう。「夏季一時金」「年末一時金」といった名称を使うこともありますが、それぞれ「夏の賞与」「冬の賞与」という認識が一般的です。
しかし、労働組合ではまったくの別物として考えられています。どのように使い分けられるのかを把握すれば、より条件の良い就職先・転職先が見つかるかもしれません。
一時金と賞与には、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
一時金
夏・冬や、決算で利益が出た際など、毎月の給料とは別に支給されるお金のことを総括して賞与と呼びますよね。賞与という言葉には「特別配当・報奨金」などの意味があります。
しかし一般的に「夏・冬の賞与」と呼ばれているお金は「資金の調整弁」の役割を担っているのです。
毎月の給料を安く抑え、利益が出た時に支給することで、安定した経営を保てるのですね。また、一般的に出費が増える夏と冬に普段より多くのお金を支給することで、従業員の生活を保障するという目的も含まれています。
労働組合では「毎月の賃金の一部を後払い・一時でもらうだけであり、特別配当・報奨金ではない」と考えるため、「賞与」ではなく「一時金」と呼ぶのですね。
賞与
一方、労働組合で「賞与」とされているのは「純粋な配当・報奨金」です。会社の利益や、従業員個人の功績に応じて支給されるお金のことを指しています。
たとえば決算が終わった後に出た利益を従業員に還元する「決算賞与」や、すばらしい功績をあげた従業員に贈られる「特別ボーナス」は、これに該当するでしょう。
また、複数のグループを持つ企業が、グループが出した利益に応じて配当する「グループ賞与一時金」なども該当します。
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春闘では一時金の増額やベースアップが叫ばれる
春闘とは日本の労働組合の中央組織である「日本労働組合総連合会」や「全国労働組合総連合」が、各企業に対して労働条件の改善を交渉するための運動で、毎年2月頃から行われます。
労働時間の短縮や休暇制度の充実などを求める声も上がりますが、春闘のメインは一時金の増額やベア(ベースアップの略。基本給の増額)でしょう。
たとえば2023年の春闘では、賃上げ額11245円、賃上げ率3.60%という結果が出ています。 新型コロナウイルスで大きな打撃を受けた2019年と比較し、大幅にアップしているとのこと。春闘における交渉は、社会情勢や景気に大きく左右されるのですね。
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一時金と賞与の違いを覚えておこう!
一時金と賞与の違いは、覚えておいて損はありません。労働者の権利を主張すべき場面に直面した時などに、きっと役に立つでしょう。また、求人情報を見る際もふたつの違いを理解していれば、「賞与あり」の企業は安定志向、「一時金あり」の企業は実力重視というように、企業の体質をある程度判断できるのではないでしょうか。
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