宿泊業界の面接対策|人事担当者が教える「調理職種」の合格ポイント

宿泊業界の面接では、職種ごとに求められるスキルが異なり、面接対策も異なります。今回は調理職種の面接対策を詳しく解説!実際に面接官として多くの応募者を見てきた人事担当者の意見を交えながら、内定獲得のために必要な準備や面接での回答例をわかりやすく紹介します!

人事担当者が調理職種の面接で重視しているポイント

まずは、宿泊業界の企業で人事を担当者している方にアンケートを実施し回答いただいた、調理職種の面接で重視しているポイントについて見ていきましょう。

下記項目の中から、調理職種の面接において重視しているポイントを複数回答いただきました。

  • アピアランス
  • 清潔感
  • 受け応え内容
  • 受け応えのテンポ・リズム
  • コミュニケーションスキル
  • 自社への熱意を感じられるかどうか
  • 過去のスキル・経験
  • その他

最も重視しているという回答をいただいたのは「過去のスキル・経験」で、ほぼすべての人事担当者が選択しています。

次いで、「清潔感」「コミュニケーションスキル」「自社への熱意を感じられるかどうか」と続きました。

しかし、書類などで確認できる経験・スキルに不足を感じていても、会うことで採用したいと思ったことがありますか?という質問には、全員が「ある」と回答しています。

調理職種の採用に関しては、スキルや経験は重視するものの、まずは面接で会ってみようという風潮があると言えるでしょう。

実際に

本来、経験者をメインに採用する事業所でしたが、未経験で応募いただいた候補者様の意向の高さと熱意の強さを魅力に感じ、採用に至った事例があります

とのコメントをくださった人事の担当者もいらっしゃいました。

人事担当に聞いた調理職種の面接内容と回答のポイント

続いて、宿泊業界の企業で人事を担当している方に調理職種の面接で聞く質問とその質問の意図についてアンケートを実施しました。

そこで出た質問と、その回答例を紹介します。

「なぜ調理師になろうと思ったのですか?」

この質問は、料理への向き合い方や料理への本気度がわかるエピソードを引き出したいとの意図で行うようです。

調理職種は、宿泊業界の他の職種と比較しても専門的な知識やスキルが必要な職種です。だからこそ入職後に他の職種へのジョブローテーションが行われることもほとんどないでしょう。

だからこそ、どれだけ調理職種でスキルアップしていきたいという思いがあるかどうかを確認したいのです。その根源にある「調理の仕事に興味を持ったきっかけ」が具体的であると、その思いを伝えやすいかもしれません。

この質問に対する回答のポイント

  • 熱意をしっかり伝える
  • 具体的なエピソードと絡めて伝える

回答例

回答例 1: 幼少期の経験からくる情熱

子どもの頃、家族で食卓を囲む時間が大好きでした。
特に、母が心を込めて作ってくれた料理が家族を笑顔にしてくれるのを見て、料理の力を実感しました。

小学校の頃から料理を手伝うようになり、中学生のときには家族全員に喜んでもらえる料理を自分で考えて作ることが楽しくなりました。
この経験を通じて、人の心を満たす料理を一生の仕事にしたいと思い、調理師を目指しました。

回答例 2: 他人を喜ばせることへの熱意

高校時代にアルバイトで飲食店のキッチンを手伝ったことがきっかけです。
お客様が料理を美味しそうに食べている姿を見て、『自分が作る料理で誰かを喜ばせたい』という気持ちが生まれました。

それからは、もっと深く料理を学びたいと思い、学校や実習を通じて本格的に技術を磨くことに夢中になりました。
料理は単なる食事ではなく、人を幸せにする手段だと確信し、調理師を目指すことを決意しました。

回答例 3: 逆境を乗り越えた覚悟

以前、大切な家族が病気で食べるものに制限がある時期がありました。
その中で、限られた材料を使って美味しい料理を作ることに挑戦し、少しでも笑顔になってもらえた瞬間に、料理の持つ力に感動しました。

