客室稼働率とは?
客室稼働率は、客室の利用状況を表す数値のことです。
ホテルで勤務している方であれば、毎日のように耳にしていることでしょう。
ホテル経営を知るうえでは、重要な数値の1つ。ホテル用語では「OCC」と言われることもあります。
客室稼働率が表すのは、ホテルの客室がどれだけ利用されているのかということ。多くの客室が利用されていれば、客室稼働率は高くなります。
客室が埋まっている状態であれば、その分の売上は上がります。つまり、客室稼働率が高い状態が維持できれば、安定した経営状態を保てるということです。
ホテルにとって最適なのは、客室稼働率が100%=満室の状態でしょう。ホテル経営においては、客室稼働率100%を目指すことが日々の目標とも言えます。
客室稼働率は、当日の利用状況を知るためだけに算出されるものではありません。
数日前から予測値を算出し、従業員の確保や客室清掃のスケジュール管理など、ホテルの人員計画の基準にすることもあります。
稼働率が高い日は、フロントスタッフや客室清掃員の数を多めにしたり、朝食会場で使用する食材に余裕を持たせたりする必要があるからです。
収益という視点以外にも、ホテル運営全体にとって影響がある数字ということからも、重要度の高さがうかがえます。
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客室稼働率の計算方法は?
客室稼働率の計算方法は以下の通りです。
「利用されている客室数」÷「利用可能な客室」×100%
利用可能な客室数が200室あり、利用されている客室数が100室の場合は、客室稼働率は50%になります。
繁忙期には客室稼働率は上がり、閑散期には下がるというのが一般的です。
また、インバウンドの利用のように団体客の利用があれば高稼働になることも多いため、閑散期に団体客を受け入れて、高稼働を維持する工夫をしているホテルもあります。
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ホテル経営は客室稼働率の計算だけでいい?
客室稼働率が高いことは、売上の確保の指標にはなりますが、十分な利益が確保出来ているかを確認するためには、客室稼働率の算出だけでは不十分です。ホテル経営において必要な、その他の数値について紹介します。
客室平均単価(ADR)
客室平均単価は、販売した客室の平均価格を表す数値です。
「Average Daily Rate」の頭文字で、1日毎、1部屋あたりの客室単価の平均が算出できます。
客室平均単価の算出方法は以下の通りです。
「売上の合計金額」÷「売れた客室数」
1日の売上が200万円に対して、利用された客室は100室のの場合、客室平均単価は20000円になります。
客室平均単価は、宿泊プランや客室タイプなどの客室単価のばらつきは考慮せず、客室数のみで割った数値です。
客室単価の高さは、ホテルの収益の高さに直接反映されるもの。
稼働率や近隣のホテルの価格をリサーチしながら、適切な価格を設定するのもホテル経営の手腕を問われる要素です。
RevPAR(レヴパー)
ホテルの収益を最大化させるためには、客室稼働率と客室単価の両方を高くする必要があります。
どちらかが高いだけでは、十分な収益が確保できているとは言い切れません。
それは、客室稼働率を上げようとすると客室単価は下がり、客室単価を上げようとすると、客室稼働率が下がるという関係性があるからです。
その両方を補うために算出されるのが、RevPAR(レヴパー)です。
RevPAR(レヴパー)の算出方法は以下の通りです。
「客室稼働率(OCC)」× 「客室平均単価(ADR)」
ここで算出されるのは、販売可能な客室1室あたりの売上です。
客室稼働率50%で平均客室単価が20000円の場合、RevPAR(レヴパー)は10000円になります。
販売した客室の平均単価である客室平均単価に対して、売れていない空室も含めた全客室の単価を表しています。
ホテル経営の全体像を確認できる数値ですので、RevPAR(レヴパー)はホテルが持つ「収益力」を知るための数値とも言えます。
客室稼働率の計算方法を知って稼働率アップに繋げよう!
ホテルにとって最も望ましいのは、客室稼働率、客室平均単価の両方が高い状態です。
曜日、イベント、シーズンによって、需要と供給のバランスが変化するのが特徴だからこそ、正確なデータ分析とともに、宿泊需要の予測もしなければならないのが、ホテル経営の難しさであり、面白さかもしれません。
いかに変動を少なくして、安定した収益を確保するかはホテルの最大の課題でしょう。
接客の質の高さや、魅力的なサービスも、収益の確保には欠かせない要素。
ホテルでは勤務しているが経営には携わっていないという方も、ご紹介した計算方法を参考に稼働率アップへの取り組みを考えてみてはいかがでしょうか?新たな視点でホテルを見ることで、ホテルスタッフの在り方を考えるきっかけになるかもしれませんよ。
ホテルの仕事に興味がある方は「おもてなしHR」にご相談くださいね。