ホテルのディナーや料亭でのコース料理は、普段の食事とは作法が異なる場面が多く、いざという前に確認しておきたいと感じる方は少なくありません。
まず覚えておきたいのは「カトラリーは外側から使う」「音を立てない」という2つの基本で、これを軸にすれば大きな失礼には至らないでしょう。
加えて、和食と中華ではそれぞれ固有の作法があり、これを知っておくとより安心です。
この記事では、コース料理のテーブルマナーを基本・和食・中華・ホテルディナー別に解説します。
コース料理のテーブルマナーで外せない2つの基本
コース料理の席で迷った際は、カトラリーの順序と音への配慮を優先すべきです。
この2点を押さえておけば、大きく外すことはありません。西洋料理に限らず、会食や接待の場全般で求められる重要な作法です。
カトラリーは外側から順に使用する
テーブルに並んだナイフやフォークは、皿から遠い外側のものが最初に使うアイテムです。
前菜用・スープ用・メイン用と、進行に合わせてセットされているため、自分で判断しなくても自然に正しい順番で使えるよう設計されています。
使い終わったカトラリーは皿の上に置き、テーブルに戻さないのが大原則。
ナイフとフォークを揃えて斜め(時計の4時の方向)に置くと「食事が終わった」というサインになります。
途中で休憩するときは、八の字に開いて置くと伝わりやすいでしょう。
食器の音や過度なにおいを立てない
食器やカトラリーをぶつけて音を立てない、スープを音を立てて飲まないという姿勢は、周囲への配慮として一貫したルールです。
スープはスプーンを手前から奥へ動かしてすくい、静かに口へ運ぶのが正しい作法となります。
においに関しても同様で、グラスのワインを豪快に回すなど、香りが広がりすぎる動作は場の雰囲気を乱すリスクがあるので注意が必要です。
「静かに、ゆったりと」という所作が、コース料理の席では美しく映ります。
コース料理の進行中に意識したい食べ方と振る舞い
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席に着いてから退席するまで、コース料理全体を通じて意識したい共通マナーが存在します。
ナプキンを正しいタイミングで広げる
ナプキンを広げるタイミングは、着席直後ではなく全員が席についたあとが基本です。
ホスト(招いた側)がいる接待や会食の場では、ホストが広げてから自分も合わせるのがスムーズでしょう。
二つ折りにして折り目を手前にし、膝の上に置きます。
スープを音を立てずに美しく味わう
フレンチをはじめとする西洋料理のコースでは、スプーンを手前から奥へ動かしてすくい、音を立てずに静かに口へ運ぶのが正しい所作です。
皿の底にスープが残ってきたら、皿の奥側を少し持ち上げて傾けると最後まですくいやすくなります。
パンは一口大に手でちぎって食べる
パンは一口大に手でちぎりながら食べるのが作法で、丸ごとかぶりつくのはNGとされています。
バターを付けるときも、一口分ちぎってからその都度バターナイフで付けるのが正しい流れです。
一度に全部にバターを塗り広げると見た目が雑な印象になるため、少量ずつ付けながら食べることを意識しましょう。
パン皿が左側にある場合、それは自分用として用意されたものです。
右側のパン皿は隣の席の方のものになるため、間違えないよう確認しておくと安心でしょう。
食べかけのパンを皿の上に置いておくだけで、自然な所作として場になじみます。
和食のコース料理で失敗しない器と箸の正しい作法
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和食のテーブルマナーで洋食と大きく異なるのは、器を手に持って食べることが正式な所作である点です。
箸の扱いにもタブーとされる動作が多く、接待や会食では特に目立ちやすいため、基本を押さえておくと安心でしょう。
持つ器と置いたまま食べる器を区別する
和食では、特定の器を卓上に置いたまま食べることは不作法とされています。
椀物・飯椀・小鉢・猪口などは両手で持ち上げてから口に運ぶのが正しい所作です。
一方、大皿や平鉢、刺身の盛り合わせが乗るような重い器は持ち上げないのが基本ルール。
料理を取り分けるときは、器を卓上に置いたまま箸を使います。
「持つ器」と「置いたまま使う器」の区別は、重さと手のひらに収まる形状かどうかを目安にすると判断しやすいでしょう。
箸の正しい使い方とNG動作を把握する
箸に関するタブーは数が多く、無意識にやってしまいがちなものも少なくありません。
代表的なNG動作は以下の表のとおりです。
| NG動作の名称 | 具体的な行為 |
|---|---|
| 移り箸 | 一つの料理に箸をつけてから、食べずに別の料理へ箸を移すこと |
| 刺し箸 | 箸を料理に突き刺して持ち上げること |
| 渡し箸 | 食事の途中で、箸を器の上に橋のように横渡しに置くこと |
| ねぶり箸 | 箸の先をなめたり、口に含んだりすること |
| 迷い箸 | どの料理にするか決めずに、料理の上で箸をさまよわせること |
箸置きがある場合は、食事中に箸を休めるときに使うのが基本です。
