観光ボランティアガイドの役割って何だろう?地域活性化のための活動や課題

今、旅行のトレンドは観光地を見て回ることから、訪問先の土地を深く知ることに移行しています。それに伴い地元の住民が、無償か低価格で観光客をガイドする「観光ボランティアガイド」の需要が高まっています。観光ボランティアガイドの役割や観光業に与える影響、抱えている課題について知りましょう。

観光ボランティアガイドとは

道祖伸

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観光ボランティアガイドとは、自分が暮らす地域の観光資源や歴史、自然を案内するガイドです。プロのガイドとは違って無償か、かなりの低価格で利用できます。

観光ボランティアガイドは個人ではなくグループ単位で活動することが基本ですが、自発性や個人性が尊重されます。そのため担当のガイドが、自分の言葉で地域の紹介できることが特徴です。

地域に誇りを持つガイドが、思い思いの言葉で解説してくれるので、その土地の魅力を深く知ることができるのですね。

観光ボランティアガイドによる案内は、最近流行している「独自の体験をすること」に重きを置いた「ニューツーリズム」と良い相性です。地方自治体や商工会議所、旅行会社とも連携を取って、地域活性化のために尽力しています。

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観光ボランティアガイドの役割

観光ボランティアガイド女性

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観光ボランティアガイドの役割は、その場所で生活を営む人ならではの視線で地域の魅力を深く掘り下げて紹介し、地域の活性化を促進することです。

旅行での体験に「リアリティ」が求められるが今、観光ボランティアガイドの需要は高まっています。また、ニューツーリズムにおける重要なニーズのひとつに「地元の人との交流」が挙げられます。

観光ボランティアガイドは、活動そのものが旅行者と地元の人との交流です。観光ボランティアガイドに依頼すれば、ディープな案内を受けるとともに地元の人の交流を叶えることもできるのです。こうしたメリットがあるため観光ボランティアガイドの需要はここ数年間でとても高まっています。

熱心に観光ボランティアガイドの募集を行ったり、補助金の交付をする自治会もあります。

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観光ボランティアガイドの取り組み事例

仙台市泉区を走る地下鉄

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観光ボランティアガイドは地域の魅力を住民ならではのリアルな目線で観光客に伝えています。具体的にどんなガイドをしているのか、地方の観光ボランティアガイドの活動を紹介します。

仙台市泉区の歴史民俗をガイド

宮城県仙台市の泉区は、立派な図書館や大きな公園のある機能的な住宅街です。大勢の人が便利な生活を営むこの街ですが、街の随所に伊達家以前の国分寺家の遺構が数多く存在しています。

泉区には、こうした遺構を紹介し、土地の歴史を奥深く紹介する観光ボランティアガイドの団体があります。仙台市近郊の観光地といえば松島や仙台城跡などがメジャーですが、それだけではない仙台の魅力を伝える観光ボランティアの活動ですね。

人気ナンバー1!埼玉県草加市の観光ボランティアガイド

埼玉県の草加市には、旅行サイトの人気ランキングで1位に輝いた観光ボランティアガイドの団体があります。埼玉県草加市も仙台市泉区と同様に機能的な住宅街ですが、かつては大きな宿場として栄えた歴史のある街です。

このグループでは草加宿に関する案内を中心に、歴史ある寺院や宿場の雰囲気の残る街並みを案内してます。英語での案内ができるボランティアメンバーが5名在籍しているため、草加市のインバウンド客誘致にも貢献しているグループです。

学生のみで構成された京都・奈良の観光ボランティアガイド

深い歴史と優雅な文化を誇る京都・奈良では、50年以上昔から学生のみで構成された観光ボランティアガイドの団体が活躍しています。学生ならではの親しみやすい案内を行うことが特徴で、一般のお客様や修学旅行生をのガイドを務めています。

修学旅行生にとって、年齢の近いお兄さん・お姉さんによるガイドは嬉しいものですね。京都・奈良というと歴史が深いだけあって「紹介されつくした」という印象がありますが、若者の視点で新しい魅力も発信されていることでしょう。

参照:宮城県仙台市泉区の観光ボランティアガイドについて/宮城観光NAVi

参照:埼玉県草加市の観光ボランティアガイドについて/草加市ホームページ

参照:京都・奈良の観光ボランティアガイドについて/京都府観光ボランティアガイド

観光ボランティアガイドが抱える課題

上下関係

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地元に誇りを持ち、隠れた魅力を発信する観光ボランティアガイドは地域活性化において必要不可欠な存在です。しかしながら、ボランティア活動ならではの課題点があり、法人化した方が合理的ではないかという指摘もあります。観光ボランティアガイドが抱える課題について考えていきましょう。

観光ボランティアガイド組織内の人間関係

観光ボランティアに限らず、ボランティア活動を行う団体には企業と違って明確な規定や、全員が目指すゴールが存在しません。そのため、メンバー同士の人間関係がこじれやすいというウィークポイントがあります。

代表者やとりまとめ役は必要ですが、それは単なる「役割」ですね。メンバー同士は本来対等なはずですが、活動期間が長くなるほど上下関係ができやすいのです。

また、団体内の役割のみならず職業や住んでいるエリアによって無意味な序列ができることもあります。メンバー同士の関係がこじれると、ボランティアガイドもスムーズにできず、観光客に良くない印象を与えてしまいます。

旅行会社の下請け化

旅行会社と連携を取って活動している観光ボランティアガイドの団体もあります。地域の魅力を発信するための良い取り組みですが、旅行会社の下請けの化が問題視されています。

集客を増やすための過度な要求や、依頼の頻度が高すぎて無償での対応が困難になることもあります。活動の持続のために有償化したいと思っても、ツアーに掛かるコストが増えるため、旅行会社が承諾しないというケースもあるそうです。

旅行会社にとって、観光ボランティアガイドはコストを掛けずにツアーを充実させられる存在です。しかし、このようなことが続けば観光ボランティアガイドの活動そのものができなくなってしまいます。

旅行会社は観光ボランティアガイド団体の都合を尊重し、観光ボランティアガイド団体は無理な要求にははっきり「NO」ということが必要でしょう。

プロの観光ガイドを阻害する恐れ

観光ボランティアガイドは無償、もしくは非常に安い価格でガイドのサービスを提供してくれます。旅行者や自治体、旅行会社にとってはありがたいものですが、その存在によって生活を脅かされている人も居ます。

それは、プロの観光ガイドです。プロの観光ガイドは専門的な資格や知識を持ち、効率的なガイドを提供できますが、価格競争では圧倒的に不利な立場です。観光ボランティアガイドの需要は今後ますます高まると予想されますが、プロの観光ガイドの仕事が成り立たたないという事態を招く懸念があります。

それでは「観光立国」を目指す日本全体にとっても本末転倒でしょう。お互いの活動・仕事が円滑にできるように、すみ分けを考えることが必要ですね。

観光ボランティアガイドは地方観光地のカンフル剤

やる気

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今回紹介した通り、観光ボランティアガイドは地方観光地を活性化させるためには、重要な役割を担っています。地域を愛する気持ちを持った人によるガイドはやはり、旅行者の心に響くものです。

楽観視できない課題もありますが行政や旅行会社、そしてプロの観光ガイドの方ともよりいっそうの連携を取って活躍してほしいですね。

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