アドベンチャーツーリズムとは

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アドベンチャーツーリズムとは「アクティビティ、自然、文化体験の3要素のうち、2つ以上で構成される旅行」を言います。
旅行者が地域独自の自然や地域のありのままの文化を、地域の方々とともに体験し、旅行者自身の自己変革・成長の実現を目的とする旅行スタイルです。
新たなインバウンド層の誘客のため、アドベンチャーツーリズムを打ち出す地方自治体も増えています。
日本に政策として導入されたのは2016年ですので、歴史は浅いと言えます。しかし、欧米を中心とする海外では30年以上の歴史を持っているため、市場規模の大きさには期待がかけられています。
アドベンチャーという言葉から、刺激的な体験ができるアクティビティを連想されそうですが、旅行者にとってのアクティビティは、地域を知り、地域住民と接する手段にすぎません。
そのため、アドベンチャーツーリズムにおける「アドベンチャー」は、散策や文化体験等といったものが中心です。
アドベンチャーツーリズムならではの特徴は、それらのアクティビティに、「学び」よりも「楽しみ」が重視されていることです。
また、レジャー性の高さに加えて、全てに質の高さが求められるという点も、アドベンチャーツーリズムならではでしょう。
今後の市場拡大のためには、アドベンチャーツーリズムに対する理解を深める必要があります。ここからは、メリット・デメリットを見ていきましょう。
なお、アドベンチャーツーリズムの理解を深めたうえで、それを宿泊業に還元したいと考える人はいませんか。
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アドベンチャーツーリズムのメリット

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アドベンチャーツーリズムでは、日本国内の豊富な資源を存分にアピールできるでしょう。ここでは、アドベンチャーツーリズムのメリットについて紹介します。
消費額が大きい
アドベンチャーツーリズムの旅行者は、平均で14日間という長期の滞在を好み、消費額が大きいというデータがあります。
消費額は、一般的な旅行者の2倍程度になると言われ、消費額の約65%が地域に使われるというのも特徴です。
富裕層が多く、アウトドアに必要な装備にもこだわりの強さが見られることから、経済効果は高いとされています。
アドベンチャーツーリズムによる経済効果は、地方経済の起爆剤になりうるかもしれません。
地域資源をそのままいかすことができる
日本国内には森林、火山、川、湖、海などの自然資源が豊富にあります。
旅行者は、合理的で効率の良い旅行を求めてはおらず、インフラの整備が不十分な、一見荒れた土地に魅力を感じることすらあります。
そのため、アドベンチャーツーリズムでは、既存の資源を使って盛り上げることが可能なのです。
地域の人の日常が旅行者にとっての特別な体験になるため、地方の暮らしや地域資源のありのままの姿を商品にすることができます。
オーバーツーリズムの改善
外国人観光客の受け入れには、一部の地域に旅行者が集中し、自然や文化資源への影響が課題になることがありました。
こうした課題に一石を投じるのがアドベンチャーツーリズムです。
アドベンチャーツーリズムでは、時間をかけてその土地の自然や文化を体験することに重きが置かれていたり、効率の良い移動よりも自分の力を使うことが重要とされていたりされています。
従来のインバウンド観光のように、一点集中型の観光は好まれません。
「量」の観光から「質」の観光にシフトできるのがアドベンチャーツーリズムなのです。
これによって、経済・社会的な観点でのサステナブルな効果を目指す、日本が本当に目指したい「観光立国」に近づけるでしょう。
アドベンチャーツーリズムのデメリット

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たくさんの魅力があるアドベンチャーツーリズムですが、歴史が浅いからこその課題もあります。アドベンチャーツーリズムのデメリットについて紹介します。
専門スキルが必要
アドベンチャーツーリズムの運営には、地方事業者の協力が不可欠です。
地方事業者が地域の魅力と市場を正確に理解し、地方資源に高付加価値をつけて販売しなければなりません。
そのプロデュースには、専門スキルが必要です。地方事業者だけでは不足する部分もあります。
地方経済への還元や雇用促進といった視点をもって、アドベンチャーツーリズムを推進できる事業者の確保や育成が必要です。
環境整備が不可欠
アドベンチャーツーリズムにおいて、宿泊施設と食事の問題は大きいと言われています。
アドベンチャーツーリズムの旅行者は、地方の景観や文化体験になじむ、質の高い施設・食を求めています。
資源が豊富にあっても、旅行者が求める質に合った施設・食が提供できないことで、アドベンチャーツーリズムの誘致に至らないということもあるようです。
高級施設や高級食材が求められているわけではありませんが、アドベンチャーツーリズムへの理解と、ニーズを満たせる施設や食の整備は不可欠と言えます。
認知度が低い
アドベンチャーツーリズムが日本に政策として導入されたのは2016年です。歴史が浅い分、認知度は低いのが現状です。
認知度の低さは、旅行者に対してだけではありません。
アドベンチャーツーリズムそのものが、地方事業者にも認知されていないケースもあるのです。
認知度が低いことから、販路の開拓方法や・情報発信、価格設定に課題が多く残っています。
アドベンチャーツーリズムのメリットは宿泊施設にも!

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アドベンチャーツーリズムのメリット・デメリットを紹介しました。
まだまだ成長過程にあるため、挑戦しがいのある市場と言えそうです。
特に、宿泊施設の整備は欠かせません。誘客に成功すれば、大きな経済効果が期待できるでしょう。
各地で取り組みも進められているので、参考にしながら施策を考えてみるのも良さそうです。