そこから、料理は栄養を与えるだけでなく、人を元気づけたり、希望を届けたりする力があると気づきました。
調理師になり、そうした料理の力をもっと多くの人に届けたいと強く思うようになりました。

「チームで働く上で大事だと思うことは何ですか?」

この質問は、協調性を持って、周りの人と良い関係を築きながら仕事ができるかを確認したいという意図を持って聞かれるようです。

調理職種は、工程によって持ち場が決まっていることがほとんど。だからこそチームワークが重要な職場環境です。

独りよがり・自分勝手と捉えられそうな表現を避け、チームのメンバーとのコミュニケーションやチームのメンバーへの思いやりが感じられるような内容にまとめられるとよさそうです。

この質問に対する回答のポイント

  • チームのメンバーとの良好な関係づくりに必要な要素を挙げる
  • 自分勝手と捉えられそうな内容は避ける

回答例

回答例 1: コミュニケーションを重視した回答

チームで働く上で最も大事だと思うのは、円滑なコミュニケーションです。

メンバー同士が情報を正確に共有し合い、意見を交わしながら進めることで、目標に向けてスムーズに進めると思います。
また、相手の意見をしっかり聞く姿勢や、自分の考えを分かりやすく伝える工夫も重要だと考えています。
これによって、相互理解が深まり、信頼関係も築けると考えています。

回答例 2: 柔軟性を重視した回答

私は、お互いの違いを尊重しながら柔軟に対応することが大事だと考えています。

チームにはさまざまな価値観やスキルを持った人が集まるので、意見の違いや課題が出てくるのは自然なことです。
その中で、自分の考えに固執するのではなく、他のメンバーの意見を取り入れたり、状況に応じて役割を調整したりすることで、チーム全体のパフォーマンスを高めることができると信じています。

回答例 3: 目標志向を重視した回答

チームで働く上で大事だと思うのは、共通の目標に向かって協力する意識です。

一人ひとりの役割や強みを理解し、それを最大限に活かしながら、お互いをサポートし合うことが成功の鍵だと考えています。
また、個人の成果ではなく、チーム全体の成果を優先する姿勢が、信頼と良い関係を築く土台になると思います。

「料理長になりたいですか?」

覚悟があるかを確認する意図で、料理長になりたいかを質問するという企業もありました。

企業は、採用する方に長く働いてほしいと思っているもの。だからこそ、調理職のキャリアのゴールと考えられる「料理長」になりたいという思いがあるかどうかを確認しているのでしょう。

意欲を伝えるためには「なりたいとは思っていません」という回答は避けたいもの。「なりたい」という気持ちがある中で、今すぐには難しいことを理解していること、料理長になるためにどのようなことに取り組もうと思っているかなどが表せる回答ができるとよさそうです。

この質問に対する回答のポイント

  • 「なりたいと思っていません」というネガティブな回答は避ける
  • 具体的なプロセスや責任感に触れることで、将来性と現実的な姿勢をアピールする

回答例

回答例 1: 成長志向を強調した回答

はい、料理長を目指したいと思っています。

ただし、今の自分のスキルや経験がまだ十分ではないことも自覚していますので、まずは基礎をしっかり身につけ、先輩方の技術や知識を学びながら成長していきたいと考えています。

料理長というのは、ただ料理が上手いだけではなく、チームをまとめるリーダーシップや店舗全体を見渡す視野も必要だと思います。
その覚悟を持ちながら、将来的にはその役割を担えるよう努力していきたいです。

回答例 2: チームへの貢献を重視した回答

料理長というポジションには強い憧れがありますが、それ以上に、まずはチームにとって必要な存在になることを目指しています。

料理長になるということは、単に料理を作るだけでなく、チーム全体をまとめ、後輩を育て、店の品質を守る責任が伴うと理解しています。
その責任を果たす覚悟ができるよう、自分自身を鍛え続け、必要とされる料理人になりたいと思っています。

