業務過多の原因のひとつは、人員不足によるもの。適切な人員を確保しないまま業務を回せば、手が足りなくなって業務量が増加するのは当然のことでしょう。業務過多を放置していると、やがては社員の休職や退職につながるケースもあります。人員不足による業務過多はどのようにして改善していくべきなのか、対処方法を見てみましょう。

人員不足に陥る理由

現在の日本では人口の減少が深刻化しており、今後も右肩下がりになると予想されています。

厚生労働省資料

厚生労働省が発表したデータによると、「2065年には総人口が9000万人を割り込み、高齢化率は38％台の水準になると推計される」のだそう。

そのため、労働可能な年齢の人口は減少の一途を辿っており、日本企業の多くが人員不足に悩まされているのです。

さらに問題なのは「人気の業界や大企業には応募が集中して中小企業への応募が集まらない」「地方にはそもそも働き手になり得る若者がいない」といった偏りが発生し、企業によっては重大な人員不足に陥ることも。

この悪循環が続いた場合、しわ寄せを受けるのは社員です。1人1人に課せられる仕事の量が激増し、業務過多の状態になってしまうのです。

では、人員不足による業務過多は具体的にどのような悪影響をもたらすのでしょうか。次の項目で見ていきましょう。

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人員不足による業務過多がもたらす悪影響

人員不足による業務過多は、社員と企業の両方に悪影響を与えます。代表的な悪影響の例を見てみましょう。

社員に対する悪影響

業務過多が社員にもたらす悪影響の代表格は、「心身の健康が損なわれること」です。人員不足によって1人あたりの業務量が増加すれば、定時で処理しきれない仕事を抱えることになります。

その結果が慢性的な長時間労働を招き、最悪の場合は体調を崩すことにつながるのです。体調を崩した社員が休職し、なおかつ人員の補充ができないとなれば、他の社員にはさらに多くの業務が課せられるでしょう。

すると「さらに残業時間が増えて、また1人休職に追い込まれる……」という悪循環に陥ることも。加えて、業務量が増えているのに給料が変わらないとなれば不満が生まれ、やがてモチベーションは低下します。

人員不足による業務過多は、社員に対して大きな負担を強いることになるのです。

企業に対する悪影響

業務過多は社員だけでなく、企業全体にも悪影響をもたらします。社員の休職やモチベーションの低下が常態化している企業では、当然ながら業績がみるみるうちに低下していくことでしょう。企業の存続が危ぶまれるケースもあり、将来に不安を感じた社員が退職することも考えられます。

また、業務過多による長時間労働が常態化していると、転職サイトの口コミなどでその旨を言及されるかもしれません。また過労は、労災を起こす大きな原因のひとつです。良くないうわさが広がったり、労災が報道されたりすることで「ブラック企業」というイメージが定着し、ますます人材の確保が困難になるリスクがあるのです。