箸置きがないときは、箸袋を軽く折って簡易の箸置きとして使うのが一般的な対処法となります。
箸袋は丁寧に折りたたんで卓上に置くのが自然な所作です。
中華のコース料理を楽しむための回転テーブルとルール
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中華のコースは、回転テーブルと共同の取り分けスタイルが西洋料理や和食とは大きく異なります。
使い方のルールさえ知っておけば、接待・会食の場でも落ち着いて対応できるでしょう。
回転テーブルを正しい順序で回す
回転テーブルは時計回りに回すのが大前提です。
料理が運ばれてきたら、主賓や上座の方から先に取り、次の人へテーブルをゆっくり送ります。
自分が取り分けている最中は回転を止め、隣の人が取り終わったのを確認してから次へ回すのが丁寧な作法です。
グラスや個人の小皿を回転盤の上に置くのはNG行為。回している最中に倒れるリスクがあるだけでなく、他の人が料理を取りづらくなります。
グラスや取り皿は回転盤の外、自分の手前のスペースに置くようにしましょう。
料理が残り少なくなったときに勝手にテーブルを回すのも避け、全員が取り終えたタイミングで動かすと周囲への気配りになります。
取り箸の活用と敬意を示す乾杯を行う
取り箸が用意されている場合は、積極的に使うのがマナーです。
中華の大皿料理は複数人で共有するため、自分の箸をそのまま料理に入れる「直箸」は衛生面でも礼儀の面でも避けたいところ。
取り箸がない場合は、箸を逆さにして持ち手側で取り分ける方法が次善の策となります。
乾杯の作法にも中華特有のポイントが存在します。グラスを相手より低く掲げるのが敬意を示す所作とされており、目上の方との乾杯では特に意識したい点です。
紹興酒やビールなどアルコールが苦手な場合は、ウーロン茶などのノンアルコールで参加しても問題ありません。
無理に飲み干す必要はなく、口をつける程度でも失礼にはあたらないでしょう。
コース料理をホテルディナーで味わう際の注意点
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コース料理のテーブルマナーは料理ごとの作法だけでなく、席に着く前後の振る舞いも評価の対象になります。
指定されたドレスコードを事前に確認する
ホテルのレストランやバンケットでは、ドレスコードが設定されていることが多くあります。
「スマートカジュアル」「セミフォーマル」など施設によって基準が異なるため、予約時や招待状で案内を確認しておくと安心です。
カジュアルなデニムやスニーカーは、どれほど高価なものであっても入場を断られるケースがあります。
接待や会食では相手への敬意も込めて、指定より一段上の装いを意識すると良いでしょう。
食事中のスマートフォン操作を控える
食事中のスマートフォン操作は、同席者への印象を大きく下げる行為と見なされます。
着信がある場合はマナーモードに設定し、テーブルの上に置かないのが基本です。
料理の写真撮影については、施設やホストの許可を得てから行うのがマナー。
特に接待の席では、撮影よりも会話を優先するほうが場の雰囲気を壊しません。
料理やワインを邪魔しないよう香水を控える
フォーマルなディナーでは、強い香水は周囲の食欲を妨げる可能性があります。
食前酒やワインの香りを楽しむ場でもあるため、フレンチや西洋料理の格式あるコースほど香りへの配慮が求められるでしょう。
香水はつけないのではなく、控えめにつけるが正解です。
手首や耳元への少量にとどめ、衣服に直接スプレーする量は最小限にするとほかのお客様への影響を抑えられます。
適切なタイミングで入退場と着席を行う
ホテルのディナーでは、案内係(ホスト)に誘導されてから着席するのが基本です。
招待された側は上座・下座の配慮も必要で、目上の方や取引先を上座(入口から遠い席)にご案内するのが一般的な礼儀になります。
退席のタイミングも印象に残るポイント。
デザートやコーヒーが終わるまでは席を立たないのが理想で、途中退席が必要な場合は隣席の方に一声かけてから静かに席を外すと、場の雰囲気を損ないません。
コース料理のテーブルマナーでよくある質問
コース料理はカトラリーの順序と音への配慮で乗り切れる
接待や会食の席でテーブルマナーに不安を感じるのは、知識が不足しているというよりも、当日の緊張感から細かいルールが頭から抜けてしまうことが多いからです。
そうした場面で頼りになるのが「カトラリーは外側から使う」「食器や椅子の音を立てない」という2つの軸で、これを押さえておけばフレンチをはじめとした西洋料理の大半の場面は自然に乗り切れます。
和食では箸の扱いと懐紙の使い方、中華料理ではれんげの扱いとターンテーブルの順番が加わるものの、根底にある「場を乱さない・器を傷つけない」という感覚はどの料理形式でも共通しています。
細かい作法より、同席する相手への配慮が先にあると考えると、マナーはぐっと身近なものになるでしょう。
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