回答例 3: 長期的なビジョンを含めた回答

最終的には料理長になり、自分の味や考えをお客様に直接届けられるような存在になりたいと考えています。

ただし、料理長という立場には多くのプレッシャーや責任があると理解しています。
そのため、今は目の前の仕事に全力で取り組みながら、一つひとつ経験を積み重ね、信頼を得ることで、自信を持ってその役割を担える日を目指しています。

「転職で重視するポイントを3つ挙げるとすればなんですか?」

この質問を行う意図は、自社が応募者の転職条件にあてはまっているかどうかといった検討確度をはかるためとのこと。

このような質問があった際に注意したいのは、自分が回答した転職で重視しているポイントと、面接をしてもらっている企業に相違がないかという点です。

例えば、首都圏でしか展開していないホテルを志望して面接を受けている状態で、転職で重視しているポイントとして地方創生につながる仕事ができるかどうかという点を挙げた場合、あなたの希望する内容を叶えることができないと企業に感じられてしまい、選考を通過できないでしょう。

この質問に対する回答のポイント

  • 応募先との相違がない内容であることを心がける
  • 応募先の採用要件などについて、詳しく知っておく

実際に、

弊社のwebサイトや説明会の動画をすみずみまで確認して面接に臨んでくれたことがわかる回答だった応募者さまとの面接は、とても印象に残っています

とのコメントをくださった人事の担当者もいらっしゃいました。

「これまでの転職歴やその転職理由を教えてください。」

自分自身の考えがしっかりとあった上で行動されるのか、もしくは嫌なことがあるとすぐすこから逃げ出すタイプなのかを確認したい意図で、転職歴とその転職理由を聞くという企業もありました。

前述した通り、企業は応募者に転職せず長く働いてほしいと考えていることが一般的です。だからこそ、「なぜこれまで転職をしたのか」という点は企業にとって気になるポイントと言えるでしょう。

「なんとなく」で転職をする人であれば採用してもすぐに同じように転職されてしまうのではないか、という懸念を持ってしまうかもしれません。

この質問に対する回答のポイント

  • 転職理由を前向きで合理的な内容にする
  • 「逃げではなく挑戦である」という印象を与え、面接官に信頼感を持たせる

回答例

回答例 1: キャリア形成を重視した回答

これまでに2回の転職を経験しています。

最初の転職は、前職の会社で経験を積む中で、より専門性を高める必要性を感じたためです。
具体的には、調理技術の幅を広げるために新たなジャンルの料理に挑戦したいと思い、成長の機会が多い企業へと転職しました。

2回目の転職は、役職が上がる中でリーダーシップやマネジメントを学びたいと考えたことがきっかけです。
現在もその経験を活かしながらさらに成長したいと考え、御社への応募を決意しました。
転職は、自分自身の成長とキャリアの充実を目的とした前向きな決断でした。

回答例 2: 環境変化への適応を示す回答

これまでに1回転職をしました。

前職ではチームの一員として様々な経験を積ませていただき、特に接客と調理の両面でお客様の満足度を向上させることを学びました。

ただ、その中で、自分の得意分野である調理技術をさらに深く追求したいと思い、専門性の高い環境へと移りました。
転職理由は、より明確な目標を持ってスキルを高めたいという意思によるもので、どちらの職場でも最後まで責任を果たし、円満に退職しました。

回答例 3: 前向きな挑戦を示す回答

これまでに1回の転職経験があります。

転職理由は、前職での経験を通じて自分が得意とする業務や興味のある分野を明確にできたことです。
特に、料理の提供だけでなく、店舗運営やチームマネジメントにも関心を持つようになり、それに挑戦できる環境を求めて転職を決めました。
この転職は、自分の将来像を考えた上で、目標に近づくための挑戦でした。
前の職場でも、責任を持って最後まで取り組んできたと自負しています。

調理職種の面接前に準備すべきこと

ここまでの人事担当者からの内容も踏まえ、調理職種の面接を受ける際に準備した方がよいことについて把握しておきましょう。

応募先について詳しく調べておく

調理職種に限らず転職活動におけるすべての面接で言えることですが、応募先について詳しく調べておくことは大切です。

面接は、企業が応募者とのマッチ度を確認する場です。
企業の方針や大切にしている考え方を把握しておき、それに合わせて回答できれば、おのずとマッチ度も上がるでしょう。

特に調理職種において言えば、応募先で提供している料理・飲み物に関する知識やサービスのスタイルなどを調べておくことが重要かもしれません。

また、事前に詳しく調べたことが分かる回答ができれば、応募先への熱意も伝えられるでしょう。

これまでの経験を振り返って簡単にまとめておく

こちらも調理職種に限ったことではありませんが、これまでの自分の経験やスキルを振り返り、簡単にまとめておくと安心して面接に対応できるでしょう。

先述したとおり、企業からの質問にはこれまでの経験やスキルを問うものが多くあります。

どのような経験があるか、どういったスキルがあるかを自分の中で整理して、他者にわかりやすく伝えられるようにしておくと、面接当日を焦ることなく迎えられるのではないでしょうか。

身支度を整える

宿泊業界の人事担当者へのアンケート回答にもあった通り、「清潔感」は調理職種の面接において重要な要素です。

清潔感とは、「汚れのない、清潔な感じ。または人格が正しく誠実であるさまを意味する表現。」と辞書に記載されています。清潔感を構成する要素には以下のようなものがあるでしょう。

  • 臭い
  • 体型
  • 髪の毛
  • 服装
  • 持ち物
  • 行動

肌をよく見せるための化粧品を使う、香水が強すぎないか確認する、髪の毛が伸びてぼさぼさなら切る、服についたシワを直す、カバンが壊れているので新調する、など、面接のその場ではどうしようもない要素もあるので、事前に確認できるとよさそうです。

調理職種の面接で気をつけるべきポイント

最後に、実際の面接の場で気をつけたいポイントについてまとめます。

自分の人柄が伝わるコミュニケーションを心掛ける

先述した通り、調理職種の面接においてはコミュニケーションスキルが重視されることが多いでしょう。しかし、企業側が見たいのは、取り繕ったものではなく、応募者の素の人柄が感じられる受け応えです。

自分の人柄が伝わるコミュニケーションを心掛けましょう。

質問に対して急いで回答しなくては、と焦ってしまうこともあるかもしれませんが、面接官の質問をしっかりと聞き、理解してから答えるようにしましょう
焦って話すよりも、質問内容をしっかり考えてから回答する方が良い印象を与えられます。

エピソードは具体的に話す

回答の中で自分の経験やスキルをアピールするときは、なるべく具体的なエピソードを交えて話しましょう

これまで経験したことや課題を乗り越えた経験を具体的な数値や状況と共に紹介することで、面接官に自分の能力を明確に伝えることができます。

例えば、ゲスト対応で困ったことがあったかどうかを問われた際、

困ったことは特に思い当たりません。大抵のことは問題なく対応できていたと思います。
もし何か困るようなことがあったとしても、他のスタッフがサポートしてくれるので、そんなに大きな問題にはならないことがほとんどでした。
特別な対応をした記憶もあまりありません。

と回答するのではなく、

はい、以前、アレルギーをお持ちのゲストがいらっしゃいましたが、事前に情報が伝わっていない状況で困ったことがあります。
その際、ゲストに直接伺いながら、メニューを急遽変更しました。
限られた時間の中で対応する必要がありましたが、他のスタッフとも連携し、アレルギー対応が可能な別の料理を無事に提供することができました。
この経験から、ゲスト対応では事前の情報共有の重要性を改めて学びました。
それ以降、サービススタッフと密にコミュニケーションを取り、事前確認の精度を上げるよう意識しています。

と回答した方が、スキルを正しく伝えられるでしょう。

今すぐ準備を始めて、自信を持って面接へ挑みましょう!

宿泊業界の調理職種は、お客様のステイをより特別なものにする、やりがいに満ちた仕事です。

面接では、あなたの経験やスキル、そして調理への情熱をしっかり伝えることがカギとなります。

本ページのアドバイスを活用し、面接官に熱意が伝わるよう準備を進めましょう。あなたの思いが面接官に届き、よい結果につながることを願っています!

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