円満退職が重要視される理由
勤めてきた会社を辞める際、「後のことなどどうでもいい」という考え方をするのは非常に危険です。
今後の人生のために、円満退職が重要な理由は主に以下の3点。しっかり押さえておきましょう。
今後の仕事・生活に悪い影響を及ぼさないため
退職時にトラブルを起こすと、あとで何かの問い合わせが必要になった際に気まずい思いをする羽目になります。
また、業界内で悪い評判が立ち、転職先での信用を損なうリスクもあります。今の人脈を大切にするためにも、円満退職は重要なのですね。
スムーズな退職のため
円満な退職とは、退職手続きをスムーズに進めてもらい、最後の日まで気持ちよく働くことではないでしょうか。
辞めるからと言ってこれまでの不満を漏らしたり、仕事の手を抜いたりするのは賢明ではありません。感情的な振る舞いをすると反感を買って、場合によってはわざと事務手続きを遅らせたり、対人関係にヒビが入って居心地の悪い思いをしたりする恐れがあります。
働き続ける人に迷惑をかけないため
退職時には、今後も同じ職場で働く人のことを考えるべきです。引継ぎをおろそかにしたり、職場の士気を下げる言動をしたりといったことがないように注意してください。
惜しまれながら見送ってもらえるのはどのような人物なのかを考えて動けば、職場に残る人々に迷惑をかけることはないはずです。
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円満な退職交渉の進め方
転職したい意思が固まり、会社に退職を申し出ようと考えたとき、いつどのように伝えるとよいのか悩む方もいるかもしれません。ここでは、円満な退職交渉の進め方について考えてみましょう。
退職の意思を伝えるタイミングを決める
退職したい旨は、いつごろまでに職場に伝えるとよいのでしょう。民法では退職の2週間前までに申し出ると定められていますが、2週間では後任も決まらず引き継ぎもできない場合があるので現実的ではありません。
一般的な企業の規約では、退職の1カ月前と定めているところが多いようですが、円満に退職を進めたいと考える場合は余裕を持って2カ月前を目安に伝えることをおすすめします。
ホテル業界では申し出のタイミングをゴールデンウィークや夏休みといった繁忙期を避けることで、円満に退職を進められるでしょう。
また、退職を考える場合は、まず自分の会社の就業規則についてきちんと確認することも重要です。
上司に伝える際のマナーを確認
退職したい旨を上司に伝えるときにもマナーが必要です。まず直属の上司に「相談があるのですが」と伝えた後、なるべく人目のつかない会議室などで退職したい旨を口頭で伝えましょう。
その際、直属の上司を飛び越えて社長や部長に伝えたり、同僚に先に伝えたりすることは避けてください。直属の上司が監督不行き届きと思われることや、噂が広がって退職日まで会社に居づらくなるリスクを避けるためです。また、退職願はいきなり提出するのではなく、上司から退職了承を得てから提出しましょう。
必要に応じて退職願・退職届を提出
退職願は会社に退職したい旨を打診する書類のことを指し、退職届は会社から退職の了承を得た後に、退職の意思表示をするための書類です。
退職する場合、必要に応じて退職願や退職届を提出しなければなりません。なお、書類提出の有無は退職の種類によって決まります。下表をご覧ください。
自己都合退職 | 退職願や退職届の提出が必須です。なお、退職届は一方的に退職を宣告するといった意味もあるため、状況に応じて先に退職願を出します。
退職日は希望を記入することもあれば、上司と事前に相談した日で記入する場合もあります。退職願は証明のためにもコピーを取って保管しましょう。 |
会社都合退職 | 退職願・退職届を提出する必要はありません。提出してしまうと自己都合退職扱いになり、失業保険の手続の際に不利な扱いを受ける恐れがあります。
会社都合なのに退職願や退職届の提出を求められた場合は、退職理由をきちんと明記するようにしましょう。 |
期間満了による退職 | 退職願や退職届を提出する必要はありません。
ただし、すでに契約更新の意思を伝えていた場合は、「契約更新を希望しましたが、状況が変わりましたため、契約期間満了で退職します」という一文を入れた退職届を提出しましょう。 |
このように、基本的には自己都合退職の場合のみ退職願及び退職届を提出しますが、社内の労務担当者に質問するのが1番確実だと言えるでしょう。
引継ぎのスケジュールを立てる
まずは業務引き継ぎのスケジュールを立てます。後任者を決定し、業務を引き継ぎます。
ホテル業界の場合、オンシーズンをなるべく避けて引継ぎをすることで、スムーズな引き継ぎができますよ。
社内社外への挨拶
社内の人や取引先など社外の人へ退職の挨拶に行きます。社外へ行く場合は、後任者と同行した上で挨拶と紹介をしましょう。
遠方の取引先などには、挨拶文やメールを送ります。ホテル業界の場合、社内社外へ挨拶しながらも、利用するお客様には最後まで丁寧なおもてなしをする心がけが必要とされますよ。
事務手続き
会社に返却するものをまとめたり、会社から受け取る書類について確認したりしておきましょう。
退職後に慌てることのないよう、事前に準備を整えておくことが大切です。制服やユニフォームがある場合は、忘れずに返却を行ってくださいね。
ホテル&旅館業界の就職・転職についての記事
退職願の書き方を解説!
退職願の書き方にもマナーがあります。自筆で作成する、あるいは会社規定の書式で作成するなど、会社によって方法が異なることもあるので、事前の確認が欠かせません。
本項目では自筆で退職願を作成する際のポイントをご紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
用紙・筆記具・封筒の選び方
A4またはB5サイズで、縦に罫線が入っているシンプルな用紙を選びましょう。筆記具は黒の万年筆かボールペンが無難です。
鉛筆やシャープペン、消せるボールペンなど、文字が簡単に消えてしまう筆記具は使いません。封筒は白無地のものを選び、用紙のサイズによって大きさを変えます。
具体的な書き方
具体的な書き方を確認しましょう。
項目 | 記入内容 |
表題 | 最初の1行目のほぼ中央に「退職願」と記入。 |
最初の書き出し | 表題から1行あけた次の行の1番下に「私事」または「私儀」と記入。 |
退職理由 | 「一身上の都合により」と記入。自己都合の場合、退職の具体的な理由を書く必要はなし。 |
退職日 | 上司と相談した日付を記入。 |
届け出年月日 | 退職願を提出する日を記入。 |
署名/捺印 | 所属部署と氏名を書き、その下に押印。 |
宛名 | 社長の名前を記入。「株式会社〇〇〇 代表取締役 〇〇〇〇殿」 |
封筒の書き方・入れ方
退職願の封筒は表面に「退職願」と書き、裏面の左下に所属部署と名前を書きましょう。
退職願を書き終えたら封筒に入れます。便箋の書き出しが右上にくるようにおき、長辺を三等分に折ります。
まず下から3分の1の部分で折り、次に上から下へ折り重ねます。便箋の書き出し部分が裏面にくるように封筒に入れ、封入口を糊付けし、「〆」と書きましょう。
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ホテル業界での円満退職のために必要なマナーを押さえよう
退職願は、書き方から渡し方まで慣習による決まりが多く、煩わしいと感じることもあるかもしれませんが、マナーを守ることが円満退社への1番の近道となります。
新天地に気持ちよく前進するためにも、ポイントをしっかり押さえて円満退職を実現しましょう。
なお、ホテル業界への就職・転職を目指している方は、「おもてなしHR」をご活用